農作業研究
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46 巻, 3 号
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研究論文
  • 米川 智司, 中野 丹, 菊池 豊, 積 栄, 岡田 俊輔, 石川 文武
    2011 年 46 巻 3 号 p. 87-94
    発行日: 2011/03/20
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル フリー
    乗用トラクタでの春の耕うん作業を対象とした,マウス操作のみで使用できるパソコン用インタラクティブ・マルチメディア農作業安全教育ソフトウェアを開発した.
    本ソフトウェアの本編シーンは,基本・格納庫で・道路走行・ほ場作業・帰宅にグループ化され,計19の質問付個別シーンで構成される.質問付個別シーンでは,計78の質問・解答画面において,1~5点で配点された質問が計98問出題される.結果は総合評価として正答率に応じて5段階にランク付けして示され,作業安全の意識レベルをプレイヤーが確認できる.
    また,プレイヤーのモチベーション維持を目的に,三択式・画像エリア選択式・順序指示式などの多種の質問・解答画面を用いた.さらに,解答が正答または誤答の場合には,次の画面に移る前に,解答内容を再現した計64本の音声付動画CGを流して,疑似体験の臨場感を高めた.なお,プレイヤーの安全意識をより高めるために,事故を再現した誤答時に流れるCGには,現実離れしない程度にオーバーアクションな表現を意図的に用いた.
    本ソフトウェア頒布数の80%は,普及センターや農協関係等の団体であり,安全講習会等での教材としての使用例が多いと推測できる.また,世代間差なく持続的に安全教育効果が現れているとは言い難く,普及への努力とより効果的な安全教育手法の開発が求められている.
研究報文
  • 松森 一浩, 千田 敏行
    2011 年 46 巻 3 号 p. 95-105
    発行日: 2011/03/20
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル フリー
    刈払機によるケガを防ぐための啓発活動に役立てることを目的に,宮城県栗っこ農業協同組合員を対象にアンケート調査を行って作業時のケガやヒヤリ体験の事例を収集し,結果を分析した.
    ケガを防ぐには各種防護用具を装着し,安全など服装を整えて作業に臨むことが重要である.作業中の緊張感を持続させるには,“事前に決めた30分前後の時間で休憩を取る”ことが有効と考える.背負い式刈払機では,キックバック時に生じるシャフト桿の前後方向の移動量制限,および刈払機の動きを制御する操作性に優れるハンドル形状,に関する検証が望まれる.肩掛け式刈払機では,ベルト長さの調整と刈刃安定用アタッチメントの装着が,飛散物発生に及ぼす影響を検証する必要がある.ハンドル形状や取付け位置の可変化は作業者が刈払機に望むことであり,これらがケガの減少につながる可能性を検証するのも有意義と考える.
    作業者には,特徴をもった各種刈払機やアタッチメント,防護用具の存在を知らない割合が高い.一方,製造者には作業者の声が十分に届いてないと推察する.ケガの防止には情報の共有が重要であり,多数の作業者と接する機会のある組織には,両者の間を仲介する社会的使命がある.作業者の健康と安全を守るため,携行式の“事故防止のための小冊子(仮題)”を作成するなど,新たな啓発活動を推進することも求められる.
  • 国立 卓生
    2011 年 46 巻 3 号 p. 107-114
    発行日: 2011/03/20
    公開日: 2012/03/10
    ジャーナル フリー
    現場に普及する傾斜回転目皿式播種機による播種作業を高速化するため,室内の静置条件下において高速播種に適した傾斜回転目皿の特徴を明らかにするともに,高速播種用傾斜目皿を試作し,室内と圃場でその性能を評価した.
    1) 播種穴周速度が同じ場合は播種穴ピッチ円の直径が大きいほど種子繰出し率が高まったが,播種穴ピッチ円の直径を小さくして播種穴周速度を低下させたほうが種子繰出し率がより高まった.
    2) 播種穴ピッチ円の直径を小さくしても穴径が小さいと種子繰出し率が低下しやすかったが,穴径を,供試種子における粒厚の最小値の約倍,または種子の最大径の平均値よりも3~4mm程度大きくすると,種子繰出し率が高く保たれた.
    3) 大粒では平均粒厚より1mm薄い傾斜目皿を,小粒では平均粒厚と同程度の傾斜目皿を使用すると,種子繰出し率が安定した.
    4) 大粒粒播き用の傾斜目皿(穴数16)を試作し,圃場試験において,播種穴周速度20~25cm/s以下,作業速度1.5m/s以下の時,播種粒数が低下しなかった.作業速度は従来の約2倍に達した.播種穴ピッチ20mm程度を目安に穴数を増やすと,さらに,作業速度を速めることができる.
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