日本消化器がん検診学会雑誌
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45 巻, 6 号
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原著
  • 小林 正夫, 三崎 文夫, 冨田 照見
    2007 年 45 巻 6 号 p. 603-610
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    当協会健診センターの人間ドックの胃癌検診において, ペプシノゲン法(PG法)の位置付けおよび検診間隔について検討した。検討対象は, 2002年4月から, 2006年3月までの4年間に人間ドックを受診し, 胃X線検査及びペプシノゲン法を受けた74,382名(47,708男性, 26,674女性)の受診者及び発見癌55例である。PG法陽性者は, 年齢が高くなるにつれて増加し, 発見癌55例についても, 年齢と共にPG法陽性癌が増加した。また, 胃X線検査異常なしでPG法強陽性の受診者より早期胃癌が発見され, PG法の併用は, 胃X線検査の補完検査として有用であった。発見癌患者のPG値については, 55例中5例(9%)にPG法判定が陽性から陰性などへの変化を認めた。同様に非癌受診者100例を無作為に抽出し, 数年間のPG値の変化を調べてみると, 8例(8%)にPG法判定の変化を認めた。しかし, PG法の判定は, ほとんどの例で数年間にわたり変化しないことから, PG法の検査間隔は3年に一度程度で十分であると考えられた。
  • 鈴木 康元, 渡辺 豊
    2007 年 45 巻 6 号 p. 611-620
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    スクリーニングTCSの効率的な実施法については既に第3報までを報告しているが, 本報では対象を若年群(40歳未満), 中年群(40歳以上65歳未満), 高齢群(65歳以上)の3群に分け, 各群の2回目と3回目のスクリーニングTCSの効率的な実施法について検討した。その結果, 若年群については2回目以降のTCSは行わない, 中年群については初回TCS時にm癌・腺腫が発見・切除された症例には3年後にまた腫瘍性病変が発見されなかった症例には5年後に2回目を行い3回目は行わない, 高齢群については初回TCS時にm癌・腺腫が発見・切除された症例には1年後にまた腫瘍性病変が発見されなかった症例には3年後に2回目を行い, かつ2回目TCS時にm癌・腺腫が発見・切除された症例にはその2年後にまた腫瘍性病変が発見されなかった症例にはその4年後に3回目を行うという方法がスクリーニングTCSの効率的な実施法であると考えられた。
  • 原田 明子, 西田 博, 松本 貴弘, 谷 知子, 辰巳 嘉英
    2007 年 45 巻 6 号 p. 621-626
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    松下健康管理センターにおいて1997~1999年度に全大腸内視鏡検査(TCS)によって発見された隆起型で低から中等度異型の小腺腫例に対し便潜血検査(FOBT)とTCSを併用した方法(併用法)による経過観察を実施し91例91病変が要治療と判断された。そのうち, 組織型と腫瘍長径が判明している63病変をFOBT陽性後TCSにて発見された30病変(陽性発見群)とFOBTは陰性だがTCSを受診して発見された33病変(陰性発見群)に分け, 臨床的特徴を比較した。両群間で組織型に差はなかったが, 腫瘍長径は陽性発見群が有意に大きく, 前回TCS時に指摘の無かった病変が占める割合も陽性発見群が高い傾向にあった。しかし, 陽性発見群の全ての病変は内視鏡的治療が可能であり, 併用法においても初回TCS時の見逃し病変や増大が速い病変を内視鏡的治療が可能な早期の段階で発見することが可能であることが示唆された。
経験
  • 山田 一成, 乾 和郎, 岩間 汪美, 小島 洋彦, 高島 東伸, 堀 理恵, 廣瀬 光彦, 芳野 純治, 若林 貴夫, 奥島 一武, 三好 ...
    2007 年 45 巻 6 号 p. 627-634
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    1995~2004年の間に行った人間ドックの腹部超音波検査は実質155,238例であり, そのうち胆嚢腺筋腫症と診断されたのは720例(0.46%)で, 男性574例(0.43%), 女性146例(0.20%)と男性に多かった。平均観察期間5.8年で経過を追えた125例についての検討では, 肉眼形態は限局型58例(46%), 分節型37例(30%), びまん型30例(24%)と, 限局型が最も多かった。胆嚢癌の合併は1例も認めなかった。胆石の合併を125例中6例(4.8%)に認めたが, 限局型1例(0.8%), 分節型4例(3.2%), びまん型1例(0.8%)と分節型に多く認められた。胆嚢ポリープの合併を125例中19例(15.2%)に認めたが, 限局型4例(3.2%), 分節型6例(4.8%), びまん型9例(7.2%)とびまん型に多く認められた。経過観察中に壁肥厚の増大を5例(4.0%)に認めたが, 胆石や胆嚢癌に出現は認めなかった。胆嚢癌や胆石の合併についてはさらに長期的な検討が必要である。
  • 江藤 奈緒, 瀧 智行, 坂田 豊博, 富田 誠, 小田 雄一, 舩坂 好平, 服部 外志之, 中澤 三郎, 乾 和郎
    2007 年 45 巻 6 号 p. 635-640
    発行日: 2007年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    当院では大腸スクリーニング検査としてVirtual colonoscopy以下VCを2003年6月より開始し約4年間でのべ4,644例に施行している。VCのaxial画像から偶然大腸病変以外の疾患が指摘されるようになり, 中でも膵病変の指摘が目立った。大腸病変以外の疾患は44例0.94%に認められ, その内膵病変は29例0.62%と最も多かった。膵病変の内訳は膵嚢胞17例0.37%, IPMN7例0.13%, 膵仮性嚢胞2例0.04%, 膵癌1例0.02%, SPN1例0.02%, MCN1例0.02%であった。経験した膵病変4例(SPN症例, 膵癌症例, IPMN症例, 単純性膵嚢胞症例)について報告した。Dynamic studyでのMDCTにおける膵病変診断の有用性については報告があるが単純のaxial画像を活用した報告はなく, VC時に大腸病変検索に加えて膵病変発見に寄与できることは理想的を考えられる。
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