本研究は,9種類のカバークロップの生育,有機物供給量及び,養分吸収量,有機栽培との適応性を明らかにすることで多変量解析によるカバークロップの総合評価を行った.得られた結果は以下のとおりである.
1)カバークロップの乾物重をみると,6月ではエンバク,シロガラシの生育量が大きく,エンバクが 7.5t/ha, シロガラシが 8.5t/ha の乾物重を示し,その他のカバークロップと比べて有意差がみられた.また,7月以降ではソルガムの乾物重が著しく増加し,8月には,31.0t/ha の乾物収量を得た.
2)カバークロップの吸収養分特性をみると,多くのカバークロップで有機物生産量が増加するにしたがって養分吸収量も増加することが認められた.
3)カバークロップ後作のブッロコリの地上部収量をみるとクロタラリアで 33t/ha の最も高い値を得たのに対し,ワイルドフラワーの混播ではクロタラリアの 6分の 1の収量にとどまった.
4)カバークロップのもつ特性について,多変量解析のうちの主成分分析とクラスター分析を適用し客観的な評価を行った結果,カバークロップの特性は生育時期によって大きく異なり,バイオマス増加に伴う養分吸収とカバークロップの CN 比の変化によって主成分分析の結果は変化し,農業者がカバークロップを導入する際の最適な作物の選択と栽培期間の決定するための基礎的なデータとなることが示唆された.
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