【背景】Non-alcholic fatty liver disease(NAFLD)を含む脂肪肝において,肝線維化進展は予後にかかわる重要な因子である。人間ドック症例で腹部超音波を行った症例の肝線維化進展例についての検討を行った。
【対象および方法】2018年1月から12月までに人間ドックで腹部超音波検査を施行した1,141症例に対して,肝線維化進展群をFIB-4 index(ALT,AST,血小板,年齢から肝線維化高リスク群を算出,<1.3,1.3-2.66,≧2.67)を用いて検討を行い,それにかかわる因子とALT値との関連につき検討した。
【結果】高リスク群は42例(3.7%)に認められ,その因子として男性,脂肪肝あり,HbA1c≧6.5%,高血圧などの生活習慣病の因子があげられた。また,高リスク群とALT値に関連はなく,ハイリスク群の26.2%がALT51 IU/L未満であり,血小板10万未満の症例は認めておらず,検診では異常を指摘されない可能性が示唆された。
【結語】肝線維化進展例を拾い上げるためには,ALT値では不十分であり,FIB-4 indexなどの簡便な非侵襲的な線維化の診断を検診にとりいれる必要があると思われた。
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