便潜血検査免疫法を用いた大腸がん検診の経験をもとに適正な要精検率に関する検討を行った。1)定性法(359,459名)と2種類の定量法(マグストリーム:296,354名, ヘモテクト:180,630名)の成績を比較した。2つの定量法のカットオフ値を操作して, 定性法の陽性率と同等にすると, がん発見率も同等になると算出された。すなわち, 検査キットが異なっていても, 要精検率が同等になるようにカットオフ値を設定することで, 同様の検診結果が得られる可能性がある。2)有効性が示唆された定性法の検診成績に基づき, 我々は要精検率3.9%, がん発見率0.27%を精度管理上の基準としてきた。要精検率を高くすることで, 当該年度の検診において, より早期に発見できる癌を増やせる可能性はあるが, 設定条件によってその効果や効率はかなり変動する。現時点では, 適正な要精検率は従来通り4%程度と考えるが, 5~6%の妥当性は今後も引き続き検討することが望まれる。
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