日本消化器がん検診学会雑誌
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52 巻 , 2 号
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巻頭言
会長講演
  • 渋谷 大助
    2014 年 52 巻 2 号 p. 207-216
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/15
    ジャーナル フリー
    癌の死亡率減少のためには, 有効性が科学的に証明された検診を, 高い精度管理の基に行わなければならない。検診施設間には精度のバラツキが存在し, 質の悪い精度の基での検診は, 不利益が利益を上回る可能性がある。精度管理対策の実施によって検診精度の向上は明らかであり, 胃がんの内視鏡検診が実施される場合でも精度管理対策は必須である。
    例え死亡率減少効果が認められる検診であっても, 不利益が無視できない場合は対策型検診として推奨されないことがある。不利益には偽陰性, 偽陽性, 過剰診断, 検査による偶発症があるが, がん発見率の高い検診は過剰診断のリスクが存在する。
    がん検診の受診率向上のためにはコール・リコールシステムが有効であるが, そのためには重点的に受診勧奨すべき対象年齢の設定が必要である。適切な対象者に対して, 有効な検診を高い精度管理の基に行うことが「合理的かつ科学的根拠に基づく胃がん検診」と考える。
原著
  • 宮崎 慎一, 甲斐 弦, 大廻 あゆみ, 森田 照美, 野田 裕之
    2014 年 52 巻 2 号 p. 217-224
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/15
    ジャーナル フリー
    逐年受診にて発見された胃癌を偽陰性例として, 逐年受診発見胃癌の臨床病理学的特徴, 偽陰性例の原因別検討, 内視鏡経験年数による検討, 病変部位による検討, 偽陰性率の検討を行った。逐年受診発見胃癌17例はすべて早期癌であり, うち9例(52.9%)が内視鏡的に根治可能であった。また, 11例(64.7%)が検査医の技量向上およびダブルチェックを行う医師の注意深い観察にて発見できる可能性があった。当院の年間の内視鏡検査件数は3000件程度と多くはないが, 逐年受診発見胃癌すべてを偽陰性例と定義した場合の偽陰性率は31.5%, 前年度画像を見直して病変を指摘できるものを偽陰性例とした場合は14.8%とhigh volume centerと同等であり, 適切な精度管理を行うことで地方都市においても質の高い胃内視鏡検診が可能であると考えられた。
  • 芳賀 陽一, 松田 徹, 大泉 晴史, 深尾 彰, 上野 義之, 安日 新, 穀野 真一郎, 小林 正義, 齋藤 壽一, 真田 淳, 白田 ...
    2014 年 52 巻 2 号 p. 225-232
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/15
    ジャーナル フリー
    山形県の大腸がん検診受診率は全国一を維持しているが, 精検受診率は68.3%(平成23年度)と高くはなく死亡率を低下させるには十分とはいえない。検診受診率をさらに向上させるために, 各自治体により無料クーポン券の配布や検査キットの送付などが行われており, 検診受診率は平成16年度の30%から平成23年度は35.6%と徐々に増加してきている。精検受診率向上のためには精検受診勧奨リーフレットの送付をはじめとして, 様々な試みを行っているが県全体としては明らかな増加は認められていない。このような状況の中で最も有効性が高いと思われた方法は, 一部の市で行われているタイミングの良い電話や訪問による精検受診勧奨であった。有効な手段を組み合わせて地域に根ざした創意工夫を行いながら, 行政とも密接に連携を取り合って不断の取り組みを重ねていく必要がある。
経験
  • 神野 正隆, 藤野 雅之
    2014 年 52 巻 2 号 p. 233-239
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/15
    ジャーナル フリー
    2011年1月~2012年12月の2年間に免疫法便潜血検査陽性を指摘され, 当院(板橋中央総合病院)で全大腸内視鏡を行った1103例を対象に65歳で2群に分け, ポリープの個数, 大きさ, 大腸癌の発見率, 発生部位, 腺腫の発生部位, 早期癌と進行癌の比率の検討を行った。また性別でも同項目につき検討を行った。大腸癌・腺腫の発生部位は右側大腸(盲腸・上行結腸・横行結腸)と左側大腸(下行結腸・S状結腸・直腸)に分け比較を行った。結果は, 高齢者はポリープが多発し, より大きかった。大腸癌の発見率も高くなり, 高齢に伴い大腸癌・腺腫共に右側大腸での割合が増加し, 進行癌の比率も高かった。性別での比較では, 男性は多発例が多かったが, 他の項目では有意差を認めなかった。免疫法便潜血検査陽性の高齢者は上記のような特徴があることに留意し, 大腸癌の罹患率・死亡率を減少させるため全大腸内視鏡を積極的に勧め, 行うべきと考えられた。
症例報告
  • 肱岡 範, 丹羽 康正, 田中 努, 山雄 健次, 細田 和貴
    2014 年 52 巻 2 号 p. 240-246
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/15
    ジャーナル フリー
    症例は59歳, 女性。検診のUSにて肝門部に異常を指摘され当科紹介となった。USで左肝管内に10mm大の高エコー腫瘤を認めた。造影CTでは造影効果を有する胆管壁肥厚像がみられた。超音波内視鏡検査では左肝管内に14mm大の均一高エコーの乳頭状腫瘤として描出され, 胆管壁の外側高エコー層は保たれており胆管内に限局した病変であると認識された。
    経口胆道鏡で左肝管に乳頭状腫瘍を認めIPNBと診断した。生検では過形成上皮の診断であったが, 腺腫~上皮内癌の可能性を否定できず, 肝左葉・尾状葉・肝外胆管切除を施行した。病理所見は粘液を含み乳頭状に増殖する異型に乏しい腫瘍細胞を認め胆管内乳頭状腫瘍(IPNB:adenoma gastric type)と最終診断した。
この症例に学ぶ
  • 岡庭 信司, 岩下 和広, 平栗 学, 伊藤 信夫
    2014 年 52 巻 2 号 p. 247-252
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/04/15
    ジャーナル フリー
    症例は76才, 男性。胃検診で胃体上部後壁の隆起性病変を指摘され精査を目的に当院を受診した。上部消化管内視鏡検査では胃体上部後壁に壁外性圧排像を認めた。腹部超音波検査では膵体部に不整な嚢胞壁を有する嚢胞性病変を認め, パワードプラで壁内に血流シグナルを認めた。腹部CTで嚢胞性病変の壁は膵臓と同程度の造影効果を認めた。超音波内視鏡検査では不整な壁構造を伴う嚢胞性病変であり, 背側に腫大したリンパ節を認めた。腫瘍マーカーや内分泌ホルモンに異常を認めなかった。以上より, リンパ節転移を伴う非機能性神経内分泌腫瘍の嚢胞変性と診断し, 膵体尾部脾合併切除術を施行した。腫瘍は径40mmの境界明瞭な充実性腫瘍であり嚢胞変性を伴っていた。免疫染色で腫瘍細胞はクロモグラニンAとシナプトフィジンが陽性であったことから神経内分泌腫瘍と診断した。嚢胞壁の不整な肥厚と多血性は, 嚢胞変性を伴う神経内分泌腫瘍と通常の嚢胞性病変との鑑別に有用である。
委員会報告
地方会抄録
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