日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
Print ISSN : 1880-7666
ISSN-L : 1880-7666
46 巻 , 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
原著
  • 河村 奨
    2008 年 46 巻 1 号 p. 5-13
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    モデル地域三隅町において, 昭和41年度から間接X線撮影による車検診を中心とした胃がん検診と出張内視鏡精検が行われてきた。昭和48年度からは, 腹部超音波併用検診, 平成5年からは内視鏡による管理検診を導入して今日に到っている。
    そして地域胃がん検診40年を振り返って, 21世紀の検診のあり方を考察してみた。
    1)胃がん発見率は0.22%, 早期癌比率は46%と山口県地域がん検診とほぼ同率であった。
    2)胃がん検診に先じてPG法やHP検査を行って, 胃がん高危険群を設定し, X線受診群と即内視鏡受診群に群別して実行するのも一法と考えられた。
    3)腹部超音波併用検診は, 受診者にとって魅力ある検診となり, 受診者増を得ると共に, 救命可能な多臓器がん発見に貢献した。
    4)平成5年から開始された逐年内視鏡検診は, 実受診者290名の中から早期癌14例(食道癌3例含む)4.8%が発見され, ESDは5例施行されていた。
  • 細川 治, 服部 昌和, 武田 孝之
    2008 年 46 巻 1 号 p. 14-19
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    施設における胃がん検診が内視鏡に転換して久しいにもかかわらず, 内視鏡検査で胃がん死亡率が減少したという報告はなく, 2006年に公表されたガイドラインでは内視鏡検査はがん検診として推奨されないとされた。今回の研究では, 届け出精度の高い地域がん登録を利用することにより, 内視鏡検査の胃がん死亡率を検証することを目的とした。1993年に胃内視鏡検査を受けた50歳以上被検者のうち, 2,310例は1994年から1996年までの期間に再度内視鏡検査を受けて胃がん陰性であった。残り2,579名はこの期間に内視鏡検査を受けなかった。これら4,889名の被検者をわが国で最も届け出精度の高い福井県がん登録と照合した。1997年以降に再検査群から40例(1.7%)の胃がんが診断され, 2名が胃がん死亡し, 非再検査群から49例(1.9%)の胃がんが診断され, 11例が胃がん死亡した。胃がん患者の累積5年死亡率はカプランマイヤー法で再検査群5.1%, 非再検査群24.7%と算出され, 有意差が認められた(p<0.05)。胃がん相対危険度は0.20(95%信頼区間0.04─0.91)であり, 内視鏡再検査は胃がん死亡を80%減少させることが示唆された。しかし, 検査後死亡率減少効果出現までには長期間を要した。
  • 由良 明彦
    2008 年 46 巻 1 号 p. 20-26
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    サイトカインには産生量に影響を及ぼす遺伝子多型があり, 胃がん発症への関与が報告されている。特に, interleuikin-1beta遺伝子多型(IL-1B)やIL-1RN遺伝子多型が胃癌発症のリスクを増すことが報告されている。また, 肝臓の代表的な薬物代謝酵素であるcytochrome P-450には遺伝子多型(CYP2C19)があり, 薬物動態や薬力学への影響および食道癌, 肺癌や肝臓癌などの発症に関与することが報告されているが, 胃癌との関与の報告は少ない。現在, 血清pepsinogen測定(PG)法において陽性(カットオフ値: PG I 70ng/ml以下およびPG I/II比 3.0以下)者を胃がん発症の高危険群としている。本研究では, 胃がん検診におけるより高い高危険群の選定についてIL-1BとCYP2C19の各遺伝子多型検査併用の可能性を多変量解析より検討した。職域における胃検診受診者228名[男女比191:37, 平均年齢45.8±0.6歳(mean ± SE)]を対象とした。胃がんの低危険群と高危険群で有意差が認められた因子は, 血清抗H. pylori IgG抗体とIL-1B-511の多型頻度であり, CYP2C19の多型頻度では有意差は認められなかった。次に, これらの因子における多変量解析では, 各オッズ比は血清抗H. pylori IgG抗体70.9, IL-1B-511多型(genotype C/TまたはT/Tに対しC/C)2.50であった。以上のことから, IL-1B-511の多型検査が, PG法と同様にH. pylori感染によって胃粘膜萎縮が進行しやすい症例を事前に予測でき, この検査をPG法に併用することにより胃がんのさらなる高危険群選定に有用な検査となる可能性が示唆された。しかしながら, IL-1BとCYP2C19の各遺伝子多型検査の併用についてはさらなる検討が必要と考えられた。
  • 須田 健夫, 中野 真, 蓮見 直彦, 松沢 良和, 田畑 育男, 高木 俊二, 松本 雅彦
    2008 年 46 巻 1 号 p. 27-34
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    さいたま市大宮地区大腸癌個別検診発見癌症例を便潜血検査時の定量値で(a)110~199(b)200~299(c)300~399(d)400~499(e)500~ng/mlの5群にわけcut off値の設定で各群に分布する癌が見逃される可能性から要精検率を検討した。発見癌1,159例中sm以深癌447例の定量値群別分布は(a)54例,(e)317例と定量値が高いと発見数も多かったが(a)でも少なくなかった。要精検率はcut off値200ng/mlの設定では4.71%, 300ng/mlで3.27%と低下するが, その代償として, それぞれ54例(mp以深癌24例を含む), 86例のsm以深癌が見逃される。一方, 近年は検診受診者が3万5千人超となったが, 要精検者数に大きな変化はなく要精検率は徐々に低下している。以上より, 適正な要精検率の検討には一次受診者の増加, 精検受診率の向上に努力した上で現行のcut off値で検診をすすめ, 定量値からみたsm以深癌のさらなる分析が肝要と考えられた。
  • 小野寺 博義, 渋谷 大助, 岩崎 隆雄, 西野 善一, 松井 昭義, 小野 博美, 萱場 佳郎, 鈴木 雅貴, 野口 哲也, 島田 剛延
    2008 年 46 巻 1 号 p. 35-45
    発行日: 2008年
    公開日: 2012/03/25
    ジャーナル フリー
    超音波検診で発見された肝胆膵腎がん症例の生存率による超音波検診の評価を試みた。対照として病院で発見された肝胆膵腎がん症例を用いた。実測生存率はKaplan-Meier法で計算した。また。コホート生存率表で5年目までの生存率が記載されている2001年までに発見された症例で相対生存率を求めた。肝がんでは超音波検診による死亡率減少は期待できないと思われるが, 超音波検診はハイリスク群管理検診と同等の生存率改善効果がある。胆のうがん, 胆管がんは症例数が少なく評価不可能であるが, 超音波検診による早期発見・早期治療で当該がんによる死亡を免れる個人が存在する可能性が大きい。膵がんでは死亡率減少および予後改善は期待できそうもない。腎がんでは13年目までは予後改善が著明であるが, 14年目以降再発により生存率が急激に低下しており, 今後症例を重ねて14年目以降についての検討が必要である。
この症例に学ぶ
委員会報告
地方会抄録
feedback
Top