日本消化器がん検診学会雑誌
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54 巻 , 4 号
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巻頭言
原著
  • 大橋 憲嗣, 森 昭裕, 河合 洋美, 林 晋太郎, 伊藤 隼, 湯村 崇之, 蜂谷 雄基
    2016 年 54 巻 4 号 p. 486-499
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/11
    ジャーナル フリー
    胃X線検査において, 簡潔かつ客観的なH.pylori感染胃炎の画像診断を目的とし, ひだ太さ, 粘膜性状, ひだ消失所見を組み合わせた独自の診断フローチャート(FC)を作成した。当院健診センターで施行している任意型胃がん検診に対して適用し, 同時に行ったABC分類の結果と対比することで前向きに検証した。対象は2207人で, 感度87.3%, 特異度94.5%と良好な成績が得られた。FCを用いた胃X線検査は画像診断であるため, 従来の胃がん検診の診断能を損なわず単体でH.pylori胃炎診断が可能となり, 加えることで胃がん検診の有用性が向上すると考えられる。
  • 西川 孝, 芳野 純治, 村田 希世美, 恒矢 保雄, 岡田 明子, 渡邉 真也
    2016 年 54 巻 4 号 p. 500-511
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/11
    ジャーナル フリー
    2004年と2015年の胃X線像を比較できた任意型検診受診者427人を対象に, 初年度と11年後の胃粘膜萎縮の変化について検討した。2004年のX線像で粘膜萎縮の判定を行ったところ『萎縮なし』と判定された受診者は217例, 『萎縮あり』と判定された受診者は210例, 『軽度萎縮』と判定された受診者は100例, 『中等度萎縮』と判定された受診者は77例, 『高度萎縮』と判定された受診者は33例であった。また, 2004年のX線像と2015年のX線像で粘膜萎縮に変化があった受診者は, 『萎縮なし』217例では11年間で新たに萎縮が生じることは無く, 『萎縮あり』210例では17例(8.1%)に粘膜の変化がみられた。『軽度萎縮』100例では8例(8.0%)が中等度または高度萎縮に進行しており, 『中等度萎縮』77例では7例(9.1%)が高度萎縮に進行していた。『中等度萎縮』から『軽度萎縮』または『萎縮なし』に退縮したのは2例(2.6%)であった。11年の期間では胃粘膜の萎縮に変化が生じることは比較的少ないと考えられた。
  • 山崎 道夫, 井本 勝治, 坂本 力, 井上 明星
    2016 年 54 巻 4 号 p. 512-517
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/11
    ジャーナル フリー
    H.pylori感染胃炎の特徴は胃粘膜, ひだの形状・分布に代表されるが, 胃がん検診のX線像において除菌前後でどの程度変化しているか検討した。2013年4月から2014年11月までの当院健診目的に受診した3000件の胃X線検査施行例のうち, 問診票にてH.pylori除菌治療の既往のある174例中除菌治療前後で当院のX線検査を施行していた17例について, 胃粘膜表面像, ひだ形状, ひだの分布に関して後ろ向きに画像所見を比較した。粘膜表面像は除菌前に平滑;1, 中間;13, 粗造;3が除菌後に平滑;3, 中間;14, ひだ形状に関して除菌前に正常;1, 中間;8, 異常;8が, 除菌後に正常;12, 中間;5となった。ひだの分布は7症例で区分領域が減少した。胃X線では除菌前後で全く変化がないのは2症例のみで, 多くの症例は何らかの画像所見に変化を認めた。胃粘膜表面像が平滑化し, ひだ形状が正常型になり分布区域が減少するのが除菌後の典型的画像所見と考える。
  • 萩原 廣明, 茂木 文孝, 山下 由起子, 小板橋 毅, 八木茂 , 関口 利和
    2016 年 54 巻 4 号 p. 518-527
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/11
    ジャーナル フリー
    2004~2009年度の前橋市胃がん検診の成績を内視鏡検診(延べ受診者数72,279人, 男性29,250人, 女性43,029人, 平均年齢66.8歳)と直接X線検診(同69,165人, 25,798人, 43,367人, 65.8歳)で比較した。内視鏡検診の受診者は直接X線検診と比べて, 新規, 男性, 70歳以上の割合が高く, 胃がん発見率は3.3倍であった。偽陰性率は内視鏡検診が直接X線検診よりも低かった。内視鏡検診偽陰性がんはほとんどが早期がんで, 内視鏡治療率が高かった。偽陽性率は内視鏡検診が高かったが, その差は年々縮小していた。内視鏡検診に重篤な偶発症はみられなかった。全発見胃がん522例のうち, 新規受診発見胃がんを除いた199例(内視鏡検診130例, 直接X線検診69例)と, 更にmがんを除いた92例(内視鏡検診47例, 直接X線検診45例)の胃がん死を死亡とした5年実測生存率は, 内視鏡検診がそれぞれ86.8%, 82.6%, 直接X線検診がそれぞれ68.4%, 58.7%で, ともに内視鏡検診が有意に高かった。以上より, 対策型胃がん検診において内視鏡検診は直接X線検診より有用であると考えられた。
  • 平嶋 勇人, 鍋田 陽昭, 小柳 亮太, 阿部 康弘, 中道 太郎, 平嶋 勇希, 杉田 旭, 鈴木 淳, 青木 一浩, 熊野 秀俊, 小森 ...
    2016 年 54 巻 4 号 p. 528-538
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/11
    ジャーナル フリー
    2014年4月1日から12月31日までの9ヶ月間に, 極細径内視鏡による胃がん検診を行った10958件(対策型検診3448件・ドッグ7510件)を対象とし, がん発見率, 早期がん率, 治療法, 生検率, 生検適中度, 偽陰性がんについて検討した。胃がん症例は22件で発見率は0.20%であった。早期がん率は95.50%(21/22)で, 進行胃癌が1例(初回)であった。早期癌の治療は(追跡不能1例を除く)20例中15例(75%)がESDで, 5例は手術でいずれも根治された。生検率は7.01%(773件)で生検適中度は2.80%(22/773)であり, 当院における極細径内視鏡による胃がん検診は, がん発見率・早期がん率は全国平均と比して比較的満足出来る結果であった。また生検率は低い傾向にあるが, 生検適中度は適正と考えられた。発見がんの大部分が内視鏡治療可能であり, 有効な内視鏡検診が行われていると判断出来る一方で, 過去3年間に検査歴があるものを偽陰性がんとした場合, その偽陰性率は59%と高率であり, 撮影方法やダブルチェック方法の見直し, ハイリスク群への対応など今後の精度管理対策の見直しが必要と考えられた。
経験
  • 加藤 勝章, 千葉 隆士, 島田 剛延, 渋谷 大助
    2016 年 54 巻 4 号 p. 539-547
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/08/11
    ジャーナル フリー
    当協会では平成26年度胃集検から新たに胃X線検診のための読影判定区分(カテゴリー分類)を導入し, 精検不要区分を胃炎・萎縮が無いH.pylori未感染相当胃(カテゴリー1)と慢性胃炎を含む良性疾患(カテゴリー2)に区別することにした。H.pylori感染胃炎(抗体価3U/ml未満かつPG法陰性を未感染)に対する胃X線診断の感度は93.8%, 特異度は98.5%と良好であった。平成26年度胃集検受診者182,147人では, カテゴリー1が41.7%, カテゴリー2は慢性胃炎46.6%と良性疾患6.1%, 要精検6.2%で, 受診者全体の55%がH.pylori感染胃炎を伴うと判定された。モデル地区4410人における検診後1年間の新規除菌者の増加は, 胃炎診断導入前は年間1%未満であったが, 導入後は3.8%と有意に増加した。対策型検診への胃炎診断導入に際しては, 除菌希望者への対応も含めた運用が必要と考える。
附置研究会報告
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