癌の死亡率減少のためには, 有効性が科学的に証明された検診を, 高い精度管理の基に行わなければならない。検診施設間には精度のバラツキが存在し, 質の悪い精度の基での検診は, 不利益が利益を上回る可能性がある。精度管理対策の実施によって検診精度の向上は明らかであり, 胃がんの内視鏡検診が実施される場合でも精度管理対策は必須である。
例え死亡率減少効果が認められる検診であっても, 不利益が無視できない場合は対策型検診として推奨されないことがある。不利益には偽陰性, 偽陽性, 過剰診断, 検査による偶発症があるが, がん発見率の高い検診は過剰診断のリスクが存在する。
がん検診の受診率向上のためにはコール・リコールシステムが有効であるが, そのためには重点的に受診勧奨すべき対象年齢の設定が必要である。適切な対象者に対して, 有効な検診を高い精度管理の基に行うことが「合理的かつ科学的根拠に基づく胃がん検診」と考える。
抄録全体を表示