日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
Print ISSN : 1880-7666
ISSN-L : 1880-7666
53 巻, 5 号
選択された号の論文の33件中1~33を表示しています
巻頭言
総会長報告
原著
  • 三吉 博, 中野 真, 三好 和夫, 須田 健夫, 吉川 廣和, 松本 雅彦, 松沢 良和, 渕上 在彌, 井上 幸万
    2015 年 53 巻 5 号 p. 571-578
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    さいたま市では従来の胃がんX線個別検診に加え, 平成21年(2009年)より受診者が任意に内視鏡も選択出来る胃がんのX線・内視鏡併用検診を新たに開始した。そこで過去10年間の大宮地区のデータをもとに, 前半のX線単独の時代と後半の内視鏡併用の時代についてその成績を比較し, 内視鏡検診導入の成果について検討した。その結果, 内視鏡検診開始により, 総受診者数は5年間で102,367から144,880名へ, 総胃がん発見数は248から621例へと増加させることが出来た。また胃がん発見率に関しては内視鏡は0.62%, X線は0.22%であり, 早期がん比率においても内視鏡76.6%, X線60.1%と内視鏡検診の方が優位であった。胃がん検診への内視鏡の導入は, 検診の成績向上に大きく寄与すると考えられた。
  • 田中 正樹, 松田 一夫
    2015 年 53 巻 5 号 p. 579-588
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    福井県がん登録を利用して, 2003年から2006年の福井県胃集団検診(受診者120,320人, 要精検者15,380人, 要精検率12.8%)の精検受診者11,643人(精検受診率75.7%)における内視鏡精検の精度を検討した。偽陰性例を胃がん以外の病名で精検報告された後に胃がんと診断されたものとすると, 精検発見例は152例, 追跡期間1年の偽陰性例は12例, 3年では44例認めた。精検の感度は1年では92.7%, 3年では77.6%であった。追跡期間3年の偽陰性例において, X線検査と実際の部位が一致する割合は中部81.8%, 下部41.7%, 上部25.0%と中部が高かった。1年以内に診断された偽陰性進行例は2例認め, その部位は共に中部であり, X線検査で指摘を受けていた。内視鏡精検時にはX線検査結果を念頭に特にその指摘部位では中部の見逃しに注意が必要である。
  • 近藤 秀則, 米田 昌道, 井上 和彦
    2015 年 53 巻 5 号 p. 589-599
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    岡山県真庭市では, 対策型胃がん検診として2011年度から胃がんリスク評価(ABC分類)を基盤とした地域胃がん検診システムを導入した。2011年から2013年まで3年間の健康診査受診者数は14,476人で, うち本検診受診者数は3,089人(受診率21.3%)であった。ABC分類として, 従来のB群をB-1群(PGII<30ng/ml)とB-2群(PGII≧30ng/ml)に細分類し, B-2群をC群と共に高リスク群とした。B-2群・C群は合計1,053人(34.1%)であり, そのうち二次検査受診率は41.8%であった。その結果, 3年間における発見胃癌は8例で, すべて早期胃癌(M癌7例, SM癌1例)であった。ABC分類の内訳としては, B-1群1例, B-2群1例, C群6例であった。
    ABC分類を基盤とした本検診は, 早期胃癌を効率的に発見できる有用な検診システムであることが示唆された。問題点として, 高リスク群の精検受診率がまだ低く, 今後も住民に対する胃がんリスク評価の正しい啓発が必要である。本検診は, 単年度完結型の従来のがん検診システムとは異なり複数年度にわたるものであるため, 複数年度にわたる検診システムの管理体制の充実が重要である。
  • 馬嶋 健一郎, 永田 浩一, 松本 啓志
    2015 年 53 巻 5 号 p. 600-606
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    大腸CTの読影で使用する三次元画像は精度検証済みの仮想内視鏡像が世界標準だが, 本邦では大腸展開像も使用される機会が多い。今回, 両読影法の精度を比較した。内視鏡にて病変が診断されている大腸CT症例100例を, 初級者1名が, 大腸展開像+MPR像による読影と, 仮想内視鏡像+MPR像による読影を行った。100例は1-50症例を第1セット, 51-100症例を第2セットとした。6mm以上の大腸ポリープ・癌の病変別感度は, 展開群, 仮想内視鏡群の順に第1セット67.9%(19/28), 89.3%(25/28), 第2セット86.1%(31/36), 91.7%(33/36)であった。展開群よりも仮想内視鏡群で感度が高く, 大腸CTの標準化では, 精度検証が済んでいる仮想内視鏡像による読影方法を優先すべきと考えられた。
経験
  • 羽柴 厚, 竹田 康男, 鍛冶 恭介, 大野 健次
    2015 年 53 巻 5 号 p. 607-621
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    かかりつけ医型個別検診は独善的で適正な精度管理が行われないことが危惧される。金沢市医師会ではすべての検診に検診委員会・精度管理委員会を設置し適正な精度管理を目指している。画像診断を伴う個別検診については2次読影+レフリー判定(金沢市医師会方式)を行い判定の適正化を得ている。読影会での画質評価による画質の向上, 生検の妥当性評価による生検率の適正化になどにより検診レベルの向上が得られた。また個人情報に配慮しつつ検診データの解析を行うため金沢市とデータ活用の取り扱いに関する協定書を交わし住民への還元を行っている。
    今回当会での『かかりつけ医型個別住民検診』の現状と課題を検証し地域医師会のあるべき姿について報告する。
  • 宗本 義則, 松田 一夫
    2015 年 53 巻 5 号 p. 622-631
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    個別検診においても精度管理は不可欠である。福井県では2010年度から従来の集団検診に加えて, 全県統一的に精度管理した5がんの個別検診を開始した。従来より福井県健康管理協会が集団検診を一元的に実施・管理していたが, 個別検診も同様の方法でデータ管理と集計を行うのである。さらに, 個別検診においてもチェックリストを用いて指導を行った。特に大腸がん検診においては, 全市町における検体回収と測定を福井県健康管理協会が一括して行い, 便潜血検査のキットとカットオフ値も統一した。また, 医師向けに講演会や実技指導研修会等の開催, 実施ガイドライン等の配布を行った。福井県における大腸がん検診は49,213名(2011年度)でありうち集団検診が40,144名, 個別検診が9,069名であった。個別検診で要精検率5.6%, 精検受診率76.2%, がん発見率0.35%, 陽性反応適中度6.34%で, 同時期の集団検診(それぞれ4.2%, 77.8%, 0.20%, 4.77%)と比較しても良好であった。個別検診で精検受診率を高める要因として高齢でないこと, 検診機関で精検が行えることが考えられた。
症例報告
  • 武藤 桃太郎, 佐藤 啓介
    2015 年 53 巻 5 号 p. 632-638
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    症例は73歳, 女性。2013年5月の住民検診で胃X線検査を施行したが異常を指摘されなかった。同年6月当院でのCT検査で胃小彎側のリンパ節腫大を認め, 上部消化管内視鏡検査で胃体下部大彎に径約40mmの浅い陥凹性病変を認めた。生検でdiffuse large B-cell lymphomaの診断となり, 精査の結果, 限局性の胃悪性リンパ腫の診断となった。化学療法を施行し, 完全寛解を得た。本症例が検診で指摘されなかった原因として, 背臥位二重造影での描出が困難であったこと, 十二指腸に流出したバリウムが病変と重なっていたこと, 対策型検診撮影法のため圧迫法がなかったことなどが考えられた。胃X線検診において, 病変の拾い上げのためには, 二重造影のみでなく薄層像や圧迫像を駆使し, リアルタイムでの観察も重要であると考えられた。
  • 松原 浩, 浦野 文博, 内藤 岳人, 岡村 正造, 大橋 信治
    2015 年 53 巻 5 号 p. 639-645
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/15
    ジャーナル フリー
    症例1. 60歳代女性。当院における検診の腹部超音波検査(US)で膵充実性病変を指摘された。Dynamic造影CT検査(CE-CT)で病変は指摘できなかったが, 超音波内視鏡検査(EUS)ではUSと再現性のある低エコー腫瘤を認めた。膵体部癌の診断で脾合併膵体尾部切除術を施行した。術後診断は1cm大の膵intraductal papillary mucinous carcinomaであった。症例2. 70歳代女性。当院の検診USで主膵管拡張を指摘された。CE-CTでは, 膵に腫瘤性病変は指摘されなかった。EUSでは膵頭部に低エコー腫瘤を認め, 同部位より尾側主膵管は拡張していた。膵頭部癌の診断で膵頭十二指腸切除術を施行し, 術後診断は1.5cm大の通常型膵癌であった。検診USで異常を指摘された場合には2cm以下の小膵癌である可能性があり, 二次精査には描出能に優れるEUSが有効である。
第53回日本消化器がん検診学会大会(JDDW2015) 講演プログラム
会長講演
特別講演
教育講演
日本消化器病学女性医師・研究者の会
統合プログラム1(PD)
統合プログラム2(W)
統合プログラム3(W)
統合プログラム4(PD)
統合プログラム5(PD)
統合プログラム6(PD)
メディカルスタッフプログラム2
メディカルスタッフプログラム3
メディカルスタッフプログラム4
パネルディスカッション2
パネルディスカッション7
パネルディスカッション8
ワークショップ5
ワークショップ15
ワークショップ18
ワークショップ19
デジタルポスターセッション
International Poster Session
feedback
Top