日本消化器がん検診学会雑誌
Online ISSN : 2185-1190
Print ISSN : 1880-7666
ISSN-L : 1880-7666
最新号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
巻頭言
大会長 報告
総説
  • 森 秀明
    2025 年 63 巻 1 号 p. 4-14
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/15
    [早期公開] 公開日: 2024/11/20
    ジャーナル 認証あり

    腹部超音波検査は非侵襲的な検査であり, 胆囊疾患をはじめとする腹部領域の検査では第一選択となる画像検査法として位置付けられている。胆囊疾患において鮮明な超音波画像を描出するためには, 胆囊と周囲臓器の解剖の理解, アーチファクトに対する理解, 超音波診断装置を適切な設定条件にすること, 描出しにくい場合の対処法が必要である。また適切な診断を下すためには, 代表的な胆囊疾患の超音波所見を熟知する必要がある。胆囊疾患の診断を行う上でポイントとなる, ①胆囊の形態異常, ②大きさの異常, ③壁肥厚, ④点状高エコー・ストロングエコー, ⑤隆起あるいは腫瘤像について解説する。

原著
  • 見本 雄一郎, 小澤 俊一郎, 深澤 光晴, 佐藤 公
    2025 年 63 巻 1 号 p. 15-25
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/15
    [早期公開] 公開日: 2024/12/24
    ジャーナル 認証あり

    【目的】除菌後胃癌検出に関わる検査特性を明らかにする。

    【対象と方法】2020年7月~2022年1月に行った検診内視鏡22,978例中, 期間中に除菌後胃癌を検出した内視鏡医9名と検出しなかった内視鏡医7名各々が検査した未感染25例, 除菌後25例の内視鏡画像をランダムに抽出した。前者を検出群(未感染225例, 除菌後225例), 後者を非検出群(未感染175例, 除菌後175例)と定義した。術後胃症例, 色素散布症例, 生検症例は除外した。京都分類胃癌リスクスコア, 胃内観察時間, UM領域観察時間, L領域観察時間, L領域でのNBI使用率, 撮影箇所を評価した。

    【結果】除菌後症例において検出群で体下部後壁の撮影率が有意に高かった。検出群のみ未感染症例より除菌後症例で胃内観察時間, UM領域観察時間, L領域観察時間, NBI使用率が有意に増加した。非検出群では京都分類胃癌リスクスコア2点以上の症例で胃内観察時間, UM領域観察時間が有意に増加したのに加え, 検出群ではL領域観察時間, NBI使用率も有意に増加した。

    【結語】萎縮, 腸上皮化生を伴う領域においてNBIを併用した慎重な観察は除菌後胃癌検出に寄与する。

  • 神谷 亮一, 村上 晶彦, 中居 賢司, 石澤 政子, 石田 由貴, 菅原 将人, 齊藤 裕美, 角掛 篤子, 永井 謙一, 狩野 敦
    2025 年 63 巻 1 号 p. 26-39
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/15
    [早期公開] 公開日: 2024/11/26
    ジャーナル 認証あり

    【目的】本研究は岩手県の検診発見大腸がん症例における臨床および病理学的特徴を確認し, その意義を検証した。

    【対象と方法】2011年から2020年までに当施設と関連施設で大腸がん検診を受診し, Total colonoscopyで大腸がんと診断された症例で記録が完備した1,900例について, I)背景因子3項目:受診歴, 性別, 年齢, II)がんの特徴3項目:部位, 腫瘍径, 深達度(早期がんのみ)に関して早期がんと進行がん数と割合につき調査した。さらに早期がんについては, 0-I型と0-II型の数と割合も調査した。

    【結果】1)がんの総数は, 70歳から74歳までの年齢で男女ともに272例, 159例と最多であった。2)進行がんは初検査, 女性, 高齢者, 右側結腸, 腫瘍径21mm以上の全ての項目で統計学的に有意差を示した。3)0-II型の割合は高齢者, 右側結腸, 腫瘍径11mm以上, SMの項目で統計学的に有意差を認めた。

    【結論】大腸がん検診の推奨とする対象に女性と70歳から74歳の高齢者を積極的に取り込むことが重要である。

  • 満崎 克彦, 村岡 正武, 福永 久美, 野村 美緒子, 宮崎 勇次
    2025 年 63 巻 1 号 p. 40-48
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/15
    [早期公開] 公開日: 2024/11/19
    ジャーナル 認証あり

    【目的】人間ドック受診者を対象としたAI(artificial intelligence;AI)大腸内視鏡による大腸腫瘍(腺腫・癌)の検出能を後ろ向きに検証し, AI大腸内視鏡の有用性を検討した。

    【対象および方法】対象は2021年11月~2022年11月まで, 人間ドックにてスクリーニング目的で行われた全大腸内視鏡検査初回受診者365名を対象とした。AI大腸内視鏡の使用群AI(+)と未使用群(AI(-)に分け, 両群間における観察時間および大腸腺腫発見率(ADR:adenoma detection rate)を比較した。独立変数を年齢(60歳以上/60歳未満), 性別, AIの有無, 観察時間とし, 従属変数を腫瘍発見の有無としてロジスティック回帰分析を行った。

    【結果】対象者はAI(+)に男性がやや多く, 平均年齢に差は認めなかった。AI(+)のADRは44.0%(131/298), AI(-)のADRは37.3%(25/67)であり有意差は認めなかった。ロジスティック回帰分析では60歳以上, 観察時間9分以上で腫瘍発見のオッズ比が有意に高かった(オッズ比[95%信頼区間]=2.24[1.220-4.120], 3.98[2.540-6.240])。

    【結語】AI大腸内視鏡の使用で観察時間の延長はなかった。熟練内視鏡医において, AI大腸内視鏡によるADRの上乗せ効果はあるものの有意な向上は認めなかった。

編集後記/奥付
feedback
Top