【目的】腹部超音波検診判定マニュアル改訂版(2021年)により脂肪肝(カテゴリー2判定区分C;以下2C)と判定される症例と慢性肝障害疑い(カテゴリー3判定区分C;以下3C)と判定される症例との違いを検討し, 超音波検診での脂肪肝の事後指導をどのようにすべきか検討した。
【対象と方法】2021年4月から2022年3月に当施設の腹部超音波検査で脂肪肝と診断された1,186名の動画像を遡及的に見直し, 改訂版マニュアルにより脂肪肝(2C)群と慢性肝障害疑い(3C)群に分類し, 両群間の血液検査や肝の線維化, 肥満度, 飲酒量, 糖尿病の治療の有無を比較した。
【結果】脂肪肝(2C)の判定が1,027例, 慢性肝障害疑い(3C)が159例であった。慢性肝障害疑い(3C)群で体脂肪率, BMI, AST, ALT, γ-GT, 中性脂肪, 空腹時血糖が有意に高値を示した。FIB-4indexに有意差はなかった。その後, 肝細胞がんが2例発生したが, 1例は脂肪肝(2C)の判定でありAST, ALTは高値だった。
【結語】脂肪肝においては超音波検査所見のみならず, 血液検査の結果も考慮して事後指導を実施することが重要である。
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