農作業研究
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53 巻, 4 号
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研究論文
  • デビ ハニン サニ, 小松 将一, 山川 百合子, 高橋 弘美, 柴沼 沙織, 安江 健, 岡山 毅, 豊田 淳
    2018 年 53 巻 4 号 p. 164-172
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/20
    ジャーナル フリー
    園芸作業がもたらす心身の健康維持に関する効果は障がい者をふくめた多くの市民に注目されている.本研究では,園芸作業が,健常者および精神障がい者の作業動作の違いについて検討した.ワイヤレス3軸加速度計を用いて,精神障がい者6人および健常者7人を対象として,6種の異なる作業強度の園芸作業を行った.園芸作業中の平均動的加速度は,健常者と精神障がい者とでは大きく異なった.精神障がい者は,溝堀り作業など労働強度が高い作業では,動的加速度は健常者よりも有意に低くなった.とくに,精神障がい者と健常者では溝堀り作業工程などのサイクルの違いが認められた.これに対し,播種作業など比較的作業強度が低い作業については,動的加速度は健常者との差異は有意ではなかった.このような健常者と精神障がい者との園芸作業ごとのパフォーマンスの違いは,両者が協調して実施する園芸活動などのプログラム策定の基礎データとなる.
研究報文
  • 志藤 博克, 積 栄, 岡田 俊輔, 高橋 圭二, 舘山 則義, 馬渕 彰二
    2018 年 53 巻 4 号 p. 173-182
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/20
    ジャーナル フリー
    北海道では牛との接触による負傷事故が年間700件以上も報告されているが,府県では負傷事故調査を行っている自治体が限られていることもあり,問題が顕在化していない.そこで筆者らは9道県40戸の酪農家に聞き取り調査を実施した.その結果,府県でも北海道と同様,繋ぎ飼いでは搾乳時,放し飼いでは牛の移動時に事故が多く,長期入院した事例もある反面,労働力に余裕がないため余程のことでない限り入通院しない実態が明らかになった.事故の要因を分析した結果,繋ぎ飼いでの搾乳中の事故では,牛舎環境や牛の扱い方の改善による牛へのストレス軽減で,牛の危険行動を抑制すると同時に乳量増加や疾病の低減効果が期待でき,放し飼いでの牛の移動中の事故では,施設の改善により人と牛を分離することで事故の低減が期待できること等が示唆された.
資料
  • 竹下 正哲, 中西 一弘, 高橋 丈博, 蓑原 隆, 前山 利幸, 戸祭 克, 益満 ひろみ, 後藤 元
    2018 年 53 巻 4 号 p. 183-194
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/20
    ジャーナル フリー
    ドリップ灌漑はヨーロッパ,イスラエルなどを中心に世界に普及しているが,日本では全灌漑地の2%でしか使用されていない.その理由は,日本は四季を通じて十分な降雨があるため,露地栽培でドリップ灌漑は必須ではないとみなされてきたためと考えられる.本研究では,降雨が十分にある日本の露地において,ドリップ灌漑を導入することで,ピーマンの単位面積あたり収量を増加させることができるのではないかという仮説を検証した.「ドリップ灌漑の有無」「固形肥料・液体肥料の違い」の2要因を設定し,そのどちらが影響しているか,あるいは交互作用があるかを検証するために,ピーマンを用い,二元配置の分散分析実験を行った.結果は,「固形肥料・液体肥料の違い」に関わらず,ドリップ灌漑をした試験区の方が,ドリップ灌漑をしなかった試験区(天水のみ区)より収量(生重量),乾燥重量,着果数が増加した.とくに収穫量が落ちてくる9,10月の収量が,ドリップ灌漑区で多くなっていた.その差の要因は多頻度灌水にあると考えられ,日本の露地のように十分な降雨がある耕地においても,ドリップ灌漑により毎日定期的に灌水することで,ピーマンの着果数を増やし,収量を増加させることができることが示唆された.
  • 津野 佑規, 長谷川 英夫, 水島 智史
    2018 年 53 巻 4 号 p. 195-201
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/06/20
    ジャーナル フリー
    佐渡はシイタケの生産が盛んで,新潟県における乾シイタケ生産の約90%を占める.しかし,農業従事者の高齢化による後継者不足,原木の大径化などにより,1992年以降生産量は減少傾向にある.佐渡の活性化を図る方策として,乾シイタケの栽培技術および生産流通体制の課題を把握し,適切な対策を講じることが重要である.本研究では佐渡全域における乾シイタケ栽培の実態把握を目的として,生産者の栽培技術および作業環境について調査した.さらに,生産量減少の要因を明らかにすることで,佐渡の乾シイタケ栽培における問題点を解決する対応策を検討した.調査の結果,佐渡では単収・品質を度外視した放置的な栽培が行われており,その原因として過去の指導体制と技術受容の問題が指摘された.そこで,栽培技術の確立を通じて新規参入者や後継者の育成を目的とする,佐渡地域に密着した栽培マニュアルの骨子を作成した.
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