日本消化器がん検診学会雑誌
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最新号
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巻頭言
総会長報告
会長講演
  • 齋藤 洋子
    2019 年 57 巻 5 号 p. 659-674
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/02
    ジャーナル 認証あり

    対策型がん検診は対象疾患の死亡率減少効果が求められる公益性のある予防対策として実施される。

    茨城県の消化器がん検診成績から, X線検査による胃がん検診は精度管理への取組みにより成績向上が認められた。便潜血検査(FIT)による大腸がん検診は胃がん検診よりも癌発見率, 陽性反応適中度で成績は良好であったが, 全国の大腸癌粗死亡数は増加していた。

    水戸市は, 2011年から胃がんリスク層別化検査(ABC法)を併用した個別胃内視鏡検診を開始した。2016年からは厚生労働省指針に基づき, 対象は51歳以上・1回/2年, X線と内視鏡を選択し実施し, 40-50歳はABC法を実施している。検診や外来診療での内視鏡検査を通じ, 癌発見と胃癌一次予防が期待される除菌治療に繋げている。

    簡便な方法によるハイリスク者の集約と, 正しい精密検査を高い受診率のもとで行うことが, 死亡率減少効果を目指した効率の良い検診になると考えている。

原著
  • 中島 明久, 鎌田 智有, 髙倉 友里, 板野 晃子, 土本 明葉, 木村 貴之, 黒瀬 昭良, 木科 雅也, 門内 弘英, 山神 涼一, ...
    2019 年 57 巻 5 号 p. 675-686
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/02
    ジャーナル 認証あり

    平成23~25年度に当施設で実施した対策型胃がんX線検診受診者41,952名を対象に過形成性胃炎に注目し, その頻度と胃がん発見率, 早期がん率, 組織型から過形成性胃炎のカテゴリー区分について検討した。過形成性胃炎の頻度は性別では男性が若干高く, 年齢に関わらず約1~2%であった。X線所見が過形成性胃炎のみの群の胃がん発見率は1.03%, 早期がん率83.3%であった。

    発見された胃がん73例中組織型が把握できたものは25例であった。25例中, 過形成性胃炎を有する9例のうち7例は未分化型であった。

    胃がんX線検診では, 局所所見だけではなく背景胃粘膜診断から高リスクと考えられる群へも要精密検査の適応拡大を行って胃がん発見率を向上させることが重要であり, 未分化型胃がんの高リスク群でもある過形成性胃炎はカテゴリー3bとすることが望ましいと考える。

  • 重松 綾, 中島 寛隆, 八巻 悟郎
    2019 年 57 巻 5 号 p. 687-694
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/02
    ジャーナル 認証あり

    目的:胃癌の危険因子であるHelicobacter pylori(以下H.pylori)感染胃炎は, 血清抗体などによる診断だけでなく, 胃X線二重造影像での画像診断も確立されている。X線画像による診断は, 粘膜像の異常やヒダの腫大といった所見からH.pylori現感染と未感染を鑑別する方法である。一方で近年は, 機械学習の進歩を背景として, 医療用画像にDeep Learningを導入する研究が報告されている。Deep Learningは脳の神経細胞を模倣した機械学習法で, 画像認識や音声認識に優れている。本研究の目的は, Deep Learningを用いてX線画像によるH.pylori感染診断を自動化することである。

    方法:胃X線検査と血清H.pylori抗体検査を同日に実施した100名を登録した。H.pylori感染のゴールドスタンダードは血清抗体値とした。抗体値3U/ml未満をH.pylori陰性(50名), 10U/ml以上をH.pylori陽性(50名)とした。登録した100名のうち70名(H.pylori陽性35名)の画像を「学習用群」, 30名(H.pylori陽性15名)の画像を「テスト群」とし, それぞれをDeep Learningの学習と診断能の評価に使用した。各群のH.pylori陽性者と陰性者は同数である。Deep LearningのモデルはALEXNETを使用した。診断精度の評価は受信者動作特性曲線(Receiver operating characteristic curve 以下ROC曲線)を用いた。

    結果:ROC曲線から感度86.7%, 特異度91.7%の診断結果が得られ, Area under the curve(以下AUC)は0.921であった。

    考察:結果からDeep Learningを用いた胃X線画像によるH.pylori感染診断は可能であると考えられ, X線画像による客観的な胃がんリスク判定と, 局所診断の読影補助に有用となることが示唆された。

  • 安田 貴明, 永田 浩一, 高林 健, 平山 眞章, 遠藤 俊吾, 野崎 良一, 金澤 英紀, 藤原 正則, 清水 徳人, 岩月 建磨, 岩 ...
    2019 年 57 巻 5 号 p. 695-703
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/02
    ジャーナル 認証あり

    大腸CT検査に関する実態全国調査で未公表となっていた撮影方法について, 集計・解析を行った。今回の調査は大腸CT検査を実施していることを公表している施設や消化管先進画像診断研究会に参加した742施設へのアンケート調査を行い, 489施設(66%)から回答が得られた。489施設中431施設(88%)で大腸CT検査が試行されていた。大腸CT検査を施行する際に408施設(95%)で2体位による撮影が行われ, 管電流を体格に合わせ調整する被ばく低減目的の自動露出機構は387施設(90%)で使用されていた。また,(超)低線量撮影に伴って増加する画像のノイズを低減し, 画質を担保する目的で使用される逐次近似(応用)再構成法は246施設(57%)で実施されていた。大腸CT検査の標準化が求められている現状において, 本邦における大腸CT検査の撮影方法の実施状況を明らかにした。この調査により, 適切な低線量化が必ずしも図られていないなどの重要な課題が明らかとなった。

経験
  • 大澤 武, 木村 成里
    2019 年 57 巻 5 号 p. 704-713
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/02
    ジャーナル 認証あり

    当院で診断・治療した胃底腺型胃癌8例, 胃底腺粘膜型胃癌1例の9症例, 9病変(同時期の全胃癌の4.0%)の臨床病理学的特徴を検討した。8例にESDを施行し, 1例は経過観察とした。平均年齢58.0歳, 男女比5:4。H.pylori感染は現感染2例, 未感染7例。存在部位はU領域7例, M領域2例。肉眼型は0-I型1例, 0-IIa型5例, 0-IIb型1例, 0-IIc型1例, 0-IIa+IIc型1例。色調は正色調1例, 褪色調8例。表層血管拡張は陽性6例。平均腫瘍径は4.8mm。深達度は, T1a 3例, T1b1 4例, T1b2 1例, 不明(未治療)1例。治療例すべてで脈管侵襲なし。逐年内視鏡検診で2例の経過を観察し得た。1例目は低異型度の胃底腺型胃癌で, 7年間で腫瘍はわずかに大きくなった。2例目は高異型度の胃底腺粘膜型胃癌で, 2年間で腫瘍径は約2倍になった。今後, H.pylori感染率の低下に伴い, 胃底腺型胃癌の増加が予想されるので, 内視鏡担当医はその特徴を熟知する必要がある。

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