癌の治癒率を向上するためには, 早期発見, 早期治療が最も重要であると考える。
癌を早期に発見する手段として, 集団検診は有効な方法のひとつであると考える。
千葉市歯科医師会は, 口腔癌でも, 集団検診の実施が治癒率の向上に結び付くものと考え, 平成4年度より, 口腔保健の啓蒙活動を目的とした「ヘルシーカムカム」を開催し, この中に口腔癌検診コーナーを設けてきた。
今回, 検診の実施方法や結果および実施上の問題点などについて報告する。
【方法】検診対象者は市の公報での呼びかけに申し込みを行った者で, 検診は問診, 視診, 触診を中心に行い, 精密検査が必要な場合は2次該当施設へ紹介することとした。なお, 異常が見られなくても口腔衛生相談や指導, カウンセリングなどを十分に行った。
【結果および考察】92年度52名, 93年度207名, 94年度262名で, 年々増加傾向にあった。検査結果で, なんらかの異常が確認された病変は, 3年間で計137例あり, 全例, 2次該当施設へ紹介したが, このうち悪性病変は確認されなかった。
【考察】口腔癌を早期発見, 早期治療を行うためには, 地区住民の口腔に対する意識を向上させ, 地区組織と協力しながら検診を行っていくことが望ましいと思われる。
この口腔癌検診が広く一般的に認知され, 全国規模で実施される必要性があると考える。
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