日本消化器がん検診学会雑誌
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最新号
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巻頭言
会長講演
  • 藤谷 幹浩
    2026 年64 巻2 号 p. 122-129
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル 認証あり

    大腸がんは罹患率・死亡率ともに高い悪性腫瘍であり, 対策型検診による早期発見・早期治療は公衆衛生上きわめて重要である。近年, 欧米を中心に, ランダム化比較試験(RCT)やメタアナリシスの集積から, 便潜血検査免疫法(fecal immunochemical test:FIT)を継続的に実施し, 検診から精密検査, 治療までを一体的に管理するプログラム型検診が, 大腸がん死亡率低下に有効であることが明確に示され, 精度管理を重視した組織型検診の整備が進むとともに, 検診開始年齢の引き下げなど, 制度の最適化が図られている。日本では, FITを基盤とした全国一律の大腸がん検診制度が確立され, 一定の成果を上げているが, 自治体間格差, 精密検査受診率のばらつき, 若年発症大腸がんへの対応などの課題も指摘されている。今後は, 体液中DNA・RNA診断や腸内細菌叢・メタボローム解析といった新規技術を既存の検診システムに補完的に組み込み, リスク層別化や検診効率の向上を図ることが重要である。

総説
  • 関口 正宇, 松田 尚久
    2025 年64 巻2 号 p. 130-141
    発行日: 2025年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル 認証あり

    本邦では1992年に免疫便潜血検査による対策型大腸がん検診が導入されたものの, 大腸癌死亡数・罹患数はいまだに多く, 大腸がん検診には多くの課題が残されている。特に, 組織型検診を目指すうえで, 国レベルでのデータ管理の整備は喫緊の課題である。本邦における大腸がん検診向上を考えるに際して, 本邦の研究結果, データに基づいた議論が不可欠である。そこで, 本稿では, 本邦の研究結果を踏まえ, 大腸がん検診における適切な検診モダリティーについて議論した。免疫便潜血検査による検診は, 非侵襲的で有効な検診法だが, その診断精度や中間期癌のデータから, 特に右側大腸腫瘍の検出に限界を有することが示唆される。このような免疫便潜血検査の限界を補うため, 全大腸内視鏡検査のさらなる活用について議論の余地がある。スクリーニング全大腸内視鏡検査による検診は高い有効性と医療経済性が期待されるものの, 受容性や質の担保などの課題がある。今後, リスク層別検診を含め, 免疫便潜血検査と全大腸内視鏡検査を適切に組み合わせた検診法の確立が望まれる。

  • 芹川 正浩, 石井 康隆, 岡 志郎
    2026 年64 巻2 号 p. 142-151
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル 認証あり

    浸潤性膵管癌(いわゆる膵癌)の予後は極めて不良であり, 膵癌は最も難治性の癌種としてよく知られている。一方で, 近年小さい腫瘍径の段階で診断できると飛躍的に予後が改善することが報告され, 膵癌の予後改善には早期診断が必要不可欠であることが示された。すなわち早期の段階で膵癌をいかにして拾い上げ, 診断に必要な検査を過不足なく施行し, そして治療に結び付けることができるかが今後の大きな課題となる。このたび2023年1月より広島県全域において, 膵癌早期診断(Hi-PEACE)プロジェクトを開始する運びとなった。本プロジェクトの趣旨は, ①症状にとらわれず, 膵癌の危険因子と画像による間接所見から早期の膵癌を拾い上げること, ②県全域の二次医療圏毎に, かかりつけ医と地域中核病院を結ぶ円滑な医療提供体制を構築することである。こうした県全域の取り組みにより, 膵癌をより早期に診断し, 膵癌の予後の飛躍的改善や新たな膵癌早期診断マーカーの確立につながっていくことが期待される。

原著
  • 若杉 聡, 鳥海 修, 古賀 祥子
    2026 年64 巻2 号 p. 152-164
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル 認証あり

    【目的】検診でハイリスクNAFLDを効率的に拾い上げるために, FIB-3 indexの有用性を検討した。

    【対象と方法】2021年4月1日~2022年3月31日に当院人間ドックを受診した2,704例中NAFLDと診断された791例を腹部超音波検診判定マニュアル1)で評価し, さらにFIB-4 index, FIB-3 indexの要精検率を比較した。Shear wave elastography(SWE)を行った症例では, SWEとFIB-4 indexおよびFIB-3 indexの結果を対比した。

    【結果】791例中, 腹部超音波検診判定マニュアルで脂肪肝+慢性肝障害のカテゴリー4, D2判定は認めなかった。要精検であるFIB-4 indexで中リスク以上は215例(全検診例の8.0%), FIB-3 indexでF3, F4相当例は13例(全検診例の0.5%)であった。SWEと対比するとFIB-4 indexは偽陽性率が高く, FIB-3 indexは偽陰性率が高い傾向であった。

    【結語】検診でハイリスクNAFLD症例を効率的に拾い上げるのにFIB-3 indexは有用である。

調査報告
  • 武藤 桃太郎, 栁川 伸幸
    2026 年64 巻2 号 p. 165-170
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル 認証あり

    【目的】検診の胃X線検査で, 胃粘膜下腫瘍と指摘された病変の詳細を明らかにする。

    【対象と方法】2015年4月から2023年8月に, 当院の任意型胃X線検診を受けた延べ23,894人のうち, 胃粘膜下腫瘍と指摘された92病変を対象とした。病変部位別での腫瘍径や描出時の撮影法(二重造影法か薄層法), 最終診断について後方視的に検討した。

    【結果】病変部位はU領域53病変, M領域21病変, L領域18病変であった。全体の平均腫瘍径は15.6±12.4mmで, U, M, L領域の病変部位別で有意差は認めなかった。描出時の撮影法は, U領域とL領域では二重造影法による描出が多く, M領域では薄層法による描出が多かった。精検内視鏡検査にいたった53病変のうち, 実際に粘膜下腫瘍であったのは25病変であった。その他に腺腫1病変, 早期癌1病変が含まれていた。

    【結語】検診胃X線検査の胃粘膜下腫瘍の描出はM領域で薄層法が有用であった。上皮性腫瘍も含まれており, 疾患は多岐にわたっていた。

  • 岡村 陽子, 鈴木 康元
    2026 年64 巻2 号 p. 171-176
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル 認証あり

    【背景】我が国の大腸がん死亡数は増加の一途にあるが, その原因の一つに大腸がん検診の受診率や精検受診率が低いことが挙げられている。一方, 大腸がん死亡数が減少傾向にあるアメリカでは, 大腸がん検診に便潜血検査だけでなく全大腸内視鏡検査(以下TCS)や大腸CT検査(以下大腸CT)を加えたShared Decision Making(患者と医療者による意思決定共有, 以下SDM)が実施されている。そこで今回, 我が国でもSDMによる大腸がん検診が実施できないかをTCSと大腸CTの処理能力の面から検討した。

    【対象と方法】TCS実施数と大腸CTが可能な16列以上のマルチスライス機器で実施された腹部CT検査数から, TCSまたは大腸CTによる50歳時の節目大腸がん検診の実施可能性について検討した。

    【結果】SDMによる節目大腸がん検診はTCSのみでは対応困難だが, 処理能力に余裕のある大腸CTを加えれば実施可能である。

    【結語】TCSと大腸CTを選択肢としたSDMによる節目大腸がん検診は実施可能で, 実現すれば大腸がん死亡数の減少に繋がるものと期待される。

  • 八島 一夫, 浜本 哲郎, 謝花 典子, 岡田 克夫, 磯本 一
    2026 年64 巻2 号 p. 177-189
    発行日: 2026年
    公開日: 2026/03/16
    ジャーナル 認証あり

    【目的】本研究は, 鳥取県における最近18年間の大腸がん検診実績の年次推移を分析し, その現状と課題を明らかにすることを目的とした。

    【対象と方法】県のがん検診実績報告書(2004~2021年度)に基づき, 対象は40歳以上で, 受診率, 要精検率, 精検受診率, 精密検査結果を調査した。

    【結果】受診率は約30%で推移し, 大きな変化は認められなかった。要精検率は8%前後であった。精検受診率は67.9%から76.4%へと上昇したが(p<0.00001), 国の目標(90%)には届かなかった。大腸がん発見率および早期がん割合には大きな変動はなく, 精密検査による大腸がん検出割合にも変化は見られなかったが, 大腸腺腫検出割合は26.7%から46.3%へと有意に増加した(p<0.00001)。

    【結語】長年, 大腸がん検診の受診率は横ばいであり, 精検受診率も十分な改善には至っていない。今後は, 効率的な内視鏡検診の導入など, 新たな対策の検討が求められる。

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