農作業研究
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43 巻, 2 号
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研究論文
  • 石川 啓, 木村 秀也
    2008 年 43 巻 2 号 p. 53-58
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    ナギナタガヤ草生ミカン園における,秋肥窒素のウンシュウミカン樹とナギナタガヤによる吸収特性を把握するため,ポット栽培条件下において15Nトレーサー法を用いて検討した.
    ミカン樹による秋肥窒素吸収量は,草生区が裸地区の41%と著しく少なく,特に吸収窒素の集積が大きい新葉と細根における差異が大きかった.草生区におけるナギナタガヤの秋肥窒素吸収量は,同区の樹体の約2倍であった.また,ナギナタガヤは吸収窒素の多くが地上部に分配されていた.樹体の15N寄与率は,草生区に比べて裸地区の方が明らかに高かった.一方,ナギナタガヤにおける15N寄与率は,樹体に比べて著しく高かった.秋肥窒素の利用率は,樹体を比較すると草生区19.5%,裸地区48.1%であり,裸地区の方が顕著に高かった.しかし,ナギナタガヤによる吸収量を加えた草生区の利用率は60.9%となり,裸地区の約1.3倍になることが示された.
研究報文
  • 御手洗 正文, シキャット J.C.V., 木下 統, 豊満 幸雄
    2008 年 43 巻 2 号 p. 59-66
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    本報はフィリピンにおける農業用機械・機具の設計要素を明らかにする事を目的として,歩行用トラクタを利用した農作業における人間工学的な諸問題を124名のオペレータから聞き取り調査したものである.また,歩行用トラクタの設計要素を人間工学的に検討するための基礎資料としてオペレータの身体的調査を同時に行った.調査はフィリピンの水田地帯であるヌエバ・エシハ・ムニョスにおいて2001-2003年に実施した.その結果,同地域で歩行用トラクタを使用しているオペレータの身体的特徴を明らかにする事が出来た.また,歩行用トラクタは,主にクボタ,ブリッグス・ストラトン,ヤンマーのエンジンが使用され(36.3%,24.2%,23.4%),エンジン出力は平均6.83kW(SD=2.72),トラクタシャーシはAGSAO, FIMCO, JV Ocampo, SMCが14.5%, 14.5%,13.7%,12.1%を占め,シャーシのほとんどがフィリピンブランドであった.また,メカニック的な問題と人間工学的な課題としては,ベルト・チェーンテンションがないなどの不適切な変速機構の破損・損傷による疲労(58.1%),エンジン騒音(48.4%),エンジン始動トラブル(41.1%),ハンドルバーの設計(14.5%),作業機の設計(14.5%)に関する不満が多く,今後改善に取組む必要があることが明らかになった.
  • 御手洗 正文, シキャット J.C.V., 木下 統, 豊満 幸雄
    2008 年 43 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    フィリピンの乗用トラクタ作業における人間工学的な諸問題についてオペレータ76名から直接聞き取り調査を行った.また,乗用トラクタの設計要素を人間工学的に検討するための基礎資料としてオペレータの身体計測を同時に行った.調査はフィリピンの水田農業地帯であるヌエバ・エシハ・ムニョスで2001-2003年に実施した.その結果,乗用トラクタのオペレータは男性が100%を占め,使用している乗用トラクタの出力は平均16.55kW(SD=9.26)で,クボタ(63.2%),イセキ(21.1%)が多く,運転経験年数は平均3.3年(SD=5)であった.また,乗用トラクタにおける問題点としては作業機の製作技術と耐久性(85.5%)が上げられ,人間工学的な問題としては運転席への強いエンジン熱放射(86.8%),過酷な太陽光からオペレータを守るための保護カバーの必要性(59.2%),座席設計(47.4%)等であることが明らかになった.
  • 国本 佳範, 西川 学
    2008 年 43 巻 2 号 p. 75-82
    発行日: 2008/06/25
    公開日: 2009/03/31
    ジャーナル フリー
    スクミリンゴガイの水田に入っての拾い取りによる捕獲と,水田内に設置した野菜トラップによる捕獲および水田周囲に設置した野菜トラップによる捕獲について,作業時間,捕獲効率を比較した.貝が少なかった水田を除き,拾い取りによる捕獲の作業時間は,10a当たり2時間以上を要し,最も捕獲量の多かった水田では約536分を要した.しかし,1回の拾い取りでの捕獲効率は全捕獲の68.3%に止まり,稚苗移植水稲での要防除水準まで貝密度を減少させるには複数回の拾い取りが必要であった.これに対し,水田内に設置した野菜トラップでは4回のトラップでの捕獲を行うことで要防除水準以下の密度まで貝を減少させることができ,10a当たりの作業時間は約418分だった.水田周囲に設置した野菜トラップでは小規模な水田では13回のトラップによる捕獲で,要防除水準以下の密度にまで貝を減少させることができた.10a当たりに換算した作業時間は約116分で,この方法により短時間で簡単に貝を捕獲できることが示唆された.
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