日本消化器がん検診学会雑誌
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45 巻 , 3 号
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ミニレクチャー
  • 今村 清子
    2007 年 45 巻 3 号 p. 309-316
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    日本消化器がん検診学会で出版した新・胃X線撮影法(間接・直接)ガイドラインは, X線検査による胃がん検診の更なる普及と精度管理の強化を目的としている。この新撮影法の答申後の全国集計の状況からは, 撮影者の習熟度が増し8枚撮影が普及していくことで画質が向上し, 新撮影法の理解が得られつつあることが推測できる。また, 実際に, 全国とわれわれの施設の両方から検討した結果, 明らかに, 要精検率の低下, 陽性反応的中度・早期癌発見率の増加, 内視鏡的切除可能な早期癌の増加, 逐年発見進行癌の減少などが実証されてきている。現在, 「日本消化器がん検診精度管理評価機構」がNPO法人化を申請しているが, 承認後は本学会の認定制度との整合性を図り, より社会的に認知された胃X線による胃がん検診を行う努力が必要である。現在, 厚生労働省により検討されている指針が, 胃X線検査に携わる者の努力が報われるものになることを期待している。
総説
  • 日山 亨, 田中 信治, 茶山 一彰, 吉原 正治
    2007 年 45 巻 3 号 p. 317-322
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    スクリーニング上部消化管内視鏡検査のリスクマネジメントを考えるうえで, 考慮しなければならないものに, 医療従事者に課せられる法的な医療水準がある。その法的な医療水準を理解するために, これまでの上部消化管内視鏡検査の偶発症(合併症)が関係した民事裁判6事例における判決文を検討した。内訳は, 前投薬薬剤や咽頭麻酔剤投与後のショックに関するものが3事例, 生検後の大量出血に関するものが2事例, 前投薬で用いた睡眠導入剤が影響した交通事故事例が1事例である。これらの裁判事例の検討により, 内視鏡検査実施側の行うべき偶発症(合併症)対策の具体的内容が抽出できた。また, 実際に訴訟に至った事例を分析して, 医療現場がどのように対応すべきであったかを検討することは, 同じ失敗を繰り返さない, 安全で, 受検者側に満足してもらえる, より良い内視鏡検査につながるものと思われた。
原著
  • 辰巳 嘉英, 原田 明子, 松本 貴弘, 谷 知子, 西田 博
    2007 年 45 巻 3 号 p. 323-329
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    当施設にて人間ドックを受診し, 上部消化管スクリーニング検査を受けた538名を対象に, 内視鏡検査群93名(A群), レントゲン検査群445名(B群)の2群に分けて, 内視鏡検査に関するアンケート調査を行った。A群の内視鏡検査選択の理由は, 検査精度が高い・医師の勧め・バリウム飲用が苦手など, B群の内視鏡検査非選択の理由は, 必要性を感じない・以前に内視鏡が苦しかったなどであった。経鼻内視鏡検査についての認知度は, A群24% B群15%, 情報入手経路はマスコミが多く, 経鼻内視鏡検査の情報提供を行った上での希望率は, A群66% B群52%であった。経鼻内視鏡検査の情報提示は人間ドック受診者の内視鏡検査希望率を上昇させる可能性が示唆された。しかし, 経鼻内視鏡検査の情報提示には, 安楽などの利点のみでなく, 極細径内視鏡としての限界や経鼻挿入の偶発症等も明示した適切な方法が必須と思われる。
  • 中原 慶太, 水町 寿伸, 渡辺 靖友, 田宮 芳孝, 米湊 健, 鶴田 修, 佐田 通夫
    2007 年 45 巻 3 号 p. 330-340
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    目的:画像精度と読影精度からみた新・撮影法の有用性を明らかにする。対象と方法:車間接胃集検例を対象とした胃癌発見成績と発見胃癌の画像・読影精度について新・撮影法と従来法を比較検討した。結果:1)新・撮影法導入前後の胃癌発見成績:地域・職域検診共に, 従来法期より新・撮影法期に陽性反応適中率, 要精検率の改善が認められた。2)画像精度と読影精度の評価:発見胃癌に対する病変の示現度と悪性度判定の間には有意な順位相関があり, 示現度が良好なほど悪性度判定が高かった。新・撮影法は, 従来法に比べて示現度と悪性度判定のいずれも有意に良好であり, 特に早期癌に対して有用であった。また, 同部位指摘率, 追加撮影率が高く, 発見にきわめて有効な追加撮影が実施されていたが, 基準撮影の精度をさらに向上させる必要があると思われた。結論:新・撮影法は従来法に比べて画像と読影精度の両面で優れ, 今後の普及・充実化が望まれる。
  • 今武 和弘, 松井 輝明, 荒川 泰行
    2007 年 45 巻 3 号 p. 341-345
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    大腸癌の発症に関して食習慣や生活習慣が関与していると考えられているが, その機序については不明な点も多い。そこで大腸癌の前段階である腺腫について食生活と生活習慣の面から検討した。日本大学総合健診センターを受診し, 便潜血反応陽性のため大腸内視鏡検査を施行した450名で有ポリープ群と無ポリープ群に分類し, 血清脂質, HbA1c, IRIを測定した。大腸腺腫は大きさにより3群に分類した。また生活習慣として飲酒, 喫煙, 運動, ストレスにつき検討した。血清コレステロール, IRIは腺腫の大きさに相関し高値を示し, 非ストレス群に比しストレス群では有意に腺腫が大きかった。大腸腺腫の発症に食生活としての高コレステロール血症, 耐糖能異常, 生活習慣としてのストレスが関与していることからこれらをハイリスクと考え検診を行うことが効率よい検診につながると考えられた。
  • 高島 東伸, 乾 和郎, 山田 一成, 岩間 汪美, 小島 洋彦, 廣瀬 光彦, 芳野 純治
    2007 年 45 巻 3 号 p. 346-351
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    2002年1月から2005年12月までに当施設において腹部超音波検診を実施した延べ91,803例を対象に再検, 精検指示率, 二次検査受診の把握率, 悪性疾患の発見率について検討した。再検, 精検指示率はそれぞれ1.9%, 1.6%であった。二次検査の受診把握率は再検, 精検でそれぞれ21%, 27.7%であった。悪性疾患の発見率は20例(0.022%)で, 内訳は肝細胞癌2例, 転移性肝癌5例(原発臓器 大腸3例, 膵臓1例, 乳房1例), 肝門部胆管癌1例, 膵癌2例, 腎臓癌9例, 膀胱癌1例であった。悪性病変の発見率が他施設(0.07~0.135%)に比較して低かった原因として, 二次検査の結果の把握が不充分であることが考えられることから, 今後は事後管理体制の確立が必要と考えられた。
この症例に学ぶ
  • 馬場 保昌, 吉田 諭史, 小野 良樹, 佐藤 清二, 冨樫 聖子
    2007 年 45 巻 3 号 p. 352-355
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    新しい基準による胃X線撮影法の標準化案が本学会に答申されて4年が経過する. 1995年には新・胃X線撮影法(間接・直接)のガイドラインが胃X線撮影法標準化委員会から出版され, 全国に普及しつつある. 新・撮影法(間接)には新・撮影法と新・撮影法(変法)がある. 検査の特徴は, 高濃度・低粘度造影剤を使用し, 発泡剤を用いた二重造影法を中心の8枚8体位を基本とした撮影法である. 新・撮影法と新・撮影変法の違いは, 新・撮影法では二重造影法のみで撮影を組み立て, 新・撮影法変法では立位充盈像もしくは腹臥位充盈像を1体位入れて撮影を組み立てている点である. 私どもは二重造影法のみで撮影を組み立て, 8体位8枚を基準撮影としている. 使用造影剤は200~220W/V%(粉末製剤)を140~150ml使用し, 発泡剤は5gを少量の水または希釈バリウムで服用させている. 基準撮影は8枚8体位であるが, 透視下観察で異常所見に気付いた際には, 病変をより的確に表現するために追加撮影を行うようにしている. 詳細は新・胃X線撮影法(間接・直接)ガイドラインを参照されたい.
  • 村 俊成, 松永 哲夫, 魚谷 知佳
    2007 年 45 巻 3 号 p. 356-360
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    いわゆるスキルス胃癌は早期発見が困難で発育, 進展が速く予後は極めて不良とされる。胃癌検診間接X線検査でleather bottle状を呈する段階で発見される場合も多い。また, 胃内視鏡検査であっても, がんの粘膜露呈部が糜爛や微小な場合は診断困難なことがある。
    磨伊ら1)は, スキルス胃癌の圧倒的多数が, 腺境界も含めた胃底腺粘膜領域内に発生したIIcのあるものが大きな癌性潰瘍を形成することなく, 粘膜下層以深へのびまん性浸潤を来し, 胃炎性変化の程度により巨大皺壁型, 粘膜萎縮型になるとしている。壁伸展障害のない時期, いわゆるpre-, latent-, linitis plastica(以下LP)の時期に, 間接X線による胃癌検診の診断目標をおくことがスキルス胃癌を減少させるために重要である。今回提示する1例目は限局性スキルス胃癌症例, 2例目は, 経年受診で発見された典型的スキルス胃癌である。撮影は, 高濃度低粘性バリウム(200w/v%, 150ml)を用い, 二重造影を中心とした新撮影法に準じている。
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