農作業研究
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47 巻, 2 号
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研究論文
  • 小松﨑 将一, 菅沼 香澄, 荒木 肇
    2012 年 47 巻 2 号 p. 55-65
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    本研究は,9種類のカバークロップの生育,有機物供給量及び,養分吸収量,有機栽培との適応性を明らかにすることで多変量解析によるカバークロップの総合評価を行った.得られた結果は以下のとおりである.
    1)カバークロップの乾物重をみると,6月ではエンバク,シロガラシの生育量が大きく,エンバクが 7.5t/ha, シロガラシが 8.5t/ha の乾物重を示し,その他のカバークロップと比べて有意差がみられた.また,7月以降ではソルガムの乾物重が著しく増加し,8月には,31.0t/ha の乾物収量を得た.
    2)カバークロップの吸収養分特性をみると,多くのカバークロップで有機物生産量が増加するにしたがって養分吸収量も増加することが認められた.
    3)カバークロップ後作のブッロコリの地上部収量をみるとクロタラリアで 33t/ha の最も高い値を得たのに対し,ワイルドフラワーの混播ではクロタラリアの 6分の 1の収量にとどまった.
    4)カバークロップのもつ特性について,多変量解析のうちの主成分分析とクラスター分析を適用し客観的な評価を行った結果,カバークロップの特性は生育時期によって大きく異なり,バイオマス増加に伴う養分吸収とカバークロップの CN 比の変化によって主成分分析の結果は変化し,農業者がカバークロップを導入する際の最適な作物の選択と栽培期間の決定するための基礎的なデータとなることが示唆された.
  • 村上 敏文, 森 正彦, 小柳 敦史, 菱沼 英昌
    2012 年 47 巻 2 号 p. 67-74
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2013/01/30
    ジャーナル フリー
    近年のデジタルカメラの軽量化により,小型気球による空撮が可能になってきた.しかし,わが国では研究例が少なく,コムギ畑で問題となっている生育不良を調査した例もほとんど見あたらない.そこで,大規模農業法人の水田転換コムギ畑の調査に空撮を導入し,画像解析の方法を検討して,空撮が圃場調査やデータ解析に有用かどうかを検証した.空撮画像は,小型のヘリウムガス気球(全長 1.8 m, 体積0.64 m3)にコンパクトデジタルカメラを吊り下げて撮影した.地上調査では土壌の体積含水率,葉色,草丈,子実収量等を測定した.画像処理では,一般の画像ソフトを用い,地形の歪み補正,植被率の計算,湿った土壌の分布の把握を行った.高度約 180 mからの俯瞰画像は,広域のコムギ圃場の生育比較を可能にしたので,地上調査を行う圃場を効率的に選定できた.高度 117 mからの真下方向の画像は,地上調査での調査位置の選定や全体見通しの把握を容易にした.また,植被率による圃場の区分けを可能にし,生育不良の要因解析を容易にした.生育不良は,土壌水分が高く,土壌が硬く,相対標高が低い条件で引き起こされた.また,空撮画像の土壌の色の濃さから排水対策の効果を判定することができた.以上より,簡易空撮気球は,圃場調査やデータ解析の精度を高める有用なツールであることが示された.
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