日本消化器がん検診学会雑誌
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53 巻 , 1 号
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巻頭言
大会長報告
原著
  • 茂木 文孝
    2015 年 53 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
    検診の延命効果を獲得余命として算定する飯沼らによる数理モデル(飯沼モデル)を用いて胃癌罹患率の低下に伴う獲得余命の変化を求め, 対象年齢ごとの胃がん検診の利益を検討した。方法 飯沼モデルで10万人の検診による救命数を求め, 平均余命や健康寿命を乗じて獲得余命を求めた。1990年に飯沼らが算定した獲得寿命と最新の2008年データを用いた獲得寿命を比較した。また年齢階級別に死亡率減少効果を検討した。結果 獲得余命は男性が女性よりも2倍以上長く, 40歳台から男性は急激に, 女性は徐々に延長した。ピークは70歳前半でそれ以上の年齢層で短縮したが, 健康寿命を用いた女性の獲得余命で顕著だった。飯沼らの報告と比べて全ての年齢層で獲得余命が短縮していた。男性50歳以上, 女性60歳以上で死亡率減少効果を認めた。結論 80歳以上ではあまり獲得余命の延長は望めず, 40歳台では罹患率の減少により検診の利益が低下していた。
  • 安田 貢, 前田 剛, 小林 三善
    2015 年 53 巻 1 号 p. 17-29
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
    KKR高松病院人間ドックセンターでは, 平成25年度より, 任意型検診である人間ドックの胃がん検診において, 受診者全員の血清H.pylori(Hp)抗体価, pepsinogen(PG)値を測定し, 問診内容も参考の上で, 総合的に個々のHp感染状態(現感染・既感染・未感染)を判定している。これをgold standardとした際の, 胃X線(1,535名)の背景胃粘膜読影によるHp感染状態の正診率は91.4%であったが, 現感染と既感染を区別しなければ96.5%と良好であった。今後は未感染者増加への対応が課題と考えられた。この読影方法は胃X線検査のみ実施する対策型検診においても適用可能である。Hp感染が疑われる受診者は, 精検不要であっても感染診断後, 除菌治療が考慮されるべきであろう。胃がんの早期撲滅のためには, 今後すべての胃がん検診システムが「Hp感染胃炎」という新基軸をもとに再構築されていく必要があると考えられた。
  • 赤羽 たけみ, 白井 康代, 福居 健一, 大石 元
    2015 年 53 巻 1 号 p. 30-37
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
    対策型胃がん検診における内視鏡検診対象者の抽出方法について検討した。対象は2009年~2011年に当センター人間ドックで発見された胃癌症例27例{内視鏡で発見13例(男/女:9/4), X線で発見14例(男/女:11/3)}である。2年連続して内視鏡を受けた4例は平均腫瘍径が10.3mmで前年にX線を受けた15例の23.7mmに比べて有意に小さく, 全例ESDで治療されており, 逐年内視鏡検診はESDが可能な胃癌の発見に有用であることが示唆された。胃癌症例のうち21例(78%)が55歳以上かつopen typeの萎縮性胃炎であった。萎縮性胃炎の頻度と胃癌発見率は, それぞれ55歳以上で60%, 0.21%で55歳未満の34%, 0.03%に比べて有意に高かった。55歳以上の萎縮性胃炎における胃癌発見率は0.4%であった。以上より, 55歳以上でopen typeの萎縮性胃炎を対策型内視鏡検診の対象とするのが適切であると考えられた。
症例報告
  • 徳島 緑, 坂田 泰志, 内藤 優香, 大串 昭彦, 松永 圭司, 水口 昌伸, 米満 伸久
    2015 年 53 巻 1 号 p. 38-45
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
    4年間の人間ドックの上部消化管内視鏡検査6377例中に2例の十二指腸濾胞性リンパ腫を発見した。症例1は52歳女性で上部消化管内視鏡検査で十二指腸下行部のひだが太まり, 表面に平坦な白斑と白色顆粒状隆起を認めた。症例2は65歳女性で内視鏡検査で下十二指腸角から水平部に平坦な白斑と白色顆粒状隆起を認めた。2症例とも生検で濾胞性リンパ腫, grade1と診断した。過去の内視鏡画像をみると, 症例1, 2ともに病変の一部が撮影されていたが, 施行医が異常に気が付かず見逃していた。十二指腸濾胞性リンパ腫を発見するためには十二指腸のひだの間を丁寧に観察し, 特徴的な平坦な白斑や白色顆粒状隆起所見を見逃さないことが重要だと思われる。
  • 山本 真司
    2015 年 53 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
    54歳, 男性。自覚症状なし。便潜血検査陽性を指摘されたため当院紹介される。大腸内視鏡検査で, 直腸(RS)に直径35mmの隆起性病変を認めた。生検結果はcarcinoma in adenomaであった。術前診断は粘膜内癌で, ESDは可能であると判断した。しかし, ESDの最中に線維化を認めたため, ESDを断念した。後日, 腹腔鏡下手術にて腫瘍を切除した。病理組織検査結果はAdenocarcinoma, pTis, ly0, v0, pN0(0/13)であった。
    線維化症例におけるESDの撤退すべき所見というのは一概に言えないが, 筋層牽引所見を含め剥離すべき層が認識できない場合は無理をするべきではない。
    自己の技量と病変の難易度を把握し, 状況に応じて内視鏡治療を中断する判断能力が安全なESDにつながると思われる。
  • 松原 浩, 浦野 文博, 内藤 岳人, 岡村 正造, 大橋 信治
    2015 年 53 巻 1 号 p. 52-59
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/02/15
    ジャーナル フリー
    症例は42歳女性。当院における初回健診の腹部超音波検査(US)で膵体部腫瘍を指摘された。USでは類円形, 18mm大の輪郭不明瞭な低エコー腫瘍で, 内部に点状高エコーや無エコースポットを有し, 尾側膵管の拡張は認めなかった。造影CT検査では, 造影効果の乏しい充実性腫瘍として認識された。造影USでは, 腫瘍は背景膵に比べて弱い造影態度を示した。主膵管や膵周囲脈管への影響が乏しく, 動脈相から後期相を通じて周囲膵実質より淡い造影効果を認めたことから, 浸潤性膵管癌, 腫瘤形成性膵炎や膵神経内分泌腫瘍ではなく, 膵solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)を第一に疑い, 脾合併膵体尾部切除術を施行, 病理学的に膵SPNと診断した。膵SPNは稀な疾患であるが, 腫瘍随伴所見に乏しいことや, 造影USにおいて周囲膵実質と比較し淡い造影態度を示すことが診断において重要である。
委員会報告
地方会抄録
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