一事業所の5年間の大腸がん検診受診状況と成績について検討した。検診受診率は約70%, 要精検率は8~9%, 精検受診率は約75%であった。発見された大腸がんは, 早期がん1例のみであったが, 2cmを超える巨大腺腫が毎年数例発見され大腸がんの予防に関与していると考えられた。次に, 当院で8年間に発見された他事業所も含む社員の, 大腸がん症例の発見契機と過去の検診受診歴について検討した。発見されたのは進行がん7例, 早期がん23例で, 検診発見例は進行がん42.9%, 早期がん91.3%で, 有意に早期がんに検診発見例が多かった(p<0.05)。進行がんのうち1例を除いて全例が前年まで検診を受診しておらず, StageIIIb以上で発見され4例は死亡している。1例は前年まで毎年便潜血陰性で, 発見時はStageIIと予後良好であり, 逐年検診の重要性が考えられた。
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