日本消化器がん検診学会雑誌
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53 巻 , 6 号
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巻頭言
原著
  • 山本 智美, 安保 智典, 田中 伸一, 細川 肇, 春木 秀敏, 西田 大, 中川 栄志, 廣田 恵理果, 長谷川 達也
    2015 年 53 巻 6 号 p. 759-765
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/16
    ジャーナル フリー
    対策型検診撮影法では独特の素早い体位変換や回転動作が困難な受診者に遭遇する事が少なくない。今回, 改善を目的に動画説明を導入し, 最初の右回り3回転動作に着目し有効性を評価した。対象と方法:右回り3回転を40秒未満で行えなかった者を3回転困難者とした。動画説明導入前群:1,665名(2011年11月17日~同年12月7日), 動画説明導入後群:1,631名(2012年1月19日~同年2月9日)で評価した。結果:全体では3回転困難者は, 動画説明導入前群で25.7%, 動画説明導入後群で12.1%であった(p<0.01)。3回転困難となる原因は74歳以下では体位変換に関する具体的な理解不足であったが, 75歳以上の高齢者では運動機能低下であり, 対策型検診撮影法を一律適用するのは困難である。結論:体位変換を視覚的に理解できる動画説明は多くの年齢層で右回り3回転動作を正しく理解させるのに有用である。
  • 佐藤 恒信, 山口 和也, 杉山 園美, 赤羽 麻奈, 三橋 佳苗, 林 學
    2015 年 53 巻 6 号 p. 766-774
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/16
    ジャーナル フリー
    [背景]ABC分類のA群は胃がん低リスク群と扱われるが, 高齢者では萎縮進行例の割合が高いのではないかという懸念がある。
    [対象と方法]年齢階級別に, ABC分類判定結果とX線画像の胃粘膜萎縮度について比較した。千葉県C村2013年3月の対策型胃X線検診1168名を対象とした。ヘリコバクターピロリ菌(以下Hpと略)除菌歴, 逆流性食道炎または胃疾患通院, 胃切除歴のある例は問診票で除外した。採血はX線検診当日に署名による同意の上で施行した。
    [結果]70歳以上の高齢者ではA群でも胃粘膜萎縮進行例が40~50%を占め, Hp抗体価(3U/ml未満)およびペプシノゲン法の値の評価でも, 萎縮進行例の十分な除外は困難であった。
    [結論]高齢者ではA群でも萎縮進行例の割合が高く, 画像検査追加による萎縮進行例の除外が必要である。
  • 坂野 文香, 松本 能里, 久留島 仁
    2015 年 53 巻 6 号 p. 775-781
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/16
    ジャーナル フリー
    PG法は胃癌ハイリスク群の拾い上げに有用であるが, PG陽性例のみならずPG陰性例からの胃癌発生も少なくない。このたび, 当院人間ドックの発見胃癌のうち治療前のPG値が判明している52例のPG値を検討した。52例のうちPG陽性は30例(57.7%), PG陰性は22例(42.3%)であった。胃癌はO-1, O-2の萎縮度で多く認めた。PG陽性では90.0%にopen typeの萎縮を認め, PG陰性でも50.0%にopen typeの萎縮を認めた。最終病理結果が判明している50例で, 分化型が37例, 未分化型が13例であった。分化型ではPG陽性が64.9%であったが, 未分化型ではPG陰性が53.8%を占めた。また, PG陰性癌20例のPG値を検討すると, 75%がPGI低値(40ng/ml以下)あるいはI/II比低値(4以下)に存在した。PG陰性者についても, 胃癌発生の可能性に注意を要すると考えられた。
  • 曽我 忠司
    2015 年 53 巻 6 号 p. 782-791
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/16
    ジャーナル フリー
    対策型地域胃がん検診に胃がんリスク診断を導入するにあたり, いわゆる偽A群への対策として以下の追加基準を設けた(PG-1が35ng/ml以下, PG-2が15ng/ml以上, HP抗体価が5以上10U/ml未満, HP除菌歴あり)。従来基準でA判定でも追加基準のいずれかが陽性の場合は“Aだが精査群”と判定し内視鏡による精検を勧奨した。2013年度の受診者総数は17,325名, A群の要精査率は40.9%(4,052/9,916)で, “Aだが精査群”の45.5%(342/751)に萎縮性胃炎を認め, 4例の胃癌が発見された。除菌既往者を除くと偽A群はA群の11.1%を占め, 偽A群の胃癌数/精検数は1.65%とC群に比肩するものであった。今回の追加基準は偽A群を概ね把握できたが取りこぼしは存在すると思われる。またA群の要精査率が高く偽陽性が多いため追加基準の改良を検討している。
経験
  • 大岩 俊夫, 大岩 久夫, 北川 晋二, 鶴丸 大介, 平橋 美奈子
    2015 年 53 巻 6 号 p. 792-800
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/16
    ジャーナル フリー
    一有床診療所(外科医院)における, 48年間の実績から, 胃集団検診由来(検診群)と外来(外来群)での発見胃癌の臨床病理学的特徴を比較検討した。主な検討項目は, 進行度, 肉眼型, 組織型, 予後などである。検診群では, 胃集検読影との正診率も検討した。結果;検診群は121例, 外来群は744例であり, 早期癌は, 検診群78例(64%), 外来群394例(53%)であった。肉眼型では, 早期癌で, 検診群の方が外来群に比し, 隆起型, 複合型が多く, 陥凹型が少ない結果であった。組織型は, 両群とも, 早期癌は分化型が, 進行癌は未分化型が多い傾向であった。検診群の早期癌での正診率は, 全体で81%であり, 陥凹型がやや低く, U領域とL領域が少し低い傾向であった。陥凹型のうち, ひだ集中を伴うものは93%と良好であった。5年生存率は, 検診群80.2%, 外来群63.4%と検診群が高い結果であり, 検診の有用性が示唆された。
  • 原田 直彦, 平川 克哉, 北川 晋二
    2015 年 53 巻 6 号 p. 801-809
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/16
    ジャーナル フリー
    平成12年6月, 福岡市胃がん内視鏡個別検診は全国に先駆けてスタートし, 職場などで検診受診の機会がない40歳以上の福岡市在住者を対象としている。検診機関は, 「手上げ方式」により実績ある機関を登録し, 講習会への出席を義務付け精度向上に努めている。一次検診機関は, 一次読影結果と画像資料を市医師会に提出, その資料を消化管検診部会読影委員2名1組で二次読影を実施している。読影委員は, 画像につきフイルム評価, 評価コメントをつけ, 低評価判定の機関にたいしては内容を通知し改善を促すことで精度向上を図っている。一次読影結果と二次読影結果が異なる場合には, 別読影委員による三次読影(レフェリー判定)を行っている。読影委員定例会では, 地区ごとの検診受診者数, 要精検率, 精検受診率, がん発見率を評価している。
    より質の高い内視鏡検診を行うには, 検診機関の指導, 研修のシステム構築が必須と思われる。
症例報告
  • 満崎 克彦, 松田 勝彦, 福永 久美, 菅 守隆, 工藤 康一, 吉田 健一, 伊牟田 真功
    2015 年 53 巻 6 号 p. 810-816
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/12/16
    ジャーナル フリー
    症例は70歳女性。大腸がん検診目的でCT colonography(CTC)を施行。炭酸ガス自動送気装置を用いて腸管拡張を行い, 検査中・検査後も腹痛等の自覚症状は認めなかった。画像所見ではS状結腸に多発憩室に伴う拡張不良は認めるものの, 穿孔を疑う遊離ガスは認めなかった。検査翌日より軽度の下腹部痛および微熱を自覚したが放置していた。その後下腹部痛と発熱が持続し, 検査後第6病日に造影CTおよびMRIにてS状結腸憩室穿孔による膿瘍形成および急性汎発性腹膜炎と診断され緊急手術を受けた。CTCは低侵襲で安全な検査ではあるが, 稀に腸管穿孔が起こりうることを認識すると同時に, そのリスク要因や予防に関しても習得すべきである。また, 穿孔の早期発見に努め, 不幸にして生じた場合にはフォロー体制を構築しておくことが大切である。本邦においてスクリーニングCTCが原因となった腸管穿孔の報告はなく, 教訓的な1例と考え報告する。
地方会抄録
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