農作業研究
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46 巻, 2 号
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研究論文
  • 加藤 拓, 池羽 正晴, 谷 昌幸
    2011 年 46 巻 2 号 p. 49-57
    発行日: 2011/03/20
    公開日: 2011/12/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,黒ボク土畑土壌において施肥窒素の利用率が無機態窒素量および易分解性有機態窒素量の違いに関連してどのように変動するかについて,15Nトレーサー法を用いて定量的に明らかにすることを目的とした.試験作物はハクサイおよびニンジンとした.ハクサイは施肥15N量と15N吸収量に正の相関を示したが,ニンジンにはその傾向は認められなかった.また,ハクサイおよびニンジンの施肥窒素吸収量に対する栽培前無機態窒素量およびリン酸緩衝液抽出窒素量の影響は認められなかった.化学肥料由来の窒素利用率は,ハクサイで53-88%,ニンジンで4-57%であり,その変動幅は著しく大きかった.各作物の15N利用率と栽培前土壌中の無機態窒素量およびリン酸緩衝液抽出窒素にも関係性が認められなかった.つまり,無機態窒素量および易分解性有機態窒素量の指標として使われているリン酸緩衝液抽出窒素量は,化学肥料由来の窒素吸収量を反映しないことが示された.以上のことから,本研究において化学肥料利用率の変動を予測するのに対し,黒ボク土畑におけるハクサイとニンジンの秋作では栽培前土壌中の無機態窒素量およびリン酸緩衝液抽出窒素量が指標とならないことが明らかとなった.
  • 辻 博之, 村上 則幸, 杉山 慶太, 杉戸 智子, 嘉見 大助, 大下 泰生
    2011 年 46 巻 2 号 p. 59-67
    発行日: 2011/03/20
    公開日: 2011/12/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,放任栽培が可能で,多収を得るには密植栽培を必要とする短節間カボチャ品種‘TC2A’の定植作業において,セル成型苗の利用とその機械定植による省力化を検討した.
     1)セル成型苗人力定植の作業時間は,ポリポット苗の定植の約43%にあたる5.92h・人/10aに短縮され,大幅な省力化が可能であった.
     2)セル成型苗の機械定植時の作業時間は,機械定植に0.84h・人/10a, 苗の補給等に0.34h・人/10a, 定植後の苗の手直しに2.59h・人/10aを要し,総計で3.85h・人/10aとなり,苗の運搬と定植の作業時間は移植機を用いることで人力定植(苗の手直しを含まない)比の約40%に短縮された.
     3)セル成型苗定植栽培の果重収量は,ポリポット苗定植栽培と同等以上であった.
     4)機械定植で手直しを省略した場合,欠株率は2%未満であった.欠株により果数は減少したが,1果重の増加により補償されるため,‘TC2A’の果実収量は欠株率が10%以下では減収しなかった.
     5)以上より,‘TC2A’の栽培では,セル成型苗を定植することで作業時間の短縮が可能となる.機械定植ではさらに作業時間が短縮され,定植後の手直し作業を省略しても,減収のリスクは小さいことが明らかとなった.
  • 嘉見 大助, 村上 則幸, 杉戸 智子, 杉山 慶太, 辻 博之
    2011 年 46 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2011/03/20
    公開日: 2011/12/20
    ジャーナル フリー
    草姿および果実特性が異なるカボチャ3品種の果実を収穫調査し,収穫に適した品種特性について調査した.その結果,‘Bush Buttercup’は‘TC2A’および‘えびす’に比べて短時間で収穫が可能であった.その要因として,‘Bush Buttercup’は他品種に比べて株元着果性に優れ,少側枝であることから,果実の発見が容易なことが考えられた.また,‘Bush Buttercup’の果柄が細かったことから,株からの切り離しも容易だったことが推測された.以上から,カボチャの収穫作業の軽労化をはかるには,株元着果,少側枝および細い果柄径などの遺伝的改善が必要であると考えられた.
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