老年歯科医学
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10 巻, 1 号
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  • 森本 基
    1995 年 10 巻 1 号 p. 1
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 嚥下性肺炎の病態について
    木田 厚瑞
    1995 年 10 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 寺岡 加代, 柴田 博, 渡辺 修一郎, 熊谷 修, 岡田 昭五郎
    1995 年 10 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    60歳以上の有料老人ホーム入居者90名 (平均年齢74.9±5.2歳) を対象に残存歯数, 咀嚼能力の評価, 義歯の使用状況および使用感, 口腔内不快症状, さらに食生活に関する調査を行った。その結果にもとずき, 咀嚼能力と口腔内状況との関連性や, 咀嚼能力の低下が食習慣や食意識に与える影響について検討した。
    咀嚼能力の評価はG-1ゼリー法を用いて行い, 対象者をI群 (咀嚼能力維持群), II群 (中間群), III群 (低下群) の3群に分けた。
    先ず, 咀嚼能力と口腔内状況との関連をみた結果, 残存歯数とは非常に高い相関関係があった。また義歯を使用することによって咀嚼力の改善を認めた者は, I, II群では80%以上いたが, III群では半数に満たず, 咀嚼力に代わって発音や審美面での改善を挙げる者もいた。口腔内不快症状の訴えもIII群で最も多かった。
    次に咀嚼能力と食生活との関連をみた結果, III群では食品摂取頻度において主食はパン食が多く, 副食は魚介類が少く, 肉類 (特に加工肉類) や油脂類の多くなる傾向がみられた。また昼食を欠食する者がいた反面, 間食は「ほぼ毎日食べる」者が多かった。食意識に関しては「何を食べるか」すなわち食物自体だけでなく, 「誰れと食べるか」すなわち人的環境を重視する者が, II, III群においては半数を占めた。
    以上の結果より, 高齢者においては義歯の使用感や口腔内不快症状が咀嚼能力と関連すること, また咀嚼能力の低下は食習慣や食意識にも影響をおよぼすことが示唆された。
  • 第1報更年期の影響についての検討
    大野 雄弘, 各務 秀明, 森 俊彰, 瀬古 和秀, 平松 善之, 重冨 俊雄, 上田 実
    1995 年 10 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    舌痛症患者の長期予後についての報告は少なく, 今回われわれはアンケート法による検討を行った。対象は1988年 (昭和63年) から1992年 (平成4年) までに名古屋大学医学部付属病院歯科口腔外科を受診し, 舌痛症と診断を受けた患者で, 対象276名中, 男性は66名, 女性は210名であった。今回は更年期の影響について検討するため女性を対象とした。アンケートは1994年 (平成6年) 10月に施行し, 女性患者210名中, 転居および死亡15名を除いて119名から有効な回答が得られた。患者の現在の年齢は28歳から80歳に分布し, 平均年齢は61歳であった。当科初診後2年から3年経過している例が40名, 4年から5年経過例が46名, 6年以上が33名であった。治療後の長期予後について, 治療時の年齢と, 成績との関係から検討した。年齢との関係では, 好発年齢である55~64歳の患者での改善が少ない事と45~54歳の更年期前後での悪化例が少ないことが特徴であった。治療成績との関係では, 治療時に治癒したもの31名中で再発はわずか2名であり, 治療結果が良い症例では長期予後も良好と考えられた。
  • 御郷 信也, 尾関 雅彦, 芝 〓彦
    1995 年 10 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    昭和大学歯科病院第3補綴科に来院した40歳以上の初診患者293名を対象にして面接調査と口腔内診査をおこない, 歯科に対する不安と口腔内状態および社会的属性因子 (性, 年齢教育水準, 配偶者の有無) との関連を検討した。歯科に対する不安を調査するためにCorahの開発した歯科不安の尺度 (DAS) を用いた。まず対象者を無歯顎者と有歯顎者とに分け, さらに有歯顎者については欠損歯列を有する者と欠損歯列を有しない者とに分類して3つのグループの歯科に対する不安を比較検討した。
    その結果, 1.年齢が上がるほどDASの得点は低くなった。2.女性は男性よりDASの得点が高かった。3.DASの得点に学歴間では有意差は認あられなかった。4.口腔内状態はDASの得点と強い関連が認められ, 無歯顎者の得点が最も低く, 有歯顎者で欠損歯列を有する者が最も得点が高かった。5.配偶者の有無別ではDASの得点に性が強い影響を与えていた。男性では配偶者のいない者は配偶者のいる者に比較してDASは高い値を示したのに対し, 女性では配偶者のいない者は配偶者のいる者よりDASの得点は低い値を示し, 性と配偶者の有無に交互作用が認められた。
    以上の結果より, 口腔内状態や社会的属性因子は対象者の歯科に対する不安に影響を及ぼしており, 歯科領域での行動科学的分析の必要性が示唆された。
  • 放射線学的研究
    岩井 一男, 橋本 光二, 河邊 弥寿恵, 篠田 宏司, 工藤 逸郎
    1995 年 10 巻 1 号 p. 31-41
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2012/02/17
    ジャーナル フリー
    近年のコンピュータ断層撮影法 (CT) の普及により上顎洞の横断像が容易に得られるようになった。そこで臨床で撮影されたCT像から, 正常上顎洞の加齢による形態変化について, とくに洞の前後径, 幅径, 面積, 前壁および後側壁の形状, さらに上顎臼歯の喪失と洞の形態変化との関連性について検討したので報告する。
  • 第1報患側と健側の触覚能の差
    加藤 美恵, 植松 宏, 梅崎 伸子, 江面 陽子, 酒井 信明
    1995 年 10 巻 1 号 p. 42-48
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    脳卒中片麻痺患者の口腔周囲の触覚について, 麻痺側と健側の定量的な測定を行い, 障害の程度を明らかにした。
    片麻痺患者34例 (男30例, 女4例, 平均年齢45.6歳) と, 健常者24例 (男22例, 女2例, 平均年齢44.6歳) を対象とした。
    触覚の検査はvon Freyの方法にならって実施した。測定部位は三叉神経第2枝領域の上口唇と頬部上方の2ヵ所, 第3枝領域の下口唇と頗部下方の2ヵ所で, 顔面の片側で4ヵ所, 両側合わせて計8ヵ所である。検査はvon Freyの刺激毛で皮膚表面に触れて定量的に評価した。測定は250mgより始めた。そして250mgで知覚した場合を「1」, 500mgで知覚した場合を「2」, 1gで知覚した場合を「3」, 2gで知覚した場合を「4」, 2gでも知覚されない場合を「5」の5段階のグレードで評価した。
    その結果, 健常者群では, 24例中2例が延べ192の測定点のうち3ヵ所 (1.6%) でグレード2であった他はすべてグレード1であり, この測定法による正常値は250g以下と考えられた。また, 健常者では触覚閾値の左右差が認められなかった。
    片麻痺患者では, 麻痺側の4ヵ所と健側の4ヵ所のグレードを合計した値の平均値を比較すると, 麻痺側の13.64±6.16に対し, 健側は4.68±1.90であり両群間には有意差があった。さらに三叉神経第2枝, 3枝領域別にみても麻痺側と健側の間に有意差を認めた。測定部位別では, 口唇部は頬部より触覚閾値の上昇が少なかった。頭蓋内の病巣部位と触覚障害との関連は明瞭でなかった。咀嚼の習慣は麻痺側で咀嚼するケースが17.86%で, 健側の82.14%に比べて著しく少なかった。その理由は咬んだ感じがしないとのことであった。
  • 新海 航一, 江面 晃, 深井 浩一, 黒川 裕臣, 稲葉 友良, 浅沼 直樹, 大沼 智之, 加藤 喜郎, 畑 好昭
    1995 年 10 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    本学では, 1987年9月に在宅歯科往診ケアチームを組織し, 活動を開始した。今回我々はこれまでに行った在宅歯科診療における保存処置の割合やその内容について分析した。1988年1月より1993年12月までの間に在宅下でのみ行われた処置内容の年平均では, 補綴処置が54.1%で大半を占め, ついでその他17.3%, 外科処置12.8%, 保存処置10.7%, 歯周処置5.1%であった。また同治療期間において入院下で行われた処置も含めた各々の割合の年平均では, 補綴処置が38.7%, 外科処置32.1%, 保存処置16.0%, その他8.9%, 歯周処置4.3%であり, 在宅下のみの結果と比較し, 外科処置と保存処置の割合が高くなっていた。入院下を含め同期間に行われた処置について年齢別にみると70才以上の患者では補綴処置が約半分を占め, ついで外科処置の割合が高く, 保存処置の割合は低い結果を示した。しかし70才未満の患者では補綴処置の割合が低く, 外科処置と保存処置の割合が高かった。初診時において保存処置を必要とする患歯を有しさらに残存歯を10本以上有する39症例を選択し保存処置率を調べた。初診時に要保存処置と診断された患歯の総数は194本で, 一人当たり5.0本であった。1993年12月までに保存処置された歯の総数は87本で1症例当たり2.2本, 処置率は44.9%であった。そのうち入院下で処置された歯の総数は42本, 48.3%, 在宅下で処置された歯の総数は45本, 51.7%で両者はほぼ同じ割合を示した。
  • 山田 晴子, 三木 尚子, 中上 牧, 野田 充絵, 関根 志保, 白井 敦子, 菊谷 武, 石田 鉄光, 鈴木 章, 稲葉 繁
    1995 年 10 巻 1 号 p. 56-62
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    理想的な欠損補綴が施された場合でも, 食生活に向上が認められない場合が観察される。その一因として摂食意欲・意識の低下が考えられる。そこで今回, 高齢者の摂食意欲・意識を把握し評価するためにアンケートによる調査法を考察・試作した。
    アンケートは摂食意欲に関する8項目, 意識に関する4項目から成り立っている。これを臨床に応用した。対象は当高齢者歯科来院患者122名 (男性56名, 女性66名, 平均年齢70.0歳) とした。
    初診時に摂食意欲・意識調査票を渡し記入させ, あわせて3日間の食事記録を調査した。
    高齢者の摂食意欲は普通よりやや良いと答えたものが多く, 摂食意欲は普通と答えたものが多かった。摂食意欲・意識の高いものは, 栄養摂取量が多く, 栄養所要量を上回っていたが, 摂食意欲・意識の低いものは所要量を下回っていた。これらの結果から, 今回試作したアンケート調査票は実用性があると考える。
  • 実施方法の検討
    外木 守雄, 田村 英俊, 畑田 憲一, 小沢 靖弘, 山 満, 高木 多加志, 矢島 安朝, 柴原 孝彦, 山根 源之, 野間 弘康, 小 ...
    1995 年 10 巻 1 号 p. 63-70
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    癌の治癒率を向上するためには, 早期発見, 早期治療が最も重要であると考える。
    癌を早期に発見する手段として, 集団検診は有効な方法のひとつであると考える。
    千葉市歯科医師会は, 口腔癌でも, 集団検診の実施が治癒率の向上に結び付くものと考え, 平成4年度より, 口腔保健の啓蒙活動を目的とした「ヘルシーカムカム」を開催し, この中に口腔癌検診コーナーを設けてきた。
    今回, 検診の実施方法や結果および実施上の問題点などについて報告する。
    【方法】検診対象者は市の公報での呼びかけに申し込みを行った者で, 検診は問診, 視診, 触診を中心に行い, 精密検査が必要な場合は2次該当施設へ紹介することとした。なお, 異常が見られなくても口腔衛生相談や指導, カウンセリングなどを十分に行った。
    【結果および考察】92年度52名, 93年度207名, 94年度262名で, 年々増加傾向にあった。検査結果で, なんらかの異常が確認された病変は, 3年間で計137例あり, 全例, 2次該当施設へ紹介したが, このうち悪性病変は確認されなかった。
    【考察】口腔癌を早期発見, 早期治療を行うためには, 地区住民の口腔に対する意識を向上させ, 地区組織と協力しながら検診を行っていくことが望ましいと思われる。
    この口腔癌検診が広く一般的に認知され, 全国規模で実施される必要性があると考える。
  • 杉原 直樹, 眞木 吉信, 高江洲 義矩, 関口 基, 金子 充人, 砂川 豊, 喜多詰 規雄, 土田 和由, 湯浅 太郎
    1995 年 10 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 1995/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    千葉市は平成4年4月から政令指定都市に移行し, 保健衛生行政の体制の整備を図っている。この流れの中で千葉市歯科医師会も地域住民に対する保健医療サービスの充実に努めており, とくに要介護老人の口腔保健については, 平成2年より検討を重ねてきた。そして, 平成5年より固定診療所方式 (センター方式) での要介護老人歯科診療を開始した。
    千葉市歯科医師会では平成2年4月に歯科医師会内に総合保健医療センター特別委員会を設置し, そのなかで要介護老人歯科診療対策小委員会を組織した。委員会では, 学術講演会の開催, 他市における事例研究・施設見学および総合保健医療センター口腔保健施設部門の設計図ならびに機器備品リストの立案を行った。また, 口腔保健事業をすすめる際に考慮しなければならない問題を検討するため千葉市内の在宅要介護老人の介護状況や生活実態, 口腔の健康状態および歯科治療へのニーズを把握する目的で実態調査を実施した。そして, 平成5年4月に千葉市保健医療センターが開所し, 5月より歯科診療を開始した。千葉市の在宅要介護老人歯科診療事業は, 財団法人千葉市保健医療事業団の事業の一環として行われている。
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