水田の減水深の制御が可能な乾田直播栽培技術の実用化を目指して,作土の土性がLiC(軽埴土)の3 ha規模の黒泥土水田においてプラウ耕鎮圧体系乾田直播の実証試験を行った.また減水深低減に必要な鎮圧強度を容易に判断するため,土壌硬度を指標とするための室内締固め実験を行った.その結果,土壌含水比が34%以上で土壌硬度が山中式土壌硬度計で20 mm程度まで鎮圧することにより,飽和透水係数が日減水深の目標値20 mmd
-1に相当する2.3×10
-5 cms
-1まで低下することが明らかとなった.水田での鎮圧作業では圃場全面をケンブリッジローラにより4回鎮圧することよって,地表下5 cmの土壌硬度がおよそ20 mmに達し,飽和透水係数は2.3×10
-5 cms
-1に近い値となった.鎮圧を行った3 ha圃場および2 ha圃場の日減水深は12 mmd
-1,10 mmd
-1と日減水深の目標値以下となった.湛水期間中の暗渠内水位の調査から,鎮圧圃場の田面水位と暗渠内の水位は不連続であったが,無鎮圧圃場の田面水位と暗渠内水位はほぼ一致しており,田面と暗渠との間の水みちが連続していたことから,鎮圧圃場では地表下5 cm以下の鎮圧層で田面水位が維持されていることが確認された.以上のことから,乾田直播栽培において,土壌硬度を目安に行われた圃場面の鎮圧によって減水深が低減できることが明らかとなった.
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