日本消化器がん検診学会雑誌
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49 巻, 5 号
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会長講演
  • 樋渡 信夫, 島田 剛延, 森元 富造
    2011 年 49 巻 5 号 p. 601-612
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    宮城県対がん協会と協同で施行してきた大腸がん検診で明らかにした成績を中心に述べる。1)便潜血検査(FOBT)を用いた大腸がん検診の有効性の評価:免疫2日法に限って検討した症例対照研究では, 「2年以内の受診歴あり」を要因とするオッズ比は0.50(95CI:0.27─0.94)と算出され, 有効性が示唆された。2)FOBTの精度:平成5, 6年の成績をもとに, 免疫2日法の感度/偽陰性率を追跡法により検討した。真陽性は266例, 偽陰性は101例で感度は72.5%と算出された。偽陰性群から検診発見癌を除くと感度は89.6% と推計され, 満足しうる成績と考えられた。3)精検としてのSS+BEとTCS の精度比較:当初推奨されたSS+BEでは, 436病変の大腸癌が発見され偽陰性例は48例(感度90.1%)であった。このうち26例は連続した治療紹介時に, 19例は経過観察時に発見された。SSが到達しなかった深部大腸には進行癌も少なからずみられた。TCSでは偽陰性率は大差ないものの, 進行癌はほとんどみられなかった。偽陰性例の予後は, 治療紹介時や経過観察時に発見された例は真陽性例と差はなかったが, 事後発見例は不良であった。
原著
  • 大野 健次, 高畠 一郎, 桐山 正人, 上野 敏男, 竹田 康男, 羽柴 厚, 小山 信
    2011 年 49 巻 5 号 p. 613-617
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    胃内視鏡多施設検診における至適生検率について検討を行なった。至適生検率とは見逃しが少なく(=癌発見率が高い), 最も効率がよい(=陽性反応適中度が高い)生検率と定義した。対象は08年, 09年に金沢市内視鏡検診を受けた17,280名で各医療機関の生検率を, 5%毎5群に分けて, 胃癌発見率と陽性反応適中度(以下PPV)について検討した。胃癌発見率とPPVは各々生検率5%未満で0.23%, 9.18%, 5~10%未満0.36%, 5.16%, 10~15%未満0.58%, 4.92%, 15~20%未満0.32%, 2.00%, 20%以上で0.59%, 2.21%であった。生検率が高いとPPVは低くなる傾向があるががん発見率は高くなる傾向が見られた。今回の検討では10%~15%未満から生検率を上げていっても癌発見率が上がることがなく, その中で最も陽性反応適中度が高いのは10~15%未満であり至適生検率は10~15%未満と考えられた。
  • 吉村 理江, 志賀 典子, 那須 繁, 吉村 大輔, 中村 和彦
    2011 年 49 巻 5 号 p. 618-626
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    2005年4月から2010年8月までに経鼻内視鏡を用いた胃内視鏡検診(以下経鼻)を受診した12,014例のうち, 胃癌と診断されたのは30例であった。そのうち胃癌発見から遡り3年以内に当院で経鼻を受けていた8例(9病変)を偽陰性例とした。8例9病変の臨床病理学的検討において, 早期癌率87.5%, 内視鏡治療率は37.5%であった。前回検診画像の見直し検討では見逃し例3例, 観察不十分4例, 指摘困難例は1例であった。特にU, M領域の大弯は経験年数5年以上の内視鏡医も見逃していた。偽陰性率は26.7%, 指摘困難例を除くと23.3%であった。これは通常径の経口内視鏡検診(以下経口)を含む諸家の報告と同等であり, 胃がん検診において経鼻は経口に劣らないと考えられた。今後多施設で検討するためには偽陰性の定義の確立, インジゴカルミン色素散布を用いた標準化観察法の確立が必要と考えられた。
  • 佐々木 修一, 佐々木 宏之, 佐藤 方則
    2011 年 49 巻 5 号 p. 627-634
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    島根県浜田地域の事業所に対し, 大腸がん検診への取り組み・受診勧奨法と要精検者への職域に於ける関わり方を中心にアンケート調査を行った。対象は平成20年度我々が当該地域で行った定期健康診断受託事業所644施設(内大腸がん検診受託事業所358, 実施率55.4%)で, 回答数391施設(回答率60.7%)であった。職域での大腸がん検診は過半数の事業所で取り組まれているが, 特に小規模事業所での精度管理は明らかではなく, 受診者個人・事業所・検診機関任せであり, 系統的にはほとんどなされていないのが実態である。一方検診機関などは実際に大腸がん検診を受託実施してきており, 精度管理についても責任があるのは当然であり, 精検受診率の向上についても同様である。検診機関においても受診者・要精検者・精検結果の把握を正確に行い, これらを受診者・事業所と共有し精検受診率の向上に努めることが必要と思われた。そして今回のアンケートで大腸がん検診要精検者への関わり方については, 結果通知や文書によるものの他に, 担当者や上司による勧奨も43.7%で行われており一定の取り組みがなされていること, さらにがん検診の結果把握がなされている事業所の38.6%では精検未受診者への再度の受診勧奨が行われており, 特に精検結果の報告を義務付けている事業所では, 再受診の勧奨率は81.0%と高率であった。これらの事業所での精検受診率は今回明らかに出来なかったが, がん検診においても職域における施策を定期健康診断と同様に明確化すると共に, 検診機関などの役割を求める必要があると思われた。
  • 島田 剛延, 加藤 勝章, 菊地 亮介, 渋谷 大助
    2011 年 49 巻 5 号 p. 635-648
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    標本調査によりがん検診受診率を推計するとともに, 標本未回収の問題について検討した。胃・肺・大腸・子宮・乳がん検診に関係する10種類の検査法毎に受診の有無と, 地域や職域などの受診経緯を回答する調査票を作成し, 仙台市民3,000名に送付した。有効回答率は65.5%だった。未回答者の影響を推定するため, 地域保健・健康増進事業成績による実測値との比較, 及び, 調査に対する反応の良さと受診率の関係を検討した。いずれの検診においても, 回答者のみで算出した受診率は実際の受診率を過大評価している可能性が示唆された。その傾向は70歳以上において顕著であった。今回の検討により, 受診率調査に関わる問題点の一部は改善されると思われるが, 本質的に改善するには限界があり, 特定健診のように地域以外の検診受診数も把握できるシステムを導入すべきと思われる。
経験
  • 山里 哲郎
    2011 年 49 巻 5 号 p. 649-656
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    胃癌スクリーニングに対するNBI拡大内視鏡の使用経験を報告した。2009年3月から2009年12月までの期間, 有田共立病院で施行した上部消化管内視鏡検査482例のうち, NBI拡大内視鏡を使用した194例を対象とした。対象の背景や胃上皮性腫瘍発見率, 生検率, 検査時間, 撮影枚数を求めた。胃上皮性腫瘍発見率は2.06%, 生検率は11.3%, 平均検査時間は12分7秒, 平均撮影枚数は83.7枚であった。胃癌スクリーニングにNBI拡大内視鏡が有用かどうか更なる検討が望まれる。
  • 高橋 宏和, 細野 邦広, 中島 淳
    2011 年 49 巻 5 号 p. 657-660
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/10/15
    ジャーナル フリー
    大腸腺腫切除後の検査間隔や期間の指標に明らかなものは示されておらず, 本研究では色素拡大内視鏡で観察し得る微小病変であるaberrant crypt foci(ACF)をサロゲートマーカーとし, 大腸腺腫切除後の再発予測因子となりうるか検討した。当院において内視鏡的に切除可能であった大腸腺腫89例において下部直腸のACFを観察し, その数が0-3, 4以上の2群に分類し, 1年後大腸ポリープの発生の差を検討した。ACFの数は初回と比べ1年後に変化がなかった。1年後はACFの多い群において最大径が有意に大きかった。大腸腺腫切除後の再発予測においてACF数と腺腫の最大径が相関し, ACF数が腺腫再発の指標になることが示唆された。
症例報告
委員会報告
第49回日本消化器がん検診学会大会(JDDW 2011) 講演プログラム
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理事長講演
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シンポジウム6
シンポジウム11
パネルディスカッション3
パネルディスカッション5
パネルディスカッション9
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ワークショップ1
ワークショップ4
ワークショップ7
ワークショップ13
ワークショップ16
ポスターセッション
第36回部会研究会総会プログラム
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