日本消化器がん検診学会雑誌
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47 巻, 1 号
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会長講演
  • 北川 晋二
    2009 年 47 巻 1 号 p. 9-27
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    福岡市医師会では, 平成4年から個別X線検診を開始し, 平成12年度から内視鏡検診も併用している。受診者数は, 年々内視鏡検診が増加して最近はX線検診の倍近くなっている。集団での間接X線検診との3つを比較すると, がん発見率・陽性反応的中度は, 予想された通り, 内視鏡検診(0.50%, 9.6%)・X線個別(0.26%, 3.1%)・X線集団(0.14%, 1.8%)の順に高かった。一次機関で撮影された画像のフィルム評価も行っているが, 十分満足できる成績ではなかった。逐年検診発見胃がん症例を見直すと, 前回の検査で病変が示現されている症例が38%と高率であった。一次検診機関での描出不良が主な原因であったが, 読影に問題がある場合もあり, 二次読影を含めて, 今後更なる努力・研鑽が必要と思われた。
特別講演
  • 久道 茂
    2009 年 47 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    平成19年4月, がん対策基本法が施行された。その中で示された基本的な施策は, がん検診受診率を50%に向上させ, 10年以内に年齢調整がん死亡率を20%減少させるとうたっている。この計画を実現するためには, がん検診に関する評価の科学的検証をする必要がある。本講演では, がん検診とは, スクリーニングの特性, 役に立つ検査とは, 並行検査と連続検査, 感度, 特異度と陽性反応的中度との関係などについて基本的なことを中心に述べた。検診精度に関してもTest SensitivityとProgram Sensitivityがあり, 両者の精度を上げることががん死亡率20%減少への目標が達成できる近道であろう。
原著
  • 清水 建策, 国弘 佳枝, 小野田 秀子, 田辺 昌寛, 松隈 美和, 松永 尚文, 河村 奨, 田中 信之
    2009 年 47 巻 1 号 p. 35-42
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    (財)山口県予防保健協会の胃集検では2002年度より新撮影法導入に向けてバリウム濃度, 体位変換, 撮影体位などの変更を年次行ってきた。今回, 撮影法変更後の5年間の成績を変更前の2年間(2000年度, 2001年度)の成績と比較・検討した。撮影変更後では従来法に比べて早期胃癌比率の著明な上昇が認められ, 撮影法変更による大きな成果と思われた。部位別早期癌率においてはM領域のみならず, 従来法で特に不良であったU領域とL領域の発見率にも著明な向上が認められたが, U領域の早期癌比率は他の領域に比べてやや低い傾向にあった。壁在別の検討では後壁病変における早期癌の拾い上げ増加が顕著となり, 新撮影法による二重造影像の描出能向上が示唆された。見逃し症例の検討では前年度フィルムで指摘不能例あるいは指摘困難例と考えられた症例が5例あり, そのうちU領域に3例, M領域とL領域に各々1例ずつみられた。
  • 水町 寿伸, 中原 慶太, 前川 進, 副島 満, 高木 優, 荒木 祐美子, 芹川 習, 田宮 芳孝, 渡辺 靖友, 米湊 健, 鶴田 修 ...
    2009 年 47 巻 1 号 p. 43-54
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    背景:新・胃X線撮影法の前壁撮影ではフトン使用が必須とされている。しかし, フトンの具体的な使用法に関する報告は少なく, 胃形によっても撮影の難易度が異なる。目的:胃形に合わせて任意に調節可能なバスタオルのり巻き法の有用性を明らかにする。対象:施設検診において直接胃X線検査を施行した83例(鈎状胃群43例, 牛角胃群40例)。方法:バスタオルのり巻き法として, バスタオル1枚を鈎状胃群に対しては薄巻き, 牛角胃群には厚巻きに調節して撮影した。胃形別の前壁二重造影像(腹臥位正面位, 第二斜位)に関して, 1)ポジショニング, 2)示現範囲, 3)造影効果をバスタオル使用の有無別に比較検討した。結果:バスタオル使用の場合, 鈎状胃群では2)示現範囲, 3)造影効果が, 牛角胃群は3項目すべてが有意に適切となった。結論:バスタオルのり巻き法は胃形に対するバスタオル形状の調節が簡便で, 高い画像精度が得られる有用な手技と思われた。
  • 宮本 彰俊, 長浜 隆司, 中島 寛隆
    2009 年 47 巻 1 号 p. 55-62
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/04/15
    ジャーナル フリー
    65例の胃癌手術検体の全割標本による組織学的な胃粘膜萎縮度を基準とし, 間接X線とペプシノゲン法の萎縮度診断能を検討した。病理学的な高度胃粘膜萎縮の診断には両者とも同等の感度であったが, 萎縮の無い, あるいは少ない胃の診断には間接X線が有用であった。間接X線とペプシノゲン法の併用が提唱されているが, 萎縮度診断には間接X線が有用であり胃癌検診において単独で精度向上できる可能性が示唆された。
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