日本消化器がん検診学会雑誌
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45 巻, 1 号
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会長講演
特別講演
  • 垣添 忠生
    2007 年 45 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    これからの日本のがん対策のあり方について論じた。
    がんという病期の本態の理解にもとづき, がん一次予防, がん二次予防 (検診) , がん診療を, 研究に根ざして進めることが大切である。あわせて, がん登録にもとづくわが国のがんの実態を正確に把握し, その予測にもとづき, 戦略を展開する必要がある。そのために, 2006年6月に成立した, がん対策基本法は画期的な意味をもつ。この法律に沿う形で, 厚生労働省内のがん対策推進室と国立がんセンターが緊密な連携をとり, 国立がんセンター内のがん対策情報センターと地域がん診療連携拠点病院のネットワーク化により, がん医療の均てん化を実現する。さらに, たばこ対策や検診事業を強力に展開すれば, わが国でも, がん罹患, がん死の激減が必ず図れるはずである。
原著
  • 西川 孝, 松原 真由子, 村田 希世美, 恒矢 保雄, 秋山 俊夫
    2007 年 45 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    腹部超音波検 (健) 診は, 消化器がん検診の中心的役割を果たしており, 特に膵がんの早期発見に対して期待が寄せられている。今回, 我々は1575名の腹部超音波検診受診者を対象として膵の描出率について検討した。その結果, 以下のような成績を得た。1)被検者の性別による膵全域の描出率は男性7.1%に対し女性27.3%, 膵頭部は男性47.2%に対し女性75.6%, 膵体部は男性87.4%に対し女性97.1%, 膵尾部は男性8.8%に対し女性32.7%で, 女性での描出率が有意に高かった (X2検定:P<0.05) 。2)被検者の年齢別による膵全域の描出率は40歳未満24.0%, 40~49歳14.5%, 50~59歳10.6%, 60歳以上3.4%と加齢に伴い描出率の低下傾向を認めた。3)肥満度における描出率は痩せ型45.1%, 標準型15.3%, 肥満型2.3%と体型に伴う描出率に有意な差を認めた (X2検定:P<0.05) 。4)検者の経験年数による膵の描出率は膵頭部において経験年数1年52.3%, 経験年数4年28.6%, 経験年数7年77.8%であり, 膵体部では経験1年85.3%, 経験4年88.9%, 経験7年98.0%, 膵尾部では経験1年11.1%, 経験4年8.3%, 経験7年28.3%と検者の経験による有意差を認めた (X2検定:P<0.05) 。
    これらの成績から腹部超音波検診における膵の描出率は, 被検者の性別, 年齢, 肥満度, 及び検者の経験年数によって相違があるものと思われた。
  • 安田 貢, 青木 利佳, 鳥巣 隆資, 北村 晋志, 林 亨, 村田 昌彦, 山ノ井 昭, 鹿児島 彰, 井上 博之, 村岡 直子
    2007 年 45 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    【目的】今回われわれは, 胃がん内視鏡検診における経鼻内視鏡の導入方法を検討し, 嘔吐反射や苦痛度の改善率, 帰宅後の鼻腔の違和感や鼻出血の有無など, 検診としての安全性を調査した。【方法】使用した経鼻内視鏡はオリンパスGIF-N260 (鉗子チャンネル2mm, 外径が先端部4.9mm, 軟性部5.2mm) である。受診者の前回の通常内視鏡検査における嘔吐反射の程度を5段階に分類し, 原則的にgrade 4以上でかつ鼻疾患のない人に経鼻挿入を勧め, 嘔吐反射の改善率を調べた。アンケート調査 (無記名, 郵送) も併せて実施した。【成績】経鼻内視鏡は167件 (全体の7.3%) で適応され, 挿入成功率は91% (152例) で女性において挿入率が低下した。また, 通常径内視鏡に比較して検査時間が有意に長かった。鼻出血例を3例 (1.8%) 認めたが, 全例すぐ止血可能であった。経鼻内視鏡検査は有意に嘔吐反射を改善し, アンケート調査においても苦痛軽減効果が示された。鼻腔の違和感も持続せず, 帰宅後の鼻出血は9.5%に認めたが軽度であった。【結論】今回検討した受容度と安全性は内視鏡検診に必要な最低限の要素であり, 経鼻内視鏡検査法の胃がん検診への導入は内視鏡受診率増加に繋がるものと期待された。導入方法については, 嘔吐反射が強い比較的若い受診者を選んで施行するとよいが, 画質や操作性の問題もあることから, 最終的な機種選択は施行医が受診者と相談して適切に判断すべきと考えられた。
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