日本消化器がん検診学会雑誌
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54 巻 , 1 号
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巻頭言
大会長報告
会長講演
  • 西田 博
    2016 年 54 巻 1 号 p. 8-17
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    がん検診のevidenceは, 無作為化比較対照試験(RCT)などの実証研究のなかで生み出されてきた。特に適切にデザインされたRCTはbiasの影響を制御できるため, 信頼性の高い結果を得ることが可能である。しかし, RCTは結果を得るために長期の観察を要するという問題点を有する。
    一方, 診断技術の発展は, 半導体技術の進歩と共に今後加速度的に進むと推測されるため, 従来の評価方法では診断技術の進歩に取り残される可能性が危惧される。また, 実証研究からのevidenceはある制限された条件下でのものであり, 条件や前提が変化した場合研究結果の外挿が困難である。
    このような状況下で, 診断技術の進歩に遅れをとらずにevidenceに近いデータを提供できる可能性をmicrosimulationは有している。ただし, microsimulationは仮想空間での実験であり, 実証研究から得られたevidenceを根拠に構築されることから, 信頼性の高い研究データが今後も必要であることは当然である。その上で, シミュレーション技術をがん検診の有効性評価に取り入れていくための研究手法の確立が望まれる。
原著
  • 唐澤 博之, 杉山 敦, 武田 正, 山村 光久, 荻原 康宏, 山岸 淳一郎, 百瀬 英司, 岩岡 秀子, 大倉 みつえ, 青木 政子
    2016 年 54 巻 1 号 p. 18-29
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    上部消化管内視鏡検査を受けた同一健診受診者750例に, 新しい血清Helicobacter pylori抗体測定試薬であるスフィアライトと, 既存のEプレートの両法を用いてABC分類を行い, その結果について検討した。H. pylori抗体陽性率はスフィアライト28.5%, Eプレート25.2%でスフィアライトの方が高かった。スフィアライトによるABC分類ではEプレートに比べB群, C群が増加し, A群, D群は減少した。両抗体法の不一致例のほとんど(26/27例)はEプレートH.pylori抗体陰性がスフィアライトで陽性と判定され, Eプレート抗体価の陰性高値例が多かった(22/27例)。またスフィアライトA群のC-2以上の萎縮性胃炎(5.8%)に対しペプシノゲン値による拾い上げを行うと, 萎縮性胃炎の混入率をおよそ半分まで減らすことが可能であった。スフィアライトを用いることでABC分類の精度が上がることが示唆されたが, それでもA群に萎縮性胃炎が混入するのは確実で, A群に対しては慎重な対応が必要と思われた。
  • 瀬古 千佳子, 松井 大輔, 松川 泰子, 小山 晃英, 渡邉 功, 尾崎 悦子, 栗山 長門, 水野 成人, 渡邊 能行
    2016 年 54 巻 1 号 p. 30-41
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)感染は胃がんの確実な発がん因子である。H. pylori感染から慢性萎縮性胃炎への進展過程における摂取食品との関連については多くの先行研究が行われているが, 栄養素摂取量との関連についての報告は少ない。そこで, 本研究はH. pylori感染者における慢性萎縮性胃炎陽性者と陰性者の栄養素摂取量の差異を検討した。対象者は京都在住の35歳から69歳までの健診参加者4,330人のうちH. pylori感染陽性者1,251人とした。解析対象者はこの内の栄養素摂取量算出を完了した女性296人とした。年齢, 喫煙, ビタミン剤服用, エネルギーによる補正を行い, 各栄養素摂取量を三分位に分けてロジスティック回帰分析を行った結果, カルシウムの中等量摂取, 多量摂取, 及び多価不飽和脂肪酸の中等量摂取は有意に慢性萎縮性胃炎のリスクを低めていた。これにより, これらの栄養素が慢性萎縮性胃炎進展の抑制と関連している可能性が示唆された。
  • 萩原 武, 寺門 洋平, 西岡 均, 今村 哲理
    2016 年 54 巻 1 号 p. 42-51
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    (目的)除菌治療後の検診受診者における胃X線検査を用いた感染診断の精度を明らかにする。
    (対象・方法)当院の検診受診者で, 当院で除菌治療を行いH. pylori陰性が確認されている131人に対して, 中島らの分類をもとに胃X線検査で感染診断を行った。
    (結果)14.5%で未感染, 48.9%で既感染, 36.6%で現感染と診断し, 除菌治療時の年齢が55歳未満, 除菌治療を行った背景疾患が胃炎または十二指腸潰瘍・瘢痕の検診受診者では未感染と診断し, 背景疾患が胃潰瘍・瘢痕の検診受診者では現感染と診断した。
    (結論)除菌治療の適応拡大に伴い除菌治療をうけた検診受診者が増加すると思われるが, 胃X線検査のみで除菌治療後の検診受診者に感染診断を行えば, 多くの偽陽性や偽陰性が発生し危険であると思われた。
  • 古田 隆久, 佐原 秀, 市川 仁美, 鏡 卓馬
    2016 年 54 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    除菌後の血清ペプシノゲン(PG)値より除菌前の萎縮性胃炎の評価, PG法での陽性・陰性の推定が可能かを検討した。H. pylori陽性で, 除菌前に内視鏡的に木村・竹本分類に従って萎縮を評価し, 除菌の前後で血清PG, 抗H. pylori IgG抗体を測定した193例を対象とした。PG法の陽性・陰性で分類した場合, 除菌後も陽性・陰性で有意に異なるものは, PGIとPGI/II比であった。ROC曲線での解析の結果, PGIが36.4(ng/ml)以下でPG法陽性と判断すると74.2%の有用度で除菌前のPG法陽性と判定可能であった。除菌前の萎縮の広がりとの相関も除菌前のPG法での判定と同等であった。除菌後の血清PGからもある程度除菌前の萎縮性胃炎の状態が推定できると考えられた。
この症例に学ぶ
  • 満崎 克彦, 福永 久美, 菅 守隆, 工藤 康一, 吉田 健一, 伊牟田 真功, 神尾 多喜浩
    2016 年 54 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    検診後短期間に発見された食道胃接合部腺癌を2例経験した。若年者のHelicobacter pylori(H. pylori)感染率の低下, H. pylori除菌時代の到来とともに食道胃接合部癌は増加すると考えられている。新たな胃がん検診ガイドラインにおいて, 対策型検診・任意型検診に胃内視鏡検査が推奨され内視鏡検査の需要性が高まる中, 食道胃接合部を発癌リスクの高い重要な部位と認識し, 見落としのない丁寧で詳細な観察が求められる。
  • 森 昭裕, 伊藤 隼, 湯村 崇之, 蜂谷 紘基, 林 晋太郎, 大橋 憲嗣
    2016 年 54 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/02/01
    ジャーナル フリー
    55歳女性。来院1ヶ月前より吐き気, 食欲低下あり。腹部単純X線, CTで胃内容充満, 十二指腸拡張, 近位小腸狭窄を指摘された。非鎮静下経鼻内視鏡で上部消化管スクリーニング後, 生検鉗子孔より比較的硬いガイドワイヤーを内視鏡先端手前約20cmまで挿入したところ近位空腸まで挿入可能であった。十二指腸空腸脚より約5cm肛門側にほぼ全周性狭窄を伴う2型の腫瘤を発見, 生検で空腸癌と診断した。深部十二指腸や近位空腸領域は通常の上部消化管内視鏡では観察困難で, バルーン内視鏡やカプセル内視鏡を必要とすることが多いが, 経鼻内視鏡の特徴を生かし若干の工夫を加えることで簡便に観察可能となった。
委員会報告
地方会抄録
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