1996年から2002年の間に, 当センターで実施した胃がん検診受診者431,899人と大腸がん検診受診者213,978人を大阪府がん登録ファイルと照合することにより, 2003年までの胃・直腸・結腸がん罹患患者を把握した。検診で「異常なし(精検不要)」と判定されたにかかわらず, 1年以内に新たにがんの罹患が確認された症例(偽陰性例)を把握して感度・特異度をもとめ, 検診精度を評価した。
胃がん検診の精度管理指標は, 感度93.2%, 特異度90.7%, 偽陽性率9.3%, 偽陰性率6.8%であった。
大腸がん検診の精度管理指標は, 感度96.5%, 特異度96.0%, 偽陽性率4.0%, 偽陰率3.5%であった。
がん検診と地域がん登録との照合は, がん検診ファイルが電子化され地域がん登録が整備されている地域では, ルチン作業として実行可能である。今回は検診機関の検診ファイルを使用したが, 今後は市町村や職域など検診実施主体の持つ検診ファイルを都道府県単位で収集し, がん登録との照合による評価をルチン作業として実施するべきである。
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