老年歯科医学
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16 巻, 3 号
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  • 米山 武義
    2002 年 16 巻 3 号 p. 309
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • Ronald L. Ettinger
    2002 年 16 巻 3 号 p. 311-319
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
    高齢者歯科に関わりのある大多数の人が知るところのRonald L. Ettinger教授は, これまで100篇以上の論文を発表し, 2001年にIADR (International Association for Dental Research, 国際歯科研究学会) の高齢者歯科部門の3人目のDistinguished Scientist Awardに輝いた研究者であろう。しかし, 1999年末から約1年間彼のもとに留学した私の見たEttinger教授は, 米国アイオワ大学高齢者歯科プログラムの主任であり, 高齢者歯科の学生教育と臨床に大半の時間を費やす大学の教師であり臨床家である。60歳を迎えた今でも情熱的に心やさしく学生に接し, 実習の打ち上げに, 学生をピザパーティーに誘う暖かい先生である。
    第12回日本老年歯科医学会での彼の講演は, まさに彼の日常の報告であり, 数々の講義や講演を経て, 高齢者歯科の本質をいかに具体的にわかりやすく伝えるかを考えた末にたどり着いたひとつのスタイルである。
    本稿は, 講演のうち一症例について, 講演では触れられなかった解説も加えて書き下ろしたものである。緒言にも述べられているように, 高齢者は, それぞれの健康状態, ライフスタイル, 教育レベル, 経済・社会環境そしてもちろん口腔内状態に関して若年者に比べて極めて個人差が大きく, これらは全て歯科治療計画に影響する。暦年齢による評価は, 高齢者歯科では意味をなさない。歯科医師は全身疾患や薬剤の知識はもちろん, 経済状況や生活環境も含めて患者を包括的に評価し, ニーズに合った治療計画を立てる能力が要求される。今回提示された症例は, 初診時76歳の高血圧, 膝関節炎と精神疾患を持つ介護の必要な女性患者で, 彼女が亡くなるまでの14年間に思考し, 実践した歯科治療の記録である。患者は多剤服用が原因と思われる口腔乾燥症とデイスキネジアによって最後まで義歯装着が困難であった。服用薬剤と全身疾患に関する詳細な記述とともに, いずれ死を迎える患者の本質的なニーズや成功の見込みを考える過程に注目すべきであろう。
  • 植田 耕一郎
    2002 年 16 巻 3 号 p. 320-326
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 形態学的検討
    加藤 大輔, 穂積 英治, 村上 弘, 横山 隆, 伊藤 裕, 前田 初彦, 亀山 洋一郎
    2002 年 16 巻 3 号 p. 327-335
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    目的: 臼歯喪失期間の違いが, 学習・記憶の中枢と言われる海馬に及ぼす影響を明らかにするために, 老化促進モデルマウスP8//Ymi (以下SAMP8と略す) を用いて, 海馬の形態学的検討を行った。
    方法: 実験動物として2ヵ月齢のSAMP8, 30匹を使用した。処置動物は, 2ヵ月齢で上顎両側全臼歯を抜歯し, 3ヵ月齢 (若齢期), 5ヵ月齢 (中年期), 8ヵ月齢 (老齢期) まで飼育した3群とした。これに対し, 無処置動物として2ヵ月齢で抜歯を行わず, 3, 5, 8ヵ月齢まで飼育した3群を設定した。SAMP8が観察月齢に達したところで, 脳組織切片を作製し, 通法に従いNissl染色を行い, 海馬CA3領域の錐体細胞の形態学的観察を行った。
    結果: 臼歯喪失を伴う処置動物と臼歯喪失を伴わない無処置動物を比較すると, 中年期において海馬CA3領域の錐体細胞数ならびに細胞面積の減少が認められたが, 若齢期, 老齢期において差は認められなかった。また加齢によって処置動物, 無処置動物ともに, 海馬CA3領域の単位面積当たりの錐体細胞数ならびに細胞面積の減少が認められたが, 処置動物では中年期に, 無処置動物では老齢期に減少した。
    結論: 臼歯喪失を伴うSAMP8は, 臼歯喪失を伴わないものと比較して, 早期に海馬CA3領域の錐体細胞数ならびに細胞面積の減少が認められたことから, 臼歯喪失は加齢に伴う海馬の形態学的変化を促進させる可能性が示唆された。
  • 細井 紀雄, 東條 敏明, 鶴本 明久, 近藤 彩
    2002 年 16 巻 3 号 p. 336-343
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    高齢無歯顎患者の義歯による健康の保持, 増進は活力ある高齢社会の構築にとって重要な課題といえる。歯を欠損した高齢者は, 義歯装着により咀嚼機能が改善されるばかりでなく, 日常生活の活動能力が向上し, 身体的, 精神的, 社会的にも健康になると考えられる。
    今回, QOLの向上に関わると思われる義歯に関する不満や症状, 原因および社会要因まで含めた質問紙を作成し全部床義歯患者に対してアンケート調査を行った結果, 以下の結論を得た。
    1. 全部床義歯患者の年齢とQOL要因問には負の相関が認められた。またQOL要因相互では全ての要因において有意に相関が認められた。
    2. 義歯装着半年以内群と5年経過群における要因間の比較を行った結果, 全ての要因において義歯装着5年経過群の得点が有意に高くなった。
    3. 下顎骨の高さとQOL要因間には全て負の相関が認められたが, 有意な相関が認められたのは, 義歯装着半年以内群では活動性, 5年経過群では機能と会話であった。
    4. 因子分析を行った結果, 質問紙における尺度構城は機能的因子, 会話的因子, 審美的因子, 活動・心理的因子の4尺度になり, 合計27項目で構成された義歯に関する質問紙を作成した。
  • 増田 静佳
    2002 年 16 巻 3 号 p. 344-349
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    訪問歯科診療で, 義歯の試適中に意識消失を起こした症例を経験した。
    患者は78歳の女性で, 主訴は歯牙欠損による咬合不全であった。既往歴は, 糖尿病, 高血圧, 高脂血症と, 脳出血・脳梗塞後遺症による右片麻痺, 痴呆, 抑うつ症であった。
    初診では, 口腔内診査により上下顎部分床義歯作製が予定され, その後訪問診療2~5回目まで, 特に問題なく経過した。
    6回目, 蝋義歯による仮床試適を行ったところ, 患者は突然椅子から倒れ, 意識を消失した。意識消失時間は10数秒程度であった。その後呼名に対しわずかな反応が出現し, 数分後, 顔色が戻りやがて会話が可能となった。約40分間, 経過を観察し, 一般状態に特に異常がないことを確認してから患家を退出した。
    この意識消失に陥った原因は, 既往歴から反復性のTIA (一過性脳虚血発作) や症候性てんかん等も疑われた。一方, 患者は痴呆による認知能力の低下があり, 診療内容に十分な理解を得る事が難しかったことやその経過から, 義歯試適がストレスとなった神経原性ショックの可能性も考えられた。
    訪問歯科診療の対象となるような予備力の少ない要介護高齢者に対しては, 義歯の試適のようなストレスが低いと考えられる処置に際しても注意が必要である。
  • 中村 広一
    2002 年 16 巻 3 号 p. 350-355
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    痴呆患者における義歯装着行為の障害の実態を明らかにする目的でその観察を行い, あわせて痴呆の進行程度と義歯装着行為の可否との関連性を検討した。対象は上下床義歯装用中の痴呆症例27例で, うち12例がアルツハイマー型痴呆であった。対象中, 義歯装着行為に障害のない装着可能群が14例 (平均67.4歳) および障害を伴う装着不能群が13例 (同70.7歳) であった。
    義歯装着行為の観察の結果, 装着不能群では認識や行為の障害, すなわち失認や矢行のために, 義歯という物品の使用法やその形態の正しい認識ができなかったり, 自分の身体と義歯との対応関係および空間的位置関係がつかめず, 義歯装着に失敗することが確認された。
    一方, 対象に見当識に関わる1「氏名」, 2「生年月日」, 3「満年齢」, 4「入院病棟番号」, 5「病棟主治医の姓」, 6「当日の日付」の6項目の質問を行って, 各項目ごとに正答者の割合 (以下, 正答者率) を求めた。その結果, 対象全体の正答者率は, 項目1の100%から項目6の0%へと単調に減少し, 正答可能な項目によって痴呆の評価が可能と考えた。
    さらに各項目ごとに正答者率と義歯装着行為の障害の有無との関連性を検討した。対象全体では装着可能群の正答者率は項目1, 6以外で装着不能群より高かったが, いずれの項目においても両群間に有意 (p<0.05) の差を認めなかった。アルツハイマー型痴呆では, 「生年月日」の項目における装着可能群の正答者率が装着不能群に比べて有意 (p<0.05) に高く, 本項目が義歯装着行為の障害の有無を予測するのに有用と考えた。
  • 長岡 英一, 西 恭宏, 鎌下 祐次, 濱野 徹, 小野原 昌弘
    2002 年 16 巻 3 号 p. 356-365
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    顎堤が高度に萎縮した無歯顎患者の病態は多様で, 咀嚼不全による不満足な食生活など, その症状により患者のQOLは様々な程度に障害されている。これらの病状は, 義歯改造により改善され, その改善に伴って患者の表情が明るくなることも経験する。このような表情の変化は, 精神的ストレスの軽減あるいは気分の改善によりもたらされるため, その客観的評価が重要である。
    そこで, 著者らは, Lorishらがリウマチ患者の気分を評価するために開発したFaceScaleを義歯患者に適用する方法について検討している。
    一方, 著明な骨吸収により高度に下顎骨が萎縮した無歯顎患者に対して, 頬棚部を有効に活用して, それによる支持と頬筋による維持を得て義歯の安定性を確保し, 良好な治療成績を得ている。
    本論文の目的は, 下顎骨骨折例を含む3名の下顎骨高度萎縮無歯顎患者の治療成績をもとに, FaceScaleによる義歯患者の気分評価の有用性と利用法を提示し, FaceScaleが義歯患者のQOLの評価に有用であることを示すことである。1症例においてアンケートに記載された患者の気分を客観的に評価する方法の必要性を問題提起的に提示したあと, オリジナルの20段階のFaceScaleを最初に適用した症例を提示し, 7段階に改変したFaceScaleの適用例を提示する。
  • 角 保徳, 道脇 幸博, 三浦 宏子, 中村 康典
    2002 年 16 巻 3 号 p. 366-371
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
    高齢者の口腔ケアの自立度は徐々に低下し, 介護者による日々の口腔ケアの役割は重要となってきている。しかし, 介護者の時間的制約, 他人の歯を清掃する技術的困難さ, 要介護高齢者の協力が得られないことおよび口腔ケアの必要性の知識の欠如により, 介護者による口腔ケアは必ずしも適切に提供されていない。本研究の目的は, 介護者の負担を軽減するような要介護高齢者への簡便で有効な口腔ケアシステムを評価することにある。対象者は25名の要介護高齢者とその介護者である。8週間の口腔ケアシステムを施行した後, 歯垢指数, 歯肉指数を評価し, 同時に口腔ケアシステムを提供するに当たっての利点, 欠点, 負担度および疲労度を質問した。その結果, 1日1回の口腔ケアシステムによって歯垢指数, 歯肉指数は施行前に比較して有意に低下した。さらに, アンケート調査により介護者の負担度および疲労度は低下した。今回評価した口腔ケアシステムは, 要介護高齢者の口腔衛生向上に有効であり, 介護者の負担を軽減する事が確認された。
  • 別部 智司, 藤村 光廣, 小花 照雄, 志村 冨士夫
    2002 年 16 巻 3 号 p. 372-373
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 義歯用ブラシ, 義歯用歯磨き剤
    下山 和弘, 秋本 和宏
    2002 年 16 巻 3 号 p. 374-378
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 中谷 敏恭, 菅 武雄, 盛池 暁子, 飯田 良平, 森戸 光彦
    2002 年 16 巻 3 号 p. 379-382
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 岩佐 康行
    2002 年 16 巻 3 号 p. 383-387
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 小川 仲子
    2002 年 16 巻 3 号 p. 388-393
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 第12回老年歯科医学会総会シンポジウムから
    新庄 文明
    2002 年 16 巻 3 号 p. 395
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 花田 信弘
    2002 年 16 巻 3 号 p. 396-398
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 池邉 一典
    2002 年 16 巻 3 号 p. 398-401
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • デンタルデバイス感染症
    市川 哲雄
    2002 年 16 巻 3 号 p. 401-405
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 西村 英紀
    2002 年 16 巻 3 号 p. 405-407
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 臨床の立場から
    足立 了平
    2002 年 16 巻 3 号 p. 407-410
    発行日: 2002年
    公開日: 2014/02/26
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 16 巻 3 号 p. 411-418
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 16 巻 3 号 p. 419-426
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 16 巻 3 号 p. 427-446
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 16 巻 3 号 p. 447-459
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/12/05
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 16 巻 3 号 p. 460-473
    発行日: 2002年
    公開日: 2011/12/05
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