日本消化器がん検診学会雑誌
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51 巻, 2 号
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巻頭言
原著
  • 勝島 慎二, 北岡 修二, 水本 吉則, 岩本 諭, 江坂 直樹, 遠藤 文司, 太田 義之, 出口 美智代, 島 伸子, 前川 高天
    2013 年 51 巻 2 号 p. 213-222
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/15
    ジャーナル フリー
    【目的】胃がんリスク評価で精検対象外とされるA群に高度胃粘膜萎縮を伴った胃癌例の混入があることから, ペプシノゲン(PG)法のカットオフ値を再検討した。【方法】対象1は当院健診センターで内視鏡検診を受けた761例, 対象2は地域医師会にてリスク評価を受け, 当院で内視鏡検査を受けた186例。木村・竹本分類O2以上を高度萎縮と定義した。【成績】PG法基準値(PGI≦70ng/mlかつPGI/II比≦3)は対象1のHp抗体陰性例では高度萎縮に対して感度56%, 特異度99%, 対象2では感度44%, 特異度93%であった。Hp抗体陰性例の高度萎縮に対する至適カットオフ値をROC解析や判別式で求めると対象1でPGI≦37ng/ml, 感度88%, 特異度81%, 対象2で判別式(0.009PGI+0.321PGI/II比≦1.9), 感度100%, 特異度80%であった。【結論】高度萎縮の判別に適したPG法カットオフ値を用いて, Hp抗体陰性例をA群とD群に分けることでリスク評価の胃癌に対する感度が向上する可能性がある。
  • 田中 正樹, 松田 一夫
    2013 年 51 巻 2 号 p. 223-233
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/15
    ジャーナル フリー
    福井県における胃がん集団検診受診者(新撮影法導入前年の2003年:31,184人と新撮影法が定着した2006年:29,377人)を福井県がん登録と照合し, 受診後1年以内に判明した胃がんを把握した。偽陰性を翌年検診発見例と検診外発見例の合計と定義すると, 従来法の2003年は感度58.8%, 特異度84.5%, 5年累積生存率は真陽性例84.2%, 偽陰性例72.0%, 新撮影法の2006年は感度62.7%, 特異度89.5%, 5年累積生存率は真陽性例86.0%, 偽陰性例80.1%であった。2006年の特異度は2003年より有意に高くなっていたが, その原因は撮影法の変更に加えて, 新撮影法導入時より行った要精検率引き下げの指導も寄与したと考えられる。今回の検討では撮影法を変更しても感度の有意の改善は見られなかった。今後も引き続き検診外発見例の把握と特徴の分析を行い, 検診精度の向上に努めていく必要がある。
  • 水間 美宏, 福島 豊実, 久木田 和夫
    2013 年 51 巻 2 号 p. 234-242
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/15
    ジャーナル フリー
    腹部超音波検査による健診の事後指導のあり方を検討するため, 新しく発表された日本消化器がん検診学会の「腹部超音波がん検診基準」と, 以前から用いてきた日本人間ドック学会の「腹部超音波検査所見の判定・事後指導区分」を併用し, 腹部超音波検査の判定をした。その結果, 「腹部超音波がん検診基準」の所見のうちカテゴリー4と5には精検が必要だが, カテゴリー3のすべてを精検する必要はないこと, カテゴリー2には治療や経過観察をすべき良性疾患が含まれること, 「腹部超音波がん検診基準」に追加すべき所見があることなどが明らかになった。今後は, 事後指導までの流れとして, 1)「腹部超音波がん検診基準」の所見を基本的に用い, 2)検者がカテゴリーによる判定を行い, 3)医師が判定をもとに診断し, 4)事後指導区分も決定することを提案したい。今後, 関係する団体, 個人により議論がなされ, 新しい事後指導区分が決定されることを期待する。
  • 中河原 浩史, 小川 眞広, 大山 恭平, 森山 光彦, 山崎 泰弘
    2013 年 51 巻 2 号 p. 243-249
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/04/15
    ジャーナル フリー
    2011年, 本学会より腹部超音波検診の均質化を目指した腹部超音波がん検診基準が発表された。今回我々はこの基準の有用性と問題点を検討した。対象は任意型検診で要精検と判定された377病変とした。対象病変の保存画像を用いてカテゴリー分類を行い, その内訳について検討した。追跡可能病変ではカテゴリー分類と最終診断について検討した。結果はカテゴリー0:2病変(0.5%), カテゴリー2:105病変(27.9%), カテゴリー3:185病変(49.1%), カテゴリー4:85病変(22.5%)であった。追跡可能であった148病変(39.2%)には, カテゴリー2:50病変(33.8%)が含まれていたが悪性疾患はなかった。今回の検討で, がん検診基準はカテゴリー2に悪性疾患は認めず, 基準として問題ないものと考えられた。また, この基準を用いて的確に超音波所見を指摘し, カテゴリー2が増加することで要精検を減らせるため有用と考えられた。一方で, そのためには検査施行者の十分な教育とスキルアップが必要であると思われた。
委員会報告
地方会抄録
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