一有床診療所(外科医院)における, 48年間の実績から, 胃集団検診由来(検診群)と外来(外来群)での発見胃癌の臨床病理学的特徴を比較検討した。主な検討項目は, 進行度, 肉眼型, 組織型, 予後などである。検診群では, 胃集検読影との正診率も検討した。結果;検診群は121例, 外来群は744例であり, 早期癌は, 検診群78例(64%), 外来群394例(53%)であった。肉眼型では, 早期癌で, 検診群の方が外来群に比し, 隆起型, 複合型が多く, 陥凹型が少ない結果であった。組織型は, 両群とも, 早期癌は分化型が, 進行癌は未分化型が多い傾向であった。検診群の早期癌での正診率は, 全体で81%であり, 陥凹型がやや低く, U領域とL領域が少し低い傾向であった。陥凹型のうち, ひだ集中を伴うものは93%と良好であった。5年生存率は, 検診群80.2%, 外来群63.4%と検診群が高い結果であり, 検診の有用性が示唆された。
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