農作業研究
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47 巻, 1 号
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研究報文
  • 深澤 秀夫, 藥師堂 謙一, 細川 寿, 渡辺 輝夫, 中司 敬
    2012 年 47 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
    近年,サツマイモの生産量は漸減傾向にあるが,焼酎用,加工食品用への用途拡大が進められている.そのなかで,高アントシアニン品種“アヤムラサキ”が育成され,食品素材としての活用が期待されている.従来,有色サツマイモを一次食品素材とする場合,蒸煮工程を経る αデンプンの状態で流通していたが,生いもから直接,細切・乾燥することで βデンプンのままで,かつ有用色素を保持させる乾燥方法を開発した. 
    1)細切したアヤムラサキ塊根の加熱通風乾燥では,恒率乾燥期間があり,乾燥後の成分品質を考慮すると短時間で乾燥できる送風量は 0 .015 m3 /s・kg(水)が適した. 
    2)アントシアニン含有率は,送風量の大きい 0.015 m3/s・kg(水)で高く,送風温度 50~80℃の範囲では乾燥後の歩留まり率は 75~87%であった.定常送風温度としては,60℃でアントシアニン含有率が高かった. 
    3)アントシアニンを保持しつつ,デンプンを糊化させない品温を保つため,材料の品温上昇が緩慢な乾燥初期において,送風温度 80℃から開始し,短時間で品温を上げ 55℃で終了する降温操作が有効な一方法であった. 
    4)回転通気式乾燥機での降温操作の有効性が得られたので,それをもとに農産物加工施設における乾燥処理工程を提案した.
  • 宮嵜 朋浩, 岡安 崇史, 杉本 知史, 井上 英二
    2012 年 47 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2012/03/20
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
    農用車両の走行に伴う諫早湾干拓土壌の踏圧現象を明らかにするために,トラクタを用いた圃場走行試験を行い,走行前後のかさ密度ならびに三相分布を比較することで,走行荷重が土壌構造の変化に及ぼす影響について検討した.さらに,土質試験により干拓土壌の力学特性を調べた.得られた知見は,以下の通りである.
     1)走行に伴う土壌の圧縮は表面付近で顕著に発生し,その主な要因は気相率の減少によるものである.
     2)土壌内の水は,踏圧直後には排水されず,時間の経過とともに徐々に排水が進行し,含水比の低下およびかさ密度の上昇を生じさせる.
     3)締固め試験の結果から,干拓土壌は含水比 51.0%で最大乾燥密度 ρmax/1.07 g/cm3を示す.
     4)非排水三軸圧縮試験の結果から,不かく乱土壌はかく乱土壌に比べて高い強度を示す一方,軟化現象のような不安定な力学挙動を呈する.その一因は,不かく乱土壌は構造が発達しているためと考えられる.これより,実圃場における干拓土壌の力学特性評価には土壌構造の考慮が必要である.
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