老年歯科医学
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23 巻, 1 号
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  • 山根 源之
    2008 年 23 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 須田 牧夫, 菊谷 武, 田村 文誉, 米山 武義
    2008 年 23 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 窒息事故の既往とその関連要因について検討した。調査対象は首都圏に在住する在宅要介護高齢者で, 通所介護施設の利用者308名 (男性90名, 女性218名) とした。方法は, 窒息事故の既往に関するアンケート調査を行い, 窒息事故の既往と窒息の関連要因 (年齢, 性別, 体格, 日常生活動作能力, 認知機能, 基礎疾患, 服用薬剤, 食形態, 食事の介助, 咬合状態, 嚥下機能, 舌の運動の力) を比較分析した。得られた結果を以下に示す。
    1.過去1年間に食品による窒息事故の既往があった者は, 308名中36名 (11.7%, 男性12名, 女性24名, 平均年齢: 81.3±8.9歳) であった。
    2.単変量解析により有意にリスク因子であるとされた項目は, 日常生活動作能力, 認知機能, 脳血管障害の既往, 服用薬剤のうち嚥下機能に影響を与える薬剤の服用の有無, 食形態, 食事の介助, 嚥下機能, 舌の運動の力であった。
    3.ロジスティック回帰分析により, 脳血管障害の既往 (p<0.01), 嚥下障害の有無 (p<0.05) が有意な説明変数として採択された。
    以上のことより, 脳血管障害の既往, 嚥下障害のある者は, 窒息事故を起こす危険性が高く, このような者を介護する場合, 食事を中心とした日常介護において細心の注意を払う必要性のあることが示唆された。
  • 久野 彰子, 菊谷 武, 田村 文誉, 関野 愉, 児玉 実穂, 町田 麗子, 沼部 幸博
    2008 年 23 巻 1 号 p. 12-20
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    介護老人福祉施設入居者における唾液中の歯周病関連細菌数と口腔内状態, および全身状態との関連について検討を行った。対象は介護老人福祉施設6カ所の入居者で, 同意と協力の得られた37名 (男性13名, 女性24名, 平均年齢82 .1歳) とした。入居者の唾液を採取し, PCR-Invader法により唾液10μ1当たりのAggregatibacter actinomycetemcomitans (A.a), Prevotella intermedia (P.i), Porphyromonas gingivalis (P.g), Tannerella forsythia (T.f), Treponema denticola (T.d) の菌数を測定した。測定した菌数と入居者の年齢, 性別, 介護度, BMI, 歯周病の臨床パラメーター, 舌苔付着量, 食物残渣量との関連を検討した。
    その結果, 重度歯周炎のある群に, P.g, T.f, T.dが軽中等度群と比較して有意に多く検出され (p<0.05, p<0.05, p<0.01), 介護度, BMI, および食物残渣量と各細菌数との問に有意な関連は認められなかった。これらの結果より, 唾液から検出される歯周病関連細菌は, 入居者の全身状態にかかわらず, 主に歯周組織の状態と関連して検出されることが示唆された。
  • 伊藤 英俊, 菊谷 武, 田村 文誉, 羽村 章
    2008 年 23 巻 1 号 p. 21-30
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    軽度要介護高齢者の咬合, 摂食・嚥下機能と栄養の状態を明らかにし, 介護予防の基礎データとする目的で本研究を行った。対象は, 東京都内に立地する通所型介護施設の75歳以上の要介護高齢者213名 (男性52名, 女性161名, 平均年齢85.0±5.2歳) である。対象者の歯および咬合状態を評価し, 義歯の使用状況を調査した。また, 天然歯と義歯装着時をEichnerの咬合支持領域を参考に, 咬合支持維持群, 義歯咬合支持維持群, 咬合崩壊群の3群に分けて分析した。嚥下機能は反復唾液嚥下テストにより, 摂食機能不全は食事観察により評価した。栄養状態は身体計測法を用い, 上腕周囲長, 上腕三頭筋皮下脂肪厚を測定し, 上腕筋囲を算出した。これらの値について, 日本人の新身体計測基準値JARD2001の各年齢群, 性別の中央値をもとに身体計測値パーセンタイルとして算出した。
    その結果, 以下の知見を得た。
    1. 軽度要介護高齢者213名を対象に咬合, 摂食・嚥下機能と栄養の状態を調査し, 介護予防の基礎データを得ることができた。
    2. 臼歯部の咬合支持を失っている者が約80%に認められ, このうち約20%の者が補綴修復処置をされていなかった。
    3. 嚥下機能が障害されていると判断された者は22%に認められ, その多くは咬合状態が悪化していた。
    4. 嚥下機能が障害されている者や摂食機能不全を表す者は, 栄養状態の低下が認められた。
    5. 咬合支持の喪失者は, 栄養状態が低下していた。
    以上のことより, 軽度要介護高齢者においては, 咬合, 摂食・嚥下機能が低下している者が認められ, これらと栄養状態との関連が示唆された。
  • 清水 明美, 武田 美幸, 中川 政嗣
    2008 年 23 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    当園は, 入所者数380名弱, 平均年齢80歳のハンセン病療養所である。自立生活者が約140名, 要介護者が160名, 病棟入院患者が約80名である。末梢神経の障害によって, 口唇麻痺・口唇下垂, 軟口蓋部の変形や麻痺などのハンセン病後遺症をもつ入所者も多い。歯科外来では入所者の定期的口腔管理を, 病棟においても口腔ケアを実施している。ハンセン病後遺症のため口渇を訴える患者は多く, 病棟での口腔ケアでも開口状態となっている患者の口腔乾燥への対処は大きな問題であった。
    今回, 常時開口状態で舌背部が著明に乾燥した患者に対する適切な口腔ケアを見出すため, 細菌学的な評価を加えながら, 保湿を中心としたケア方法を検討したので報告する。
    患者は脳梗塞後の全身状態が安定せず, 長期臥床しており, 検討を開始した時点では頸部筋肉が拘縮しており, 常時開口状態であった。口腔ケア部位の中でも舌背部は, 1日3回の口腔ケアでは, その乾燥に対処できなかった。乾燥した舌背を通常方法にてケアした場合, 舌背上には多量の細菌が存在しており, 薬液の使用が必要であった。また, 乾燥した舌背部を湿潤に保つために数種類の保湿剤を試用したが, 湿潤状態の維持時間に差はなく, 最低2時間ごとの保湿が必要であった。
    今回, 看護業務の中に組み入れることで対応できたが, 入院直後の早い時期から常時開口状態とならないように口腔機能の維持にも努力しなければならない。
  • 三串 伸哉, 戸原 玄, 植松 宏
    2008 年 23 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    (目的) 摂食・嚥下障害の診断法として嚥下内視鏡検査 (VE) がある。内視鏡は携帯可能であり, 在宅や施設での診断に用いることができる。今回, 訪問診療時にVEを行い, 経管栄養から最終的にほぼ常食を経口摂取できるようになった一例を経験したので報告する。 (対象と方法) 82歳, 女性, 主訴は「口から食事を摂りたい」。グループホームに入居中, 肺炎の既往があり胃瘻より栄養管理されていた。医師, 歯科医師, 介護福祉士, 看護師, 栄養士が連携して摂食・嚥下リハビリテーションをVEの診断をもとに行い, 食形態を徐々にレベルアップさせていった。 (結果) 初診から147日, 7回の診療の間にほぼ常食を経口摂取できるようになった。 (考察) 訪問診療でVEを用いて専門的なリハビリテーションを行うことは非常に有効であった。在宅や施設では, 患者の環境に応じて臨機応変に有機的なチームを形成することが大切であり, リハビリテーションにかかわる各職種の知識と技術の向上が重要であった。
  • 健常有歯顎者を対象として
    佐々生 康宏, 野原 幹司, 小谷 泰子, 阪井 丘芳
    2008 年 23 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    【緒言】要介護高齢者に摂食・嚥下障害が多く存在することが報告されており, 対応が望まれている。誤嚥は咽頭期で起こるものの, その原因は準備・口腔期に多いことが報告されていることから, 口腔での食塊形成機能の評価は誤嚥のリスクを軽減するためにも重要である。本研究では, 要介護高齢者の先行研究として健常有歯顎者を対象に, 内視鏡を用いて咽頭内での食塊の状態を観察し, 食塊形成機能の評価法について検討した。
    【方法】対象は健常有歯顎者10名とした。被験食として, 白色と緑色の米飯, 黄色と緑色のクッキーを準備した。被験者には, 米飯, クッキーのそれぞれ2色の同種被験食を同時に口腔内に入れ, 「普段どおり」食べることと「よく咬んで」食べることの2通りを指示した。このときの咽頭の食塊を内視鏡を用いて観察した。食塊の状態を, 粉砕の程度を表す粉砕度, 食塊のまとまりの程度を表す集合度, 2色の混ざり合いの程度を表す混和度の観点から評価した。
    【結果】米飯: 「普通どおり」食べたときの食塊は, 粉砕度が低く, まとまりのないものが多かった。「よく咬んで」食べたときの食塊は, 「普通どおり」食べたときと比較して, 粉砕度が高く, まとまっていた。クッキー: いずれの場合の食塊も, 混和度粉砕度, 集合度ともに良好であった。
    【考察】定性的な判定ではあるものの, 内視鏡での観察により食塊の状態の違いを判別できたことから, 内視鏡が食塊形成機能の評価に有用であると考えられた。
  • 田村 文誉, 菊谷 武, 須田 牧夫, 福井 智子, 小柳津 馨, 高橋 賢晃, 米山 武義, 梶本 弘, 田中 法子, 柳下 加代子
    2008 年 23 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
    目的: 本研究は, 要介護者の摂食・嚥下機能を評価し, 食事時の観察評価の重要性を明らかにすることを目的として行った。
    方法: 対象は, 脳血管疾患後遺症による摂食・嚥下障害のある要介護者8名 (平均年齢78.4±12.8歳) である。昼食時の食事場面を観察し, 同時にデジタルビデオに撮影した記録から「食事のペーシング」「むせ」「溜め込み」「食べこぼし」を, 頸部聴診にて「嚥下後の咽頭残留音」の評価を行った。VF検査において録画された影像をパーソナルコンピュータに取り込み, 「捕食から嚥下反射惹起時の喉頭最大挙上位までの時間」を計測し, 「嚥下反射前の咽頭流入」「嚥下反射後の咽頭 (喉頭蓋谷・梨状窩) 残留」「嚥下反射後の食道入口部の残留」「誤嚥」「むせ」について評価した。これらの結果から, 実際の食事とVF検査の結果との関連性について検討した。
    結果: 1) 「食事のペーシング」の時間が, VF検査時における「捕食から嚥下反射惹起時の舌骨・喉頭最大挙上位までの時間」より短い者は3名, 1名はほぼ同時間であった。2) VF検査での食道入口部の残留所見と, 食事中の頸部聴診による嚥下後咽頭残留音については, 両者の一致がみられた。3) VF検査では全員むせがみられなかったが, 6名において食事中のむせは, 頻繁またはときどき観察されていた。
    結論: 摂食・嚥下機能の評価においては, VF検査に頼るだけでなく, 食事場面の観察評価が重要であると考えられた。
  • リハビリテーションシステムの構築とその効果
    大井 久美子, 石飛 進吾, 本多 啓子, 浜口 盛子
    2008 年 23 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • リフトを用いた車いすからの移乗
    三浦 雅明, 松嵜 洋人, 河合 俊宏, 白石 葉子, 山口 光子
    2008 年 23 巻 1 号 p. 60-64
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2011/02/25
    ジャーナル フリー
  • 菅 武雄
    2008 年 23 巻 1 号 p. 65
    発行日: 2008/06/30
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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