日本消化器集団検診学会雑誌
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43 巻, 3 号
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  • アンケート調査から
    清水 建策, 松永 尚文, 河村 奨, 田中 信之, 河上 康彦, 國弘 佳枝
    2005 年 43 巻 3 号 p. 311-317
    発行日: 2005/05/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    我々は高齢者の多い住民検診において高濃度バリウムを用いた新撮影法が容易に実施できるかどうかを検証するため, 平成15年度にN市住民833名を対象に新撮影法を試み, 受診者にアンケート調査を行った。アンケートの回収率は76.8% (640名) で, 内訳は70歳未満が372名, 70歳以上が268名であった。体位変換は70歳未満の受診者の86% (318名) が「簡単だった」あるいは「なんとか回れた」と答えたのに対し, 70歳以上では36% (97名) の受診者が「とてもきつくて回れない」と回答した。逆傾斜は9割以上の受診者が「楽にできた」あるいは「何とかできた」と回答した。高濃度バリウムは「飲みやすい」と答えた受診者が多い反面, 誤嚥の発生頻度 (0.6%) は従来法が施行された他地域での誤嚥率 (0.04%) と比べ, 明らかな上昇がみられ, 今後, 誤嚥の予防と対策が必要と思われた。
  • 加藤 卓次, 東 健, 上田 敬, 森田 益次, 郡 大裕
    2005 年 43 巻 3 号 p. 318-324
    発行日: 2005/05/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    職場検診で胃・十二指腸病変を認めない108例 (男性92例, 女性16例) を対象にして, Helicobacter Pylori (以下H. Pylori) 感染の有無別にペプシノゲン法 (以下PG法) 陽性率の変動とPG法の判定結果について, 隔年ごとに6年間検討した。その結果, 抗H. Pylori抗体陽性例では, PG法陽性率は初回検査で 13.7%であったが, 2年後で29.4%, 4年後で31.4%, 6年後では35.3%と上昇し, また3回 (4年間) ともにPG法陰性と判定されものは58.8%で, 4回 (6年間) ともにPG法陰性と判定されたものは54.9%であった。一方, 抗H. Pylori抗体陰性例では, 初回から4年後までPG法陽性例は認めず, 6年後のPG法陽性率は1.8%と低値を示した。以上より, PG法によるスクリーニングでは, 同時に血清抗H. Pylori抗体の有無も測定すべきであり, 抗H. Pylori抗体陽性例ではPG法の施行間隔は4年未満が望ましく, 抗H. Pylori抗体陰性例ではPG法の施行間隔は6年以上あけても十分可能であることが示唆された。
  • 安田 貢, 北村 晋志, 仁木 美也子, 林 亨, 山ノ井 昭, 坂下 修, 村田 昌彦, 鹿児島 彰, 井上 博之, 鳥巣 隆資, 竹内 ...
    2005 年 43 巻 3 号 p. 325-331
    発行日: 2005/05/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    今回われわれは, ペプシノゲン (PG) 法陰性かつHelicobacter pylori (HP) 陽性胃癌 (PG (-) HP (+) 群) の臨床病理学的特徴を組織型別にPG (+) 群と比較検討した。その結果,(1) 胃癌226例のうち, PG (-) HP (+) 群が29.6%, PG (+) 群が63.3%を占めた。PG (-) HP (+) 群で未分化型, PG (+) 群で分化型が多く, 早期癌はPG (-) HP (+) 群に多かったが, 全て有意差はなかった。(2) PG (-) HP (+) 群はPG (+) 群より若年であり, 女性に未分化型が多い傾向にあった。部位ではPG (+) 群の分化型はL領域に, PG (-) HP (+) 群ではM領域に多い傾向にあった。(3) EMR適応となる2cm以下の分化型M癌の割合は, PG (+) 群の21.7%に対して, PG (-) HP (+) 群では29.9%と多く, PG (+) 群と比較して, M領域優位, 陥凹型が大多数, tub2症例が高率であり, 未分化型に近い性質を有するものと推測された。以上より, PG (-) HP (+) 群における早期胃癌発見は有意義と思われ, そのためにはPG実測値併用も考慮した胃癌危険対象の絞り込みと, 内視鏡検診への誘導が必要と考えられた。
  • 同日に行った内視鏡検査を基準として
    井上 和彦, 谷 充理, 吉原 正治
    2005 年 43 巻 3 号 p. 332-339
    発行日: 2005/05/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    血清ペプシノゲン (PG) 法, ヘリコバクターピロリ (Hp) 抗体価測定, および, 内視鏡検査を同じ日に行った人間ドック受診者5032例 (男性3497例, 女性1535例, 24歳-89歳, 平均51.2歳) を対象とし, Hp抗体 (-) PG法 (-) をA群, Hp抗体 (+) PG法 (-) をB群, PG法 (+) をC群とグループ分類し, 同日に行った内視鏡検査と比較検討した。血液検査と同じ日に行った内視鏡検査で発見した胃癌は33例であったが, 27例がC群, 5例がB群, PG法陰性恥判定保留群が1例であった。A群から発見された胃癌は1例もなかった。C群での胃癌発見率2.27% (27/1192) はA群の0% (0/1206), B群の 0.22% (5/2252) に比し, 有意に (p<0.01) 高率であった。胃腺腫は9例発見されたがすべてC群であった。過形成性ポリープはC群で最も高率であり, 次いでB群であった。消化性潰瘍の頻度はB群で 24.5%と最も高率であり, 次いでC群の9.6%であった。A群における消化性潰瘍の頻度は非常に低率であった。以上より, C群は胃癌など胃粘膜萎縮を背景とする疾患の高危険群であり, 一方, A群は胃疾患の低危険群と考えられ, 血液検査の胃検診への応用が期待された。
  • 服部 昌和, 細川 治, 藤田 学, 松田 一夫
    2005 年 43 巻 3 号 p. 340-346
    発行日: 2005/05/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    大腸がん集団検診の有効性を検討する目的で, 国内で最も届出精度の高い福井県がん登録資料を用い, 5年相対生存率を算出した。福井県がん登録データベースより大腸がんと診断・登録された6403 名を検討対象とした。発見契機別に大腸がん集団検診発見群 (集検群) と病院受診発見群 (病院群) とにわけて, 性・10歳毎年齢階級・亜部位・深達度・病変の広がりおよび組織型別に5年相対生存率を算出した。集検群89.4%に対し病院群47.5%であり, 5年相対生存率は両群問に有意な差が認められた。精度の高い地域がん登録で検討した結果, 集検群においては単に早い段階で大腸がんが診断されるのみならず, 進行度および深達度別に層別化しても, おのおので病院群に比較して有意に生存率が高く, このことが集検群全体の生存率を押し上げている要因であると判明した。
  • 野崎 良一, 山田 一隆, 高野 正博
    2005 年 43 巻 3 号 p. 347-353
    発行日: 2005/05/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    初回免疫的便潜血検査 (IFOBT) 2日法による検診を受けた場合, その後の効率的な受診間隔はいかにあるべきかを2回目検診の間隔別大腸癌発見率を指標として検討した。初回IFOBT2日法の検診結果が陰性で, その後2回目のIFOBT 2日法検診を受けた76337人を対象とした。2回目の検診で発見された大腸癌は103例であった。内訳は粘膜内癌46例, 浸潤癌57例であった。この103例について検診の受診間隔 (年数) 別の大腸癌発見率比を性別, 年齢で補正しオッズ比 (OR) として算出した。受診間隔が1年 (OR=1) に比べて, 粘膜内癌と全癌 (粘膜内癌+浸潤癌) ともにORは間隔が3年まで有意な増大はみられなかったが, 4年以上で粘膜内癌2.51 (95%信頼区間CI, 1.09-5.77), 全癌2.13 (95%CI, 1.19-3.81) と有意に増大した。浸潤癌では受診間隔が4年以上で1.85 (95%CI, 0.82-4.15) と増大したが, 例数不足のため有意な差はみられなかった。以上から初回IFOBT2日法が陰性の場合, 2回目のIFOBT2日法の受診間隔を3年まで空けても効率的な検診が可能と考えられた。
  • 宮崎 博実, 岡本 公男, 長田 昭夫
    2005 年 43 巻 3 号 p. 354-359
    発行日: 2005/05/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    我々は, 平成15年度より全国に先駆けて, 大腸がん検診の便潜血検査を同一便より2個採便する1 日2個法を実施している。従来の2日法と1日2個法について比較検討した。その結果, 1日2個法は2日法と比べ,(1) がん発見率が高い傾向であった。(2) 2検体提出率が有意に高く, コンプライアンスが向上した。(3) 1日の採便で済むため, 簡便で楽であり, 検診受診者の増加が予想される。また, 検体の保存の問題や日数経過による便付着ヘモグロビン (Hb) 残存率低下の問題が解消される。以上の結果から, 1日2個法は大腸がん検診の精度向上を図る簡便で優れた方法であると考えられる。ただし, まだ一年間の比較であり, 多くのデータを積み重ねて, さらなる検討を要すると考えている。
  • 出口 浩之
    2005 年 43 巻 3 号 p. 360-362
    発行日: 2005/05/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
    大腸癌検診で便潜血反応陽性のため精査目的に来院した64歳の女性において, 近年まれになりつつある消化管寄生虫疾患, 鞭虫症を診断した。原因は, 熱帯魚の水槽の清掃時にストローで水を誤飲したためと考えられらた。メベンダゾール内服にて完治した症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えてその治療経過について報告する。
  • 2005 年 43 巻 3 号 p. 364-374
    発行日: 2005/05/15
    公開日: 2012/12/11
    ジャーナル フリー
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