Helicobacter pylori(
Hp)感染は胃癌の大きな危険因子であるため胃癌検診に
Hp感染を考慮する必要がある。今回われわれは,
Hp感染診断を胃X線検診の読影に加えた新しい胃癌検診法を提案する。また, 本法により胃癌検診をどの程度効率化できるかも検討した。新しい方法では, 胃X線所見から受検者をHp陰性疑い群(以下陰性群)と
Hp陽性疑い群(以下陽性群, 中間群を含む)に分け, 陽性群と判定された人を要経過観察とし, 陰性群で放置可とした人を翌年の検診対象者からはずしてもよいとした。2005年4月の当センター受診者を対象として検討したところ, 翌年の逐年胃癌検診対象者を4割減らし, しかも逐年検診者からの胃癌発見率は1.7倍に上昇するという試算になった。本法は新しい設備投資や検査の導入が不要で, 今後
Hp感染率が低下しても対象者が自動的に絞り込まれるため, 自動的に検診の効率化が図れる方法である。
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