魚病研究
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9 巻, 1 号
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  • 初感染部位について
    高橋 耿之介, 川名 俊雄
    1974 年 9 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     1) キンギョの腎腫大症罹病魚のM.cyprinii 初感染部位について,外観上病魚とは認められない初期あるいは軽症の病魚及びび外観上罹病が明らかな病魚を用いて調べた。 2) 外観上病魚とは認められない初期あるいは軽症の症魚95尾のうち, 74尾について初感染部位を知ることが出来た。74尾すべてに集合管に胞子虫の寄生と病変が認められ,43%は集合管に単独に病変がみられたが,細尿管に単独に病変をおこしているものはなかつた。 3) 外観上罹病が明らかな病魚268尾の場合は,すでに病変の進行著しく,初感染部位の判った魚は12尾にすぎなかつた。それらはすべて集合管または乳頭管であった。 4) 0年魚の病魚は6月から腎管に胞子虫と病変が観察されたが,リンパ様組織及びボーマン嚢にそれらが認められたのは12月以降であり,すべて腎管の上皮細胞列の乱れた部位からの侵入であった。従って,リンパ様組織とボーマン氏嚢は初感染部位ではない。 5) 腎腫大症の初感染部位は主として集合管であり,胞子虫の繁殖とともに細尿管へ侵入するものと判断される。
  • 昭和48年における発病率の低下と感染部位について
    高橋 助之介, 川名 俊雄
    1974 年 9 巻 1 号 p. 7-9
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     1) 昭和48年の腎腫大症の流行が下火になった時点で,発病率と感染部位について調査した。 2) 外観所見および解剖所見で発病と判断されたものは0.7%で,昭和44,45年の19~25%より大きく下まわった。 3) 外観所見および解剖所見で健康魚と思われたが,組織標本から胞子虫のみいだされた,不顕感染魚が28%みられた。 4) この不顕感染魚における感染部位は75%のものが乳頭管から尿管へかけてで,46~47年の17%とはかなり異なった。 5) 流行の終息とともに不顕感染魚の増加が認められる。その理由について推論した。
  • 貧栄養,貧栄養+振動の両実験条件下で発生する斃死について
    森 勝義, 菅原 義雄, 小畑 一臣
    1974 年 9 巻 1 号 p. 10-18
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     本実験は,最近,三陸沿岸の各地で発生している垂下養殖ホタテガイ(主として稚貝)の大量斃死の原因を究明する生理学的方法を探るために,これらの異常貝に共通して観察される貝殻異状および軟体部萎縮などの病的変化とそれに伴う斃死を実験的に発現させようとしたものである。種々検討の結果,晩春から初夏の満1年貝に対する貧栄養,貧栄養+振動の両実験条件(特に後者)がこれらの発現に有効であることがわかった。また,本実験結果は次の2点を示唆している。 1) 三陸沿岸への搬入時から晩春までの間に稚貝の生理的活性を大きく低下させる素因が形成される。 2) 消化盲嚢部および閉殻筋の組織学的所見から,その死は来たるべき高水温環境への適応能力獲得過程における代謝機能障害と関連する。これらの実証が今後の斃死原因究明に際しての重要課題と考えられる。
  • 高橋 哲夫, 石井 俊雄, 天野 太郎
    1974 年 9 巻 1 号 p. 19-22
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     野外池のウナギにオキソリン酸を1日あたり魚体重1 kgに対して40 mgを7日間自由摂餌により経口的に投与し,その後給餌を停止した条件のもとで組織内濃度の変化を追究した。 1.血中濃度は,投与終了1日後A.liquefaciensの最小阻止濃度の約100倍(4 mcg/ml),腎臓で約400倍(16mcg/g),に達して以後日を追って低下したが,血漿濃度が0.1 mcg/ml以下になるまでの期間は18日,その他の臓器で1.0mcg/gとなるのは筋肉および鰓では8日,肝臓ならびに腎臓では15日,脾臓では18日であった。 2.組織内残留性については,絶食条件下では長時間の残留性を示すため,出荷前の投薬は避ける心要があると考える。
  • 鈴本 博也
    1974 年 9 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     1. 1973年の夏から秋にかけて,宍道湖でカリグスが異常発生したが,当時の湖水の塩素量は約9‰から5‰で,水温は約31℃から20.5℃であった。 2. カリグスは主にカワチブナの頭部,体表,鰭に寄生し,寄生されたカワチブナが多く斃死するなどの被害が発生した。 3. カワチブナに寄生したカリグスはCaligus orientalis GUSSEV, 1951と同定された。 4. 本Z種の体長範囲は6.28mmから3.04 mmで,雌雄別の体長組成は不一致であったが,原記載(GUSSEV 1951)と比較して,オスは範囲の幅が広く,メスは範囲の幅が同じであった。 5. 本種(adult stage)は水温22℃~24℃下では,塩素量が6.4‰のときに最高の抵抗性を示した。
  • 室賀 清邦, 属 博夫
    1974 年 9 巻 1 号 p. 28-30
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
  • 成虫の形態および種の同定
    中島 健次, 江草 周三
    1974 年 9 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
    In July, 1973, it was observed that many young carps in many farm ponds in Nagano, Yamagata and Akita prefectures were infected with a kind of cestode belonging to the genus Bothriocephalus. About 100 cestode specimens of different stages were collected from the intestines of 4 fishes (body weight : 20.7-31.6g). Ten of the largest size group among the mature worms obtained were examined morphologically and identified with B. opsariichthydis YAMAGUTI, 1934.
    The criteria for identification were as follows.: 1) As regards the shape and the structure of the body, the present species resembled to B. acheilognathi YAMAGUTI, 1934. B. opsariichthydis YAMAGUTI, 1934, B. fluviatilis YAMAGUTI, 1952 and B. gowkongensis YEH, 1955 which had all been found in the cyprinoid fish in Japan and China. 2) The present species differed from B. gowkongensis in the point that the egg was never embryonated when laid. 3) As regards the body length the present species (17.3 cm in average) was rather close to B. opsariichthydis (more than 10 cm long according to YAMAGUTI), but differed from B. acheilognathi (about 8 cm) and B. fluviatilis (2.2 cm). 4) It was thought that B. acheilognati and B. fluviatilis were young stages of B. opsariichthydis.
  • 罹虫状況および害性
    中島 健次, 江草 周三
    1974 年 9 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
    On September 27, 1973, 40 young carps of 4 months old were collected at random from a pond at Shioda in Nagano prefecture and examined for the presence of B. opsariichthydis YAMAGUTI, 1934 in their intestines. Nineteen fishes were found to harbour 1-57 worms (19.7 worms in average). The incidence rate was 47.5%.
    The intestine carrying many worms was extremly swollen and the yellowish-white worms inside were observable through the intestinal wall which became thin and trancelucent. Observations of cross sections of the infected intestine revealed that most of the tips of the villi intestinales were seriously destroyed. This destruction was thought to be induced by “a rasp effect” caused by lasting oppression and movement of the strobillae. At the same time, marked congestion was observed in the lamina propria mucosae and the tela submucosa, and coagulated materials including tissue debris were found on the surface of the villi intestinales. Moreover, hemorrhage, hemolysis or vesiculation was found to occur in various parts of the lamina propria mucosae and the tela submucosa.
    No deaths were reported from the above-mentioned farm pond, and it was said that affected fish continued to take foods actively, though the histopathological changes of the intestine of infected fish were fairly serious.
  • 成虫駆除薬の予検討
    中島 健次, 江草 周三
    1974 年 9 巻 1 号 p. 46-49
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
  • 養殖ハマチに経口投与した時の組織内濃度
    畑井 喜司雄, 平岡 孝, 佐橋 佳郎, 松島 又十郎, 岩橋 義人, 佐々木 正, 水野 尚樹, 江草 周三
    1974 年 9 巻 1 号 p. 50-70
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     1. 養殖ハマチに水産用クロロマイセチン散をCPとして50 mg/kgまたは100 mg/kgを経口的に1回投与して経時的にCPの魚体内濃度を測定した。 2. CPを50 mg/kg投与した結果,概略4~8時間後にCPの魚体内におけるピークがみられた。ピーク時における活性体の値は血液で8.6μg/ml,肝臓で14.1μg/g,腎臓で162μ9/9,脾臓で20.1μg/g, 筋肉で5.4μg/gであった。その後魚体内のCPは徐々に減少し,48時間後にはほぼ消失したが脾臓ではなお8.6μg/g検出された。 3. CPを100 mg/kg投与した結果,50 mg/kg投与時のほぼ倍量のCPが検出された。 4. 養殖ハマチの細菌性疾病,すなわち類結節症およびビブリオ病の治療を目的とするならばsomg/kgの 投与量は各々の病原菌に対するMICの10倍以上の臓器内濃度をほぼ24時間維持する量である。
  • 楠田 理一, 豊嶋 利雄, 西岡 純
    1974 年 9 巻 1 号 p. 71-78
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     1. 1970年の秋から冬にかけて,高知県の養殖チダイに流行したビブリオ病に類似した疾病の原因菌を分離し,細菌学的性状を調べた。そして,Pseudomonas fluorescensと比較して分類学的位置を検討した。 2. その結果,本菌はブドウ糖を酸化的に分解し,フルオレシンを産生し,グルコン酸を酸化するなどの性状を示すので,P.fluorescensに同定した。 3. 対照菌株との類似値はP.fluorescens ATCC 13525株とは88~89%,P.fluorescens EFDL株とは90%という値を示した。
  • 塩瀬 淳也, 若林 久嗣, 富永 正雄, 江草 周三
    1974 年 9 巻 1 号 p. 79-83
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
  • 宮崎 照雄, 窪田 三郎, 浅野 利郎, 冨田 義孝
    1974 年 9 巻 1 号 p. 84-90
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
     1) 1973年10月から11月にかけて津市と鈴鹿市の養鰻池で一種の粘液細菌(現在,種は未同定)による流行病が発生・流行した。病魚はいずれも鰓に粘液細菌の寄生がみられ,通常,鰓は肥厚している。重篤例では鰓弁の壊死または出血もみられた。 2) 病魚の鰓から分離した菌株の薬剤感受性試験を行なったところ,本菌は,抗生物質ではテトラサイクリン,オキシテトラサイクリン,クロルテトラサイクリン,アミノベンジルペニシリン,カナマイシンに,化学療法剤ではスルフイソゾール,ナリジクス酸,オキソリン酸に対して高い感受性を示した。逆性セッケン,ホルマリン,マラカイトグリーンおよび硫酸銅などの殺菌剤は本菌に対して殺菌力が低く,殺菌有効濃度はいずれも魚の致死量をはるかにうわまわっていた。 3) 現場で,水温30℃程度の温水に池全体のウナギを一定期間さらす加温療法と,加温に加えて有効抗生物質を経口投与する化学療法を試みた結果,いずれも優れた治療効果が得られた。 4) 現場での治療実験の結果から,流行初期の治療には加温療法が有効であり,流行最盛期では加温と有効薬剤の経口投与との併用が有効であることがわかった。
  • 鈴本 博也
    1974 年 9 巻 1 号 p. 91-94
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2010/02/10
    ジャーナル フリー
  • その害性と駆除の試み
    中島 健次, 井沢 茂, 江草 周三
    1974 年 9 巻 1 号 p. 95-99
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 9 巻 1 号 p. 98
    発行日: 1974年
    公開日: 2009/10/26
    ジャーナル フリー
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