日本消化器がん検診学会雑誌
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45 巻, 2 号
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会長講演
  • 高後 裕
    2007 年 45 巻 2 号 p. 161-171
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    消化器がん検診における遺伝子異常把握のメリットは, 多くの遺伝, 環境因子によって生じる遺伝子変化をとらえ, 癌の拾い上げと発癌リスクの評価をおこなえることにある。頭頸部がん, 食道がん, 胃がん, 膵管内乳頭粘液産生腫瘍などの消化器がんの発生には, Field cancerizationの概念があてはまる。これらの臨床例を蓄積し, その遺伝子変化を解析することにより, 高リスク群の拾い上げに役立つ分子マーカーを見つけることが重要である。その際, 検診という大きな手段を対象とする戦略では, 感度・特異度はもちろん, 処理能力, 経済性, 安全性のいずれもが十分満足することが要求される。現在, 個別検診でのみ可能な高コストの先進的診断法が, 将来的に機器開発の努力等により急速にコスト, 処理能力が改善され, 最終的に「集団」のそれに対しても応用可能となること期待したい。
ミニレクチャー
  • 有末 太郎, 安田 泉, 永塚 健, 佐藤 邦夫, 松田 徹, 大泉 晴史, 萩原 廣明, 小板橋 毅, 磨伊 正義, 魚谷 知佳, 村 俊 ...
    2007 年 45 巻 2 号 p. 172-182
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    「個別検診」とは老人保健法に基づくがん検診の一つの方式で「集団検診」と対比される。「集団」は多人数を対象に実施するもので, 施設検診と検診車による巡回検診がある。一方, 「個別」は主として病院・診療所などで一般診療の合間にがん検診を行うものであり, 撮影は直接X線撮影で行われている。「集団」は, 検診機関が巡回実施しているので, 医療機関の乏しい地域では身近で実施という利便性がある反面, 時期・期間が限られる。一方, 「個別検診」は, 地域医療機関が実施するので, いつでも実施できるメリットがある。がん検診は, 今日まで主として「集団」によって行われ, がんの救命に効果を上げてきたが, 受診率の伸び悩み傾向を示していた。さらに, 高齢化社会を迎え受診者の多様な要望に応え受診率の向上を図るべく「個別」が導入された。厚生省がん研究班 (有末班) の調査で胃がん個別検診においては検診施設間に撮影精度の格差があり, 読影に関する体制さらにはその後の受診者管理体制が十分でないところも認められた。このような「個別検診」についての現状を報告し, 「個別検診」の精度向上策, および今後の課題について述べた。
原著
  • 加藤 勝章, 猪股 芳文, 相田 重光, 島田 剛延, 大原 秀一, 下瀬川 徹, 渋谷 大助
    2007 年 45 巻 2 号 p. 183-193
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    【目的】住民検診発見胃癌の解析から胃癌スクリーニングにおけるHp感染検査とPG法併用の問題点を検討した。【方法】集検発見胃癌のうち尿中Hp抗体検査 (イムノクロマト法) とPG法 (ラテックス凝集法) を同時に施行し得た295例 (平均65.2歳) を対象とした。
    【成績】対象のPG陽性率70.5%, 尿中Hp抗体陽性率79.0%, 両者併用の陽性率93.2%であった。Hp+/PG-群は他の群に比べて若年層で未分化型・進行癌が多く, 萎縮が進んだHp+/PG+やHp-/PG+群は高齢で高分化型・早期癌が多かった。両検査とも陰性となるHp-/PG-群が6.8%みられた。これらは, 高齢であるが胃粘膜炎症や萎縮の程度が軽微であった。【結論】Hp感染検査とPG法の併用は胃癌拾い上げ効果を向上させるが, 高齢者では尿中Hp抗体偽陰性となる場合もあり高感度のHp検査法の導入やPG判定の工夫が必要である。
  • 植山 敏彦, 前川 隆一郎, 武富 弘行, 林田 泰治, 近藤 信夫, 山近 仁
    2007 年 45 巻 2 号 p. 194-203
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    従来法変法 (以下, 新撮影法) の有用性を明らかにする目的にて, 新撮影法移行後2年間の検診成績を移行前2年間の検診成績と比較検討した。新撮影法の総受診者数は25,796人で, 要精検率10.1%, 癌発見率0.116%, 陽性反応的中度1.14%であった。一方, 従来法の総受診者数は26,488人で, 要精検率9.5%, 癌発見率0.094%, 陽性反応的中度0.98%であった。早期癌率では新撮影法 (65%) が従来法 (61%) よりも高かった。有所見度と良悪性度に関する確実度の判定では, 確実所見にてチェックされた割合が新撮影法で増加していた。新撮影法では噴門部と前庭部のチェック率が高く, 発見癌の割合も前庭部と噴門部で増加していた。前壁のチェック率および前壁と後壁の発見癌の割合も新撮影法で増加していた。以上より, 新撮影法は二重造影主体の撮像法ゆえの効果を示し, 検診精度の向上に有用であると考えられた。
  • 魚谷 知佳, 磨伊 正義
    2007 年 45 巻 2 号 p. 204-213
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    大腸がん検診における免疫便潜血検査 (IFOBT) の有効性は確立しているが, 偽陰性症例を免れない点が欠点の一つである。当施設でIFOBTを行った177,887人から発見された212例の大腸癌症例を対象に, 偽陰性群について検討した。偽陰性群は癌症例の36.3%も占めており, そのうち25%は進行癌であった。しかし偽陰性群の便潜血定量値が前回陽性群, 初回群に比し有意に低く, O型が73.9%, 2cm以下が69.2%, 粘膜内癌が54.5%と, 他群に比べ早期の段階で発見される症例が多いことによるものと思われた。偽陰性群の約80%がDukes Aで, 61.3%が内視鏡的治療などの低侵襲的治療を受けていた。しかし, 偽陰性群の進行癌症例の半数が右側結腸に発見されており, 右側結腸の病変発見におけるIFOBTの弱点が再確認された。まず我々医療従事者がこの現実を十分に認識し, 免疫便潜血検査の受診率と逐年受診率の向上を図ることが, 現状における大腸がん検診において重要であると思われた。
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