日本消化器がん検診学会雑誌
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55 巻 , 4 号
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巻頭言
会長講演
  • 野崎 良一
    2017 年 55 巻 4 号 p. 523-536
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    当施設は便潜血検査(FOBT)とシグモイドスコピー(FS)併用による大腸がん検診を全国に先駆けて1983年から地域集団ベースで実施してきた。1988年からは他には類をみない内視鏡検査一式を搭載した大腸がん検診車による巡回FS検診を実施した。1992年からは便潜血検査免疫法(FIT)2日法, FSには細径電子内視鏡を使用した。1983年から2014年までの32年間に実施した検診受診者総数は, FOBT1,952,565人で, そのうちFSは319,418人であった。これまでに大腸がん3,551例(粘膜内がん1,705例, 浸潤がん1,846例)を発見した。検診データに基づいてFOBTとFS併用検診の意義について論じた。1)FIT2日法にFSを併用することで約2倍の大腸がん発見が期待された。特に初回受診ではがん発見率が高く, 併用効果は大きかった。2)浸潤がんの結果で感度91%, 特異度83%であった。感度では, FIT2日法とFS併用はFS単独よりも約20%, FIT2日法よりも約10%の上乗せ効果があることが推定された。3)地域集団をベースとした症例対照研究の結果からFOBTとFS併用検診の有効性すなわち大腸がん死亡リスク減少効果が示唆された。特に下部大腸がん死亡リスクの減少が大きかった。費用効果, マンパワー不足, 偶発症などの課題はあるが対策型検診にFS検診を導入する意義は大きいと考える。
原著
  • 中島 明久, 鎌田 智有, 小橋 泰之, 板野 晃子, 土本 明葉, 木村 貴之, 黒瀬 昭良, 木科 雅也, 門内 弘英, 山神 涼一, ...
    2017 年 55 巻 4 号 p. 537-546
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    2015年に国立がん研究センターから公表された「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」1)では, 対象年齢は50歳以上に引き上げられた。一方, H. pylori感染胃炎による胃がんリスクからみた検診の重要性の指摘が近年増加している。
    今回, 我々は平成23~25年度実施した対策型胃がん検診の自験症例41,952名を対象に, X線像から背景胃粘膜を「正常」, 「過形成性胃炎」, 「萎縮性胃炎」の3群に分類し, その頻度と胃がん発見率, および胃がん組織型を年代別に検討した。過形成性胃炎の頻度は1~2%で年代別では明らかな差は認められず, 40歳代の頻度は1.0%でがん発見率は3.7%であった。萎縮性胃炎の頻度は加齢とともに上昇し40歳代で16.3%, 胃がん発見率は0.23%であった。40歳代での胃X線検診の必要性は背景胃粘膜診断から無視できないものと考える。
  • 権頭 健太, 高橋 悠, 山道 信毅, 柿本 光, 和田 亮一, 光島 徹
    2017 年 55 巻 4 号 p. 547-554
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    胃癌の最大のリスク因子とされているHelicobacter pyloriの感染診断には血清抗H. pylori抗体検査が広く用いられている。Eプレート‘栄研’H.ピロリ抗体II(以下E-plate), H.ピロリ-ラテックス「生研」(以下Denka Ltx), H.ピロリIgG「生研」(以下Denka EIA)の3種類の抗体検査試薬の診断精度を検証する目的で, 単一医療機関の人間ドック受診者において上部内視鏡検査及び胃X線検査によるH. pylori感染診断との比較解析を行った。
    902人の解析対象においてH. pylori感染診断の感度は, 内視鏡検査を基準とするとE-plateの83.3%に対して, Denka Ltx, Denka EIAは87.6%(P=0.0076), 86.8%(P=0.0126)と有意に高く, また内視鏡及び胃X線検査を基準とするとE-plateの89.5%に対して, Denka Ltx, Denka EIAは93.7%(P=0.0124), 92.8%(P=0.0209)と有意に高く, Denka Ltx, Denka EIAのH. pylori感染診断における有用性が示唆された。
症例報告
  • 阿部 寿徳, 相馬 渉, 武原 真一, 橋永 正彦, 脇坂 昌紀, 有田 毅
    2017 年 55 巻 4 号 p. 555-559
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    症例1は60歳代男性, 定期健診目的(ドック)に来院し, 大腸内視鏡検査施行。下行結腸口側に粘膜下腫瘍様に盛り上がった浮腫状粘膜がみられ, その中心部にアニサキス様の虫体を認め, アニサキスによる変化と考えた。
    症例2は70歳代男性, 定期健診目的に来院し, 大腸内視鏡検査施行。症例1と同様に下行結腸中部に粘膜下腫瘍様に盛り上がった浮腫状粘膜がみられ, 同部位にアニサキス様虫体を認めた。いずれも内視鏡的に摘除した。2例とも数日前に生魚を摂取しており, また自覚症状は認めなかった。我々は無症候性アニサキスに対して内視鏡的に摘除を施行した2例を経験したので報告した。
  • 河端 秀明, 猪上 尚徳, 川勝 雪乃, 岡崎 裕二, 人見 美鈴, 本井 重博, 南川 哲寛, 萬代 晃一朗, 宇野 耕治
    2017 年 55 巻 4 号 p. 560-565
    発行日: 2017年
    公開日: 2017/07/27
    ジャーナル フリー
    70歳代, 女性。既往歴, 家族歴に特記すべきことなし。自覚症状はなく, 2016年1月の人間ドックのUSで膵頭部に26×15mmの主膵管の途絶を伴う低エコー腫瘤像を指摘された。血液生化学検査は, 膵酵素, 腫瘍マーカーを含め異常を認めなかった。腹部造影CTでは同部に径15mm大の造影効果の乏しい低濃度腫瘤を認め, 尾側膵管の拡張, 膵実質の萎縮を伴っていた。EUSでは低エコー腫瘤として描出され, 同部からの穿刺吸引生検(FNA)で腺癌と診断された。画像上大血管への浸潤や遠隔転移を認めず, 膵頭十二指腸切除術を施行した。切除標本で膵頭部内に最大径16mm大の白色調の充実性結節を認め, 組織学的に浸潤性膵管癌の所見であった。郭清リンパ節に転移を認めず, pT1, pN0, M0, StageIA(UICC-TNM)と診断した。術後10ヶ月再発なく経過している。検診のUSが膵管癌の早期診断に寄与した貴重な症例と考え, 報告する。
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