日本消化器がん検診学会雑誌
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55 巻 , 6 号
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巻頭言
原著
  • 大原 信行
    2017 年 55 巻 6 号 p. 1045-1052
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/13
    ジャーナル フリー
    2014年LIA法を原理とする血清H. pylori抗体価測定キット「LZテスト」が上市された。LZテストは従来のELISA法によるEプレートとは異なる測定系であり, Eプレートに関する知見が通用する保証はない。今回, LZテストの陰性高値(抗体価3.0~9.9U/ml)がEプレートと同様の取扱いができるかを検証した。対象は両検査法で抗体価を同時測定し両抗体価の少なくとも一方が10U/ml未満であった230例であり, 陰性高値内のH. pylori感染状態の構成比および“新ABC分類”(カットオフ値=3.0U/ml)による分類結果を比較した。Eプレートでは陰性高値となる未感染は存在せず, LZテストでは16例(22.5%)であった。未感染98例に新ABC分類を適応するとEプレートではA群97例(99.0%)D群1例(1.0%), LZテストではA群83例(84.7%), BCD群合わせて15例(15.3%)であった。LZテストの陰性高値には未感染が多く含まれ, 新ABC分類をLZテストで行うと未感染者を要精検とする割合が増えるため, 未感染者が多数を占める検診ではEプレートを用いることが望ましい。
  • 井上 泉, 加藤 順, 前北 隆雄, 井口 幹崇, 岡 政志, 一瀬 雅夫
    2017 年 55 巻 6 号 p. 1053-1060
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/13
    ジャーナル フリー
    H. pylori感染による大腸腫瘍リスクの中等度増加が近年の大規模研究により明確に提示された。一方, 腫瘍リスクは, 罹患部位により異なる可能性のあることが指摘されている。今回, 大腸腫瘍リスク上昇に関連するH. pylori感染/H. pylori感染胃炎の腫瘍部位への影響について明らかにすることを目的とした。全大腸内視鏡検査が施行され, 大腸腫瘍に初回内視鏡治療が施行された275例を対象とした。腫瘍部位別に遠位・両側・近位に分類し, H. pylori感染/H. pylori感染胃炎の罹患と大腸腫瘍部位との関連について検討した。遠位に比し近位腺腫ではH. pylori感染/H. pylori感染胃炎の罹患が有意に高率であった。H. pylori感染/H. pylori感染胃炎の罹患は近位大腸腺腫により強く関連することが示された。
  • 井上 泉, 加藤 順, 渡辺 実香, 前北 隆雄, 井口 幹崇, 岡 政志, 一瀬 雅夫
    2017 年 55 巻 6 号 p. 1061-1066
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/13
    ジャーナル フリー
    大腸腫瘍リスクと, メタボリック症候群関連因子との関連に関しての報告は一致した見解をえていない。一方, 複数のメタボリック症候群関連因子の併存が, 大腸腫瘍リスク上昇に関与することが近年指摘されている。今回, メタボリック症候群関連因子の併存と大腸腺腫リスクとの関連についてpopulation-based症例対照研究に基づいて検証することを目的とした。初回全大腸内視鏡検査を含む職域健診を受診した無症候中年男性を対象とした。239人腺腫患者と年齢のマッチした239人対照が選択され, メタボリック症候群関連因子の数と大腸腺腫リスクとの関連が評価された。3個以上のメタボリック症候群関連因子の併存は, 有意に腺腫リスクを上昇させることが示された。
    メタボリック症候群関連因子の集積は, 大腸腫瘍リスク上昇に関連し, 大腸内視鏡サーベイランスの必要な大腸腫瘍高リスク群の選定に有用である可能性のあることが示唆された。
  • 千葉 祐子
    2017 年 55 巻 6 号 p. 1067-1072
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/13
    ジャーナル フリー
    当協会では2014年から「腹部超音波検診判定マニュアル」を使用しているが, 一部の所見については判定区分が一致しない項目がある。
    2014年度と2015年度の精密検査対象者1,267名において, 当協会で初回指摘時精密検査としている軽度腎盂拡張・腎血管筋脂肪腫・径20mm以上肝血管腫について精検結果を調査した。軽度腎盂拡張では医療機関での経過観察が必要になった例が26.7%含まれ, 臨床的意義を再考する必要性が示唆された。腎血管筋脂肪腫の精検結果からは1例の腎細胞癌が発生し, 超音波所見の捉え方の検討が必要になった。径20mm以上の肝血管腫での精密検査は25件あり, 結果返却された20件中19件が肝血管腫, 1件は肝のう胞であった。肝血管腫の特徴所見の確実な拾い上げにより, 不要な精密検査を回避できる結果となった。
    2014年度集計でカテゴリーを調査した結果, 肝臓のカテゴリー4の精検結果のうち72.2%に肝血管腫が含まれた。肝血管腫の特徴所見を明瞭に捉える走査技術の向上が示唆された。
経験
  • 石田 理, 笠野 哲夫, 齋藤 洋子, 皆川 京子, 上甲 宏, 神長 憲宏, 仁平 武, 富田 慎二, 松本 尚志
    2017 年 55 巻 6 号 p. 1073-1083
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/13
    ジャーナル フリー
    2016年2月に厚生労働省が内視鏡を検診として正式に承認したことで, 行政・医師会・医療機関の体制作りが必須となった。水戸市では2011年から水戸市医師会会員の協力のもと内視鏡検診を実施している。水戸市では, 厚生労働省が指針を発表した後の2016年度からは, 指針を基準にしながら内視鏡検診対象者は年度年齢51歳以上で隔年検診とし, 従来胃がん検診の対象であった40-50歳には水戸市独自の方法としてリスク層別化検査単独を実施している。内視鏡検診参加条件のルールを策定し, 全検診例のダブルチェックを実施し, 年度ごとに検診医療機関に検診成績のフィードバックを行っている。内視鏡検診が開始されたことで胃がん個別検診受診者総数は増加した。2011-2015年度の5年間で, 発見癌はエックス線検査からは受診者総数7,064件中9例に対し, 内視鏡検診からは12,354件中84例であった。
症例報告
  • 阿部 寿徳, 相馬 渉, 武原 真一, 橋永 正彦, 脇坂 昌紀, 有田 毅
    2017 年 55 巻 6 号 p. 1084-1088
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/13
    ジャーナル フリー
    膵脂肪腫は稀と言われている。また近年の画像診断の発達に伴い膵腫瘤を発見する機会が増加している。今回我々は, 定期健診の腹部超音波検査にて発見された膵脂肪腫の1例を経験したので報告する。症例は60歳代女性。定期健診の腹部超音波検査にて膵尾部に2.6cm×1.1cm大の比較的境界明瞭で内部均一な高エコー腫瘤を指摘。カラードプラでは腫瘤内部に血流は認めず, 主膵管の拡張も認めなかった。背景膵は頭部から尾部まで比較的境界明瞭に描出され肝臓と等エコーであった。追加精査のCT検査では, 膵尾部に境界明瞭で内部均一な低吸収域を認め, 腫瘤内部のCT値は脂肪濃度を呈していた。MRI検査では, T2WI画像にて膵尾部に境界明瞭な高信号を呈し, T2WI FatSAT画像で脂肪抑制を認めた。T1WI in phase画像では高信号を呈しopposed phase画像では腫瘤の輪郭が主に抑制された。以上より膵脂肪腫と診断し, 厳重に経過観察の方針とした。膵疾患の手術侵襲は大きなものであり, 複数の画像診断を駆使して本疾患を診断し, 不必要な外科的侵襲を回避できることは非常に有用であると考える。
  • 田邉 基子, 松本 俊郎, 亀井 律孝, 山田 康成, 森 宣, 前田 徹, 岡本 啓太郎, 竹林 聡, 宮本 伸二
    2017 年 55 巻 6 号 p. 1089-1094
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/12/13
    ジャーナル フリー
    Intracaval liverは発生段階での肝細胞の迷入が原因とされる稀な正常変異である。今回我々は腹部超音波検診を契機に発見されたintracaval liverの1例を経験したので報告する。
    症例は76歳の女性で, 腹部超音波検診で肝左葉内側区域から下大静脈側へ突出するような表面不整な1.4cm大の肝実質と等エコーの腫瘤像を指摘され, 当院に紹介となった。心不全や下腿浮腫などの症状はなかった。CT上, 肝左葉内側区と連続し, 肝部下大静脈から右房内に突出する軟部組織濃度腫瘤像を認めた。辺縁は平滑・境界明瞭であり, 周囲への浸潤傾向は見られなかった。MRI上, 同腫瘤像はT1・T2強調像とも肝実質と等信号を呈した。以上の所見より, 正常肝実質の下大静脈への突出を疑い, 精査目的でCT angioportography(CTAP)が施行された。CTAPでは同腫瘤像は肝実質と同等の造影効果を呈し, 内部を正常な肝内門脈枝が走行することから, intracaval liverの診断が得られた。
地方会抄録
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