魚病研究
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21 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • W. D. WALTMAN, E. B. SHOTTS, T. C. HSU
    1986 年 21 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1986/03/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     米国および台湾で水中, 魚などの水生動物, 人などの陸生動物から分離された116株の E. tarda の生化学的ならびに酵素学的性状を検査し, 比較したところ次のようなことが分かった。 1) 魚由来菌株の中に硫化水素非産生株がかなり在る。 2) 人由来菌株にはコンドロイチン硫酸分解株が無い。 3) 42℃で培養した場合のマンニット発酵, 運動, 硫化水素産生, ガス産生, コンドロイチン硫酸分解, などの性状の差によって米国株と台湾株が区分される。
  • 大西 圭二, 城 泰彦
    1986 年 21 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 1986/03/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     アユから分離されたβ溶血性 Streptococcus sp. の生理学的性状および数種の養殖魚に対する病原性について検討した。本菌は温度20~37℃, 塩分0~2%, およびpH7付近で良好に増殖した。また、淡水中では1日以内に, 海水および1/10希釈海水中では3日以内にそれぞれ死滅したが, 0.01%酵母エキス溶液中では8日以上生存した。本菌は腹腔内注射による攻撃実験でアユおよびアマゴに強い病原性を示したが, ティラピア, ブリおよびマダイに対して病原性が弱く, コイおよびクロダイを死亡させなかった。
  • 小川 和夫, 江草 周三
    1986 年 21 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 1986/03/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     四国の太平洋岸で養殖されていたカンパチの血管系より得た Paradeontacylix 属の吸虫(Sanguinicolidae科)の2新種について, 記載, 同定した。新種 P.grandispinus は体長約2.0~3.3mmで, P.sanguinicoloides MCINTOSH, 1934によく似るが、体後端の棘の形と精巣の数で区別される。新種 P.kampachi は P.odhneri(LAYMAN, 1930)に似るが, 卵巣の相対的位置で異なる。
  • 分子生物学的分類法による検討
    田島 研一, 絵面 良男, 木村 喬久
    1986 年 21 巻 1 号 p. 21-31
    発行日: 1986/03/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     前報(田島ら,1985b)の数値分類において群別された各phenon内の均質性あるいは各phenon間および群を形成しなかった菌群との類縁性を分子生物学的レベルから検討した結果,1.DNA塩基組成比(GC moles%)は前報(田島ら,1985b)においてV. anguillarumと同定されたphenon IをはじめVibrio属に同定された菌株はすべて43.1~46.6%の範囲の値を示し,いずれもVibrio属に包含せしめ得ることの妥当性が裏付けられた。2.DNA相同性により類縁関係を検討した結果,phenon IおよびIIの基準株はそれぞれのphenonに対しては高い相同性を示すが,他のphenon III, IVおよびVに対しては相同性がほとんどみられず,また群非形成菌株に対しても1株(V-178)を除きB.campbelliiとL.harveyiに僅かに相同性がみられる程度で,これらphenonおよび群非形成菌株はphenon IおよびIIに対する類縁関係はほとんどないものと推察された。3.phenon IとIIとの関係については,前報(田島ら,1985b)の数値分類の結果では両者は明らかに別種と考えられたが,DNA相同性の結果からは両者は完全に別種と考えられず,むしろより近縁な菌群であろうと思われた。
  • 飯田 貴次, 古川 清, 酒井 正博, 若林 久嗣
    1986 年 21 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 1986/03/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1. 静岡県浜名湖内の養殖ブリ脊稚変形魚のすべての脳から,各個体1種類,全部で2種類の連鎖球菌が分離された。2. 1つはブリ連鎖球菌症の原因菌でα溶血性Streptococcus sp.に同定されたが,もう1つは未知の非溶血性連鎖球菌であった。3. 非溶血性連鎖球菌の主な性状は次の通りである。すなわち,0.1%メチレンブルーミルク,6.5%食塩加培地,10%および40%肝汁加培地,10℃,45℃における発育性,60℃,30分間の生残性はすべて陰性, pH9.6における発育性は陽性であった。また,ブドウ糖ブイヨンにおける最終pHは4.5,ランスフィールドの血清型はAからGまでのどれにもあてはまらなかった。4. 以上の性状を今まで報告されている連鎖球菌と比較したところ,この非溶血性連鎖球菌の未記載の菌と判断された。5. この非溶血性連鎖球菌は,ブリに対する致死的病原性を有していた。
  • 河原 栄二郎, Jim S. NELSON, 楠田 理一
    1986 年 21 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 1986/03/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     細菌性疾病が疑われたブリおよびカンパチ病魚355例について, 直接蛍光抗体法(FAT)と細菌培養法による Streptococcus sp., P. piscicida, N. kampachi, V. anguillarum が検出されたのは FAT ではそれぞれ89,293,91,12例, 細菌培養法では55,268,17,7例であった。また, 混合感染症と診断されたのは FAT で127例, 細菌培養法で20例であった。これらのことから, FAT のほうが検出感度が高く, とくに混合感染症の鑑別にすぐれていると考えられる。
  • 吉水 守, 瀧澤 宏子, 木村 喬久
    1986 年 21 巻 1 号 p. 47-52
    発行日: 1986/03/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     魚類病原ウイルス6種7株の紫外線感受性を測定すると共に市販の流水殺菌装置を用いたウイルス不活化効果についての観察を行なった。得られた結果は以下の通りである。1. IPNV, CSVの紫外線感受性は低く, ID99値は、1.0~1.5×105μW・sec/cm2であった。2. IHNV, OMV, CCVおよびH. salmonisの紫外線感受性はIPNV, CSVの約50~100倍と高く,ID99値は1.0~3.0x103μW・sec/cm2であった。3. 本実験に供した流水殺菌装置の公称能力1.0t/時(6.8×104μW・sec/cm2)処理において, 100 TCID50/mlのIHNVおよびOMVは検出できなくなり本装置の有効性が認められた。
  • 畑井 喜司雄, 和田 新平, 山崎 芳則, 窪田 三朗
    1986 年 21 巻 1 号 p. 53-54
    発行日: 1986/03/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     1984年12月下旬から1985年1月中旬にかけて, 神奈川県淡水魚増殖試験場の屋内にあるアユ稚魚飼育層の稚魚にへい死を伴う疾病が発生した。瀕死魚(体長:約3cm)の肉眼的所見は腹水貯溜を伴う腹部膨満および肝臓のうっ血・腫大であった。病理組織学的に検索した結果, 顕著な病変は心室に認められた血栓であった。アユ稚魚の死因はまず何らかの原因で心室筋に変性・壊死が生じ, 次いで血栓が形成され, それが高度になるに伴って全身状態が悪化したためと判断した。
  • 安永 統男, 井上 潔
    1986 年 21 巻 1 号 p. 55-56
    発行日: 1986/03/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     海産魚の急虫性旋回病は Galactosomum sp. のメタセルカリアの間脳寄生によって起る。従来長崎県近海でのみみられ, 特に対馬の当才養殖ブリの被害が目立った。近年発生情報は途絶えていたが, 1985年9月石川県で採捕後長崎県までトラック輸送された当才養殖イシダイに狂奔旋回する個体がみられた. 病魚の間脳からメタセルカリアが検出され, 上記吸虫と同種とみなされた。病魚は長崎県到着の翌日に出現したことから, 採捕地での本虫感染が示唆され, 本邦近海のかなり広域に本病の存在が想定された。
  • 松岡 学, 和田 有二, 高木 修作
    1986 年 21 巻 1 号 p. 57-58
    発行日: 1986/03/05
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
     Pasteurella piscicida の ABPC 感受性迅速判定法として, 本症斃死魚の臓器を用い, ヨード変色法によりβ-ラクタマーゼの産生を確認する方法を検討した。その結果, 本法でも明確なβ-ラクタマーゼ産生反応がみられ, 各検体からの分離菌による反応結果とも一致した。このことから, 本法は P.piscicida の ABPC 感受性を迅速かつ簡便に判定でき, 養殖現場への導入も可能であると思われた。
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