経鼻内視鏡は通常内視鏡よりも画質が劣るという欠点があるが, 苦痛が少なく安全性も高い故に, 内視鏡検診には最適である。我々は経鼻内視鏡および通常内視鏡別に, 胃腫瘍の発見率を比較し, また患者の背景胃炎別による検出率などを比較検討した。対象は上部内視鏡検査を行った患者2,987例で, 既報に準じて, 背景胃炎をA, B, C, Dの4群に分け検討した。胃腫瘍53例を検討対象とした。経鼻群21/1,280例(1.64%), 経口群で32/1,707例(1.87%)で両群間には有意差を認めなかった。次に背景胃粘膜別に比較すると
H.pylori感染の有無では有意差を認めなかったが, 胃粘膜萎縮のない群では, 経鼻群0.13%に対して通常群は0.79%と有意に高かった。胃炎の進展形式別では, B群で経鼻群0.53%に対して通常群3.11%と有意に高かった。経鼻内視鏡の胃癌の発見率は, 通常内視鏡に劣ることはないが, 胃粘膜萎縮のない群(B群)では診断能が劣り, 注意が必要である。
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