老年歯科医学
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11 巻, 1 号
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  • 長尾 正憲
    1996 年 11 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 1996/07/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 山崎 博嗣, 佐野 浩, 川島 康, 水野 嘉夫
    1996 年 11 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 1996/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    歯科臨床において, 高齢者では合併症を有している患者が増加し, 種々な薬剤を服用している場合が多い。なかでも抗凝血薬服用中の患者に対して抜歯を主とする歯科小手術を行った際の後出血が問題となる。経口抗凝固剤に関しては報告例も多く, 対処法についてもほぼ判明している。また, 主として血液透析患者に用いられるヘパリン類は, その半減期を考慮しなければならない。一方, 抗血小板薬は理論的には血小板の寿命のあるうちは効果があるが, 歯科小手術時の後出血の有無についての報告は僅かであり, その取扱い方は一定していない。そこで, 今回われわれは, 抗血小板薬服用患者20名に対して抜歯を主とする小手術 (抜歯33回, 舌良性腫瘍摘出1回) を, 抗血小板薬の服用を中止せずに行い, 経過観察を行い検討した。局所麻酔薬には1/8万エピネフリン添加2%キシロカイン ® (塩酸リドカイン) を使用し, 術中は, 8チャンネルポリグラフあるいは自動血圧計を用いた監視を行った。
    その結果は以下の如くであった。
    1.後出血をきたしたのは, 1症例1回だけで, パナルジン ® 単独使用例であり, 通常の抜歯後の圧迫止血を行った症例であった。
    2.手術創の縫合と通常より長めの圧迫止血を行った症例では, 後出血は認められなかった。
    3.歯科医は, 抗血小板薬の適応疾患の拡大あるいは, 作用機序の異なる新薬開発の可能性に対応していく必要があると考えられた。
  • 金 昇孝, 山内 六男, 藤本 一博, 小川 雅之, 棚橋 正志
    1996 年 11 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 1996/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    高齢患者の歯科治療に際して, 血圧測定はルーチンに行うべき検査である。最近では, 簡便さの点から家庭用自動血圧計がよく用いられている。本研究では, 測定部位の異なる自動血圧計3機種を歯科に応用することを目的として, チェアー上で測定した場合, 機種によってどの程度測定値が変動するかについて検討した。また, 水銀血圧計を用いた聴診法による測定値と自動血圧計による測定値とどの程度相関があるのかについて検討した。
    被験者には20歳代の男性25名と女性25名 (青年群), 65歳以上の男性25名と女性25名 (高齢者群) の計100名を用いた。自動血圧測定装置には上腕部測定型, 手首部測定型および指基部測定型を用いた。これらはいずれもオシロメトリック法にもとずいた自動血圧測定装置である。測定時の体位は座位と水平位とした。
    指基部測定型で測定した血圧は聴診法よりも高く, 上腕部測定型では聴診法より低く, 手首部測定型では聴診法と同程度の値を示した。ただし, 自動血圧計3機種の測定値と聴診法による測定値との間には有意な正の相関がみられた。測定値のバラツキは聴診法が最も少なく, 次いで上腕部測定型および手首部測定型であり, 指基部測定型が最もバラツキが大きかった。
    以上の結果から, 自動血圧計を歯科臨床に応用する場合, 用いる機種毎に聴診法との相違を把握しておく必要性あること, また, 指基部測定型は測定値の信頼性が乏しいことが示唆された。
  • 有床義歯への「ネーム入れ」の効果
    金井 博文, 笠原 浩, 太田 慎吾, 小柴 慶一, 穂坂 一夫, 渡辺 達夫, 山岸 利夫, 伊藤 充雄
    1996 年 11 巻 1 号 p. 18-24
    発行日: 1996/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    高齢者が入所している病院や施設において, 職員が置き忘られた義歯の所有者を探すことは難しく, 所有者が知的障害を伴えば, さらに困難である。有床義歯のマーキング (ネーム入れ) についての要介護高齢者自身のデマンドを明らかにするために, 有床義歯へのネーム入れについての希望の有無について, 面接による質問調査を行った。ネーム入れを希望した者は, 調査対象者36名中25名で, 痴呆の疑いの有無とネーム入れ希望との間に関連性は認あられなかつた。
    ネーム入れ希望者の義歯には, 漢字ラベルライターおよび透明光重合レジンを用いる著者らが考案した方法で, 施設内にて実際にネーム入れを行い, 1ヵ月および1年後の予後を追跡調査するとともに, 施設職員, 保護者にその有用性についてのアンケート調査を行った。1ヵ月後の予後調査では, 義歯42床中の1床 (2.4%) のみに名前表示部位の辺縁の一部にわずかな破折を認めた。1年後の予後調査では, 25床中の4床 (16.0%) に辺縁の剥離や着色などの変化が認められたが, いずれも軽度のものであつた。
    ネーム入れを行つた後での施設職員, 保護者に対するアンケート調査の結果では, 義歯の個人識別や紛失防止等の理由によりネーム入れは有用であると評価されていた。今回行つたマーキング法は, 広く応用できるものと考える。
  • 第2報保健婦からみた口腔内状況と歯科保健の重要事項
    下山 和弘, 岡田 弥生, 内田 達郎, 石川 直人, 小林 章二, 横地 みや子, 長尾 正憲
    1996 年 11 巻 1 号 p. 25-33
    発行日: 1996/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    在宅ケアでの歯科保健の充実を図るためには, 歯科保健に対する保健婦の意識および行動を明らかにすることが有効であると考え, 東京都および埼玉県で勤務する保健婦を対象に在宅ケアに関連する事項を中心に歯科保健に関するアンケート調査を行った。有効回答者は155名であった。
    在宅寝たきり老人の「義歯の状態が悪い」とした者は94.2%であった。在宅寝たきり老人の口腔で最も問題となることは「義歯不適合」とした者が53.5%であった。義歯に対する満足度に関しては, 「義歯に満足しているとは思わない」とした者が94.8%であった。このように, 在宅寝たきり老人の口腔の問題は義歯に関することが最も多かった。
    保健婦として在宅ケアで重要と思う歯科に関する事項として多く選択されたものは, 「義歯の清掃方法」 (81.3%), 「歯の清掃方法」 (79.4%), 「歯科受診の必要性の判断」 (69.0%) であった。保健婦として知識不足と思う歯科に関する事項として多く選択されたものは, 「義歯による治療」 (76.1%), 「歯の治療」 (74.8%), 「歯科受診の必要性の判断」 (69.7%), 「義歯の清掃方法」 (67.1%) であった。これらの結果から, 歯科保健に関する教育, 指導にあたっては, 口腔ケアと口腔内状況を的確に評価, 判断できる能力を育成することが重要であると思われる。
  • 中村 広一, 大仲 功一, 川邊 裕文, 出倉 庸子
    1996 年 11 巻 1 号 p. 34-38
    発行日: 1996/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    脳梗塞患者にみられた義歯取扱い能力の障害を脳血管障害の後遺症のひとつである半側無視との関連から検討した。
    患者は63歳の主婦で当科受診約4ヵ月前に右中大脳動脈の閉塞により右前頭葉, 側頭葉, 頭頂葉の皮質, 皮質下に広範な脳梗塞を発症し, 左片麻痺 (非利手側) に加え, 左半側無視, 病態失認などの高次脳機能障害を後遺した。入院中の本院理学診療科より紹介され, 補綴治療を希望して1993年7月15日に当科を受診した。左片麻痺のため歩行不能で, 左手 (非利手) 麻痺を認めた。左三叉神経 (第1~3枝) 領域の顔面皮膚および口腔粘膜に知覚麻痺を認めた。意識, 記憶および見当識にとくに問題はなかった。〓部に適合・咬合ともに不良な床義歯を装用していた。
    初診の時点で, 患者に義歯装着を命じて装着所要時間を測定したところ, 上顎義歯は12秒でスムーズに装着したが, 下顎義歯の装着には難渋し, 麻痺した左手まで使おうとした (病態失認) 。結局, 180秒で装着を中止させた。当日より新義歯の制作を含めた歯科治療を開始した。
    1993年10月5日, 新義歯が完成した時点で装着所要時間を再び測定したところ, 下顎義歯は13秒で装着できたが上顎義歯の装着に難渋したため, 117秒で介助して装着させた。その後, 51砂で自力装着に成功したり, 247秒でも装着できないといった状況が続いた。約1ヵ月後, 装着所要時間は19秒に短縮し, 以後2年間にわたって12~19秒台で安定して経過している。
    本患者にみられた義歯装着の失敗は, 劣位 (右) 半球の損傷に後遺した左半側無視のために, 自分の身体の左側に位置する鉤歯 (2) と鉤の間の空間的位置関係がつかめないことに起因したものと考えられた。本症例では義歯完成の1ヵ月後に義歯取扱い能力の改善をみたが, 原病の自然回復に伴う半側無視の改善の結果と考えられた。
  • 第 3 報 たんぽぽ歯科診療所における全身管理症例に関する統計的検討
    吉田 幸弘, 京田 直人, 高田 耕司, 見崎 徹, 秋本 康志, 野村 千秋, 臼井 潔, 根岸 哲夫, 安斎 平治
    1996 年 11 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 1996/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    葛飾区歯科医師会の在宅寝たきり老人専用の歯科診療所 (たんぽぽ歯科診療所) において全身管理を施行した症例について統計的観察を行つた。
    対象は平成2年8月から平成7年9月までの5年2ヶ月間に当施設を受診した患者488人の中で歯科麻酔科医が全身管理を行った症例155人とした。
    対象症例の平均年齢は, 78.6歳で男女別では女性が多く見られた。治療内容は150例 (96.7%) が外科処置であった。術前合併症は, 脳血管障害が82人 (53%) と最多を占めていた。術中の管理方法は笑気吸入鎮静法を併用したのが6例 (3.8%) で, 酸素投与の症例が7例 (4.5%) で残りはモニターによる監視を行った。術中合併症は, 血圧上昇が7例, 心電図異常が11例に認められた。術中の収縮期圧は平常時に比べ平均32mmHg, 拡張期圧は平均17mmHgの有意な上昇を示し, 心拍数も同様に平均13beat・min-1上昇した。パルスオキシメーターによる動脈血酸素飽和度は, 平均96.5%から94.5%へと有意に低下し, 治療操作により呼吸が抑制される傾向がみられた。血圧上昇, 心電図異常, 高血糖値で処置を中止した症例が20例みられた。
    在宅寝たきり老人は, 脳血管, 循環器系合併症を有していることが多く, 術中の循環器系の変動が大きいため, 循環器系モニターが必須であること, また, 治療中には呼吸抑制が生じやすいため, パルスオキシメーターの有用性が高いと思われた。
  • 補綴処置による筋電図及び顎運動から見た機能回復
    高岡 征樹, 島谷 肇, 藤原 到, 奥田 啓之, 兼平 治和, 前田 照太, 井上 宏
    1996 年 11 巻 1 号 p. 44-51
    発行日: 1996/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    高齢者の生理的機能の老化にともない顎口腔系の機能も同様な変化がみられることはよく知られている。このような環境の中で, 高齢者が新義歯に適応していくことは長期間を要すると思われる。したがって高齢者において口腔内の急激な環境変化を少なくし, 最終義歯にスムーズに移行させることは今後, 補綴臨床においてますます重要になる。今回我々は, 咬合高径の低下, 下顎の偏位および顎関節部痙痛を伴なう高齢者に顎位の修正を行い, 旧義歯の改善, 暫間義歯, 最終義歯と移行する経過をEMG, MKGおよび顎関節X線写真から長期的に記録し, 観察を行った。その結果, ガム咀囎時, 時間的要素の平均値とCVはともに経日的に暫間義歯装着時の値に近づき, 患者固有のリズムに回復した。また鰯活動電位は, 義歯装着直後には一旦低下するものの経日的に増加の傾向を示した。
    一方顎運動経路は, 暫間義歯装着直後から経日的に各ストロークの中心咬合位に収束し, 一定した涙滴状を示した。さらに顎関節X線写真では, 両側穎頭位の位置的改善とともに可動性の増加がみられた。
    以上より高齢者の補綴処置の症例を咀噛筋筋電図, 顎運動および顎関節X線写真の長期的記録から, 時間経過にともなう義歯への適応が推察され, 有効な治療であることを明らかにした。
  • 第1報 全身状態と口腔内状況との関連について
    金 容善, 渋谷 徹, 丹羽 均, 神吉 利美, 久山 健, 松浦 英夫
    1996 年 11 巻 1 号 p. 52-61
    発行日: 1996/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    特別養護老人ホームに併設された歯科診療所受診者の全身状態と口腔内状況との関連について臨床統計的観察を行い, 以下の結果が得られた。
    1.全身的基礎疾患としては, 脳動脈硬化症, 高血圧症, 虚血性心疾患などの循環器系疾患が上位を占め, “多疾患でしかも多種多剤併用” という高齢者疾患の特徴がみられた。
    2.安静時の標準12誘導心電図所見では, 臨床症状を自覚していなくても, 完全房室ブロックに移行する危険性のあるものや, 広範囲にわたる心筋梗塞がみられ, 高齢者に対する心電図検査は必須事項であると思われた。
    3.ADLの低下が, そのまま口腔衛生状態および機龍の低下に結びつくことが示唆され, 歯科治療に対して受け身にならざるを得ない環境に置かれている高齢者に対しては, 歯科医療従事者側からの積極的な働きかけが不可欠であると思われた。
    4.片麻痺患者では, 部分床義歯着脱時にクラスプなどの維持装置の扱いが困難なため, 装着率が極端に低く, 部分床義歯の設計段階において特別な工夫が必要であると思われた。
    5.虚血性心疾患患者では, 積極的な歯科治療が敬遠されてきたため, 口腔内状況が極めて悪いことが示された。
    6.意志の伝達がうまくできない痴呆患者では, “食欲減退” など歯科とは一見関係が無いような徴候の原因が歯科疾患である場合もあり, このような徴候をも見逃さないことが重要であると思われた。
  • 山根 瞳
    1996 年 11 巻 1 号 p. 62
    発行日: 1996/07/31
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 杉原 直樹
    1996 年 11 巻 1 号 p. 63-65
    発行日: 1996/07/31
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
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