若年者116名(18~29歳, 平均21.4歳)を対象とし, 尿素呼気試験(UBT)を基準としてImmunochromatographic assay(ICA)による尿中
Helicobacter pylori(
H.pylori)抗体の精度について前向きに検討した結果は, 感度92.9%, 特異度96.1%, 一致率95.7%であった。また, 医療系専門学校生77名(男性51名, 女性26名, 18~36歳, 平均20.8歳, 中央年齢19歳)を対象として, Enzyme-linked immunosorbent Assay(ELISA)とICAの二つの方法で尿中
H.pylori抗体検査を実施し, 同じ日に行ったUBT, 血清
H.pylori抗体と比較検討した。ELISAのUBTに対する感度は100%, 特異度は92.5%, 血清
H.pylori抗体に対する感度は100%, 特異度は93.9%であった。一方, ICAのUBTに対する感度は80.0%, 特異度は94.0%, 血清
H.pylori抗体に対する感度は81.8%, 特異度は95.5%であった。ELISAとICAの両法ともに偽陽性があり, 陽性反応的中率は75%程度とあまり高くなかった。一方, 偽陰性についてはELISAでは0名, ICAでは2名であった。以上より, 尿中
H.pylori抗体は偽陽性が少なくないことを理解して使用すべきであり, ICAにおいては偽陰性にも注意が必要と考えられた。
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