大腸がん検診での精度管理上の盲点, 即ち, 腸内での便滞留中に起こるヘモグロビンの変性による感度低下を防ぐため, 採便前に快便促進食を摂取し, 得られたより新鮮な便を検査する新しい検診法を試みた。快便促進食とは独自に考案した食物繊維と天然オリゴ糖の混合顆粒であるが, 顆粒服用の受容性は良好であり, 服用により排便がスムースになった割合も高かった。便潜血陽性率は塗布紙で2 日採便しマグストリームHem Sp法で検査した従来法の3市では6.5%以上であったが, 快便促進食を加えた新法の1町では5.4%と低く, 特異度向上の傾向が窺われた。初年度の受診者2,533名からの発見大腸がんは5名 (0.20%), うち早期が3名, 2日とも便潜血強陽性で発見された進行がんの1名は, 前年度は従来法にて陰性の偽陰性症例であった。この新しい検診法は快便促進により検診の感度, 特異度がともに向上する傾向が窺われ, さらに大集団で評価する価値があると考える。
抄録全体を表示