【目的】内視鏡検査の際に食道胃接合部の観察が困難となる因子について検討した。
【方法】上部消化管内視鏡を行った検診・ドック受診者692名を対象とした。食道胃接合部を全周性に視認可能な観察容易群(E群), 全周性に視認不可能な観察困難群(D群)とした。鎮静剤はミダゾラムを使用した。2群の年齢, 性別, 身長, 体重, BMI, 心肺並存疾患, 胃潰瘍, 鎮静, 食道裂孔ヘルニアの有無について調べた。
【結果】対象者の内訳はE群575例(83.1%), D群117例(16.9%)であった。鎮静剤使用例はE群348例(60.5%), D群96例(82.1%), 食道裂孔ヘルニアのない症例はE群299例(52.0%), D群83例(70.9%)であった。ミダゾラムによる鎮静と食道裂孔ヘルニアがないことが食道胃接合部の観察を困難にする因子であった(それぞれ
p値<0.001)。それ以外の因子は2群間で差はなかった。
【結論】上部消化管内視鏡においてミダゾラムによる鎮静を行うことと食道裂孔ヘルニアのないことは食道胃接合部の観察を困難にする因子であった。
抄録全体を表示