図学研究
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31 巻, Supplement 号
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  • 小高 直樹
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 1a-6
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿ではまず最初に, F1 (t) , F2 (t) tの周期関数とするとき, tを媒介変数としたx=F1 (t) , y=F2 (t) が描く図形を汎ロコイドと定義する。基円に沿って円が転がるとき, 転円に固定された点の軌跡は, 転円が滑る場合も含めてすべてこの汎トロコイドに含まれる。また, 基円の半径が無限大になれば, x=F1 (t) またはy=F2 (t) tの一次式を含む形式に導かれ, 図形は直線上を転がりながら直進する。ここで, われわれは, 直進する汎トロコイドを直進形汎トロコイドと呼び, これを幾何学模様生成のための基本形とする。この直進形汎トロコイドには, 微視的な汎トロコイドが大局的に直進する場合も含まれる。次に, この直進形汎トロコイドを回転変換する。この段階においては, 回転変換を複数回繰り返したり, あるいは途中のプロセスにおいて射影変換や球面写像を組み込むことにより, ユニークな幾何学造形が可能になる。
    本稿では, この直進形汎トロコイドを利用した幾何学模様生成のアルゴリズム, すなわち, 直進形汎トロコイドの設定とその変換方法 (回転変換, 螺旋変換, アフィン変換, 射影変換, 複合的変換など) のアルゴリズムを, それらの変換によって生成される具体的な幾何学模様とその特徴を通じて論じながら, 平面デザインや装飾, またアートとしての, ユニークでかつ調和性のある幾何学模様を迅速に作り出す基本的な方法論を提供する。
  • 渕上 季代絵
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 7-12
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    自然形態を対象とした数理造形のひとつとして螺旋形態に関する研究と生成のアルゴリズム化を行っている。自然に見られる螺旋のうち、これまで、ねじれを伴った旋回形態の生成方法と結果について報告した。このアルゴリズムはプロセス全体において概ね連続的で均一な変化量で処理する方法を使っている。しかし、自然物のパターンは不規則であり、不連続であり、不均等な要素が強い。たとえば、身近かな螺旋形態である植物の蔓は一定のリズムで巻き付いているように見えるが、巻きの強さや間隔、時には方向も微妙に豪化し、電話のコードやバネのように一定の形状にはなっていない。そこで今回は、不規則性および不均等性について考え、それらが反映されるような螺旋形態の生成を試みた。まず、これまでのアルゴリズムを検証し、不均等要素を付加すべき部分の検討を行った。本アルゴリズムは [基本形状の作成] 、 [ねじれ処理] 、 [旋回形状の作成] 、 [ねじれ形状と旋回形状の合成] のプロセスからなっているが、 [ねじれ形状と旋回形状の合成] 以外のすべてのプロセスにおいて不規則的な要素の適用が可能である。そのなかで今回は基本形状の表面の非平滑化と旋回形状の作成時に等差的な処理を行っている巻き上げの比率について不均等化を試みた。これらの要素を追加することでさらに多くの変換形の作成が可能となった。
  • 小高 直樹
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 13-18
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿は, 直交座標系において関数で表現される幾何学的図形の一部分を, 主としてガウス分布関数を利用して連続的に変形するアルゴリズムとその応用に関するもので, 幾何学図形の変形写像を得るための新しい手法を提供するものである。このアルゴリズムの基本的な考え方は, 直交座標系上で幾何学図形を変形させるのではなく, まず直交座標系をガウス分布関数を利用してわれわれが意図するように連続的かつ部分的に歪曲させて, 次にその歪曲された座標系の上に幾何学的図形を描かせるというものである。
    本稿では, 最初に, 直交座標系をガウス分布関数を利用して連続的かつ部分的に歪曲させる3つの基本的な変換形式を提示する。変換形式の一つは, ガウス分布関数の高さ (z) の変化率 (偏微分係数) を補正値として, 点の座標 (x1, y1) を点 (x2, y2) に変換する方法である。第2の変換形式は, ガウス分布関数上の点zを, ある点から射影して, その点の座標 (x1, y1) を点 (x2, y2) に変換する方法である。そして変換形式3は, ガウス分布関数の高さ (z) を回転角度として, その点の座標 (x1, y1) を点 (x2, y2) に回転写像する方法である。次に, 直交座標系における幾何学図形がこれらの歪曲された座標系上でどのように変形写像されるのかを示すとともに, それらの特徴と応用について論じる。これにより, 座標系の歪曲という簡単な概念から, 幾何学図形の一部を自動的かつ連続的に変形させて多様な幾何学模様を生成させることが可能であることを示した。
  • 蛭子井 博孝
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 19-22
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    卵形線の幾何学は、卵形線の定義が比較的簡単でないため、その図はもとより、性質は容易にはつかめない。しかし、その媒介変数表示式が分かれば、BASICのグラフィック命令を使って図がかける。この事を、まず、円環の [r, 2θ] → [r, θ] への写像、つぎに、カシニの卵形線、そして、ケプラーの卵形線、デカルトの卵形線、トーラスの断面、ある卵形線などの卵形線族で、確かめている。このとき、文字係数は、試行錯誤で、グラフを書きながら、見つけた。これは、BASICインタープリターの便利な点で、文字係数に適当な数値を代入して走らせばよい。また、CADで、卵形線を図形的定義から何点かを作図し、Bスプライン関数でつないだ図を示した。簡易CADでは、定規とコンパスの作図は容易であるが、軌跡問題の作図は簡単にできるようにはなりていない。また、CADにREDO, UNDOでなくトレース機能を付け加えれば、ユークリ磯何の図形証明問題において、作図順序が容易に分かり、証明も容易に分かることを示す。さらに、図の共点性や、共線性を拡大機能を用いて確かめながら、作図していくことにより、できあがった図が定理となりうることが言える。つまり、定理を予想ができることもある。卵形線は、様々な族を持つが、デカルトの卵形線は、その中でも性質の分かる数少ない卵形線族である。しかし、それでも、昨今のコンピューター技術であるBASIC言語やCADの助けなくして卵形線の幾何学的構造は、明らかにできないのである。
  • 山嵜 秀城, 近藤 邦雄, 佐藤 尚
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 23-26
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的はJAVAを利用して感性スケールを用いた配色変換を行なうことである。今までにも配色変換の機能をもつソフトはあったが、画像内の色・範囲を指定しユーザーの選んだ色に置換するものでしかなかった。感性スケールを用いた配色変換法では「温かい」や「暗い」といった感性的な言葉を用いることによって、簡単に画像の配色変換を行ない印象を変換することが可能である。その題材として、WWW上に存在する画像を用いることとした。配色変換法を用いたシステムの構築には、WWW上の画像を利用することを考え使用言語にJAVAを使用した。JAVAを使用することによりプラットホームに依存することなく、配色変換システムを利用することが可能となった。
  • 早坂 洋史, 井野 智
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 27-30
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    北海道における図学教育の今後を、各学校に配布した図形科学教育の現状調査のアンケート結果をもとに、検討した。この種の調査は、1993年の日中図学教育研究会議で井野らにより報告された「北海道地区における図学教育改善の試みと問題点」以外、あまり北海道支部では行われていない。最初に、アンケートの結果から、各学校での現状を示し、それについて考察を加えた。また、将来開講予定もしくは希望の授業名の回答結果から、北海道における図学教育の将来を展望した。最後に、北海道における図学教育の将来に向けての展開は、図学教官の高齢化の進む中で、至急、取り組むべきべき事項であり、日本図学会の他支部からの提言を積極的に受け、それらを参考にすると共に、北海道内の各種学校との連携強化が必要不可欠である。
  • 牧 博司
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 31-34
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図学製図と機械製図の差異をはっきりさせるための教育論文で、副題として撮影、面取り、寸法に続いてCADを選んだ。図学は数学の一分野であるから、コンピュータの持つ諸機能の利用によって教育効果の上昇が充分に予想できる。一方、図形を取り扱うという点では両者に差異はないが、機械の分野の図面とは製作情報の伝達のために存在しており図を描くと共に製作情報の記入が必要となる。この製作情報の記入のためには機械工学の総合的な知識が必要で、この知識の欠落している者に図面の教育を行っても模倣教育の域を一歩も出ない。この点が理解されていない状況でコンピュータの登場である。大学、高専の機械系学科の卒業生の程度の知識では機械の図面は描けない。したがってコンピュータを使用したトレーシング実習を行っているのが機械製図におけるCAD教育の実態である。すなわち、コンピュー夕の導入により両者の溝が拡大してしまったわけである。本論文はこの溝をあきらかにすると共に今後のCAD教育の方向について提言するものである。
  • 長江 貞彦
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 35-40
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は陶磁器に関するバーチュアルミュジアムを構築するもので、範囲は一応プロジェクトの発案の経緯により京都府に保管されている創作陶磁器100選に限定している。最初に現物の形状と紋様を記録するためデジタルデータにおとす作業が必要で、ここでは形状測定にはレーザービームによる自動スキャンを、紋様データは蛍光灯の照明によるCCDカメラ入力を試行し、ほぼ初期の目標にちかずけた。今後は、これらのデータを有効、かつ動的に活用するため、魅力的なビジュアリゼーションの在り方を研究する必要にせまられている。すなわち、『陶磁器VR館を作ってどうなる?』の質問にも十分答えられるコンセプトを固める必要がある。幸い、本プロジェクトにはアーチストをはじめ産官学の協力スタッフが得られているので、幅広い観点からのアイデアや議論が集約され、著作権等の問題も研究内に限ってはクリアしている。本稿ではとりあえず陶磁器100点のデジタル画像入力とテクスチュアマッピングの技法を解決し、ついで陶磁器VR館の在るべき姿の構想を考察したので、その概要を以下 (ビデオ上映も含む) に要約しておく。
  • 小林 光弘, 近藤 邦雄, 佐藤 尚
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 41-44
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本論文では、アニメーションにおける動作強調手法を提案する。CG技術の向上により、コンピコータアニメーションは様々な分野で利用されるようになった。特に、実写映像ではできない様々な表現を可能にするという利点のため、娯楽作品として多く用いられている。アニメーション制作工程の中心である動きの作成については、物理法則を元にして動きを生成する方法や、Motion Captureなどの動作入力装置を用いて実際の動きを取り込む方法などがあげられる。しかしこれらの方法で生成された動きは現実的であり、アニメーション特有の強調された動きの表現に関しては取り扱われていない。本論文では、動きを表すの要素の一つである、キャラクタを構成するパーツ間の角度を制御することにより、自動的に動作強調することができるMotion Filterを提案した。分析により「予備動作」「リアクション」「折り返し」の3種類の動作について強調することにより、効果的に一連の動作を表現できることがわかった。これにより、アニメーション制作における強調された動作の作成を、自動化することが可能になった。
  • 佐藤 尚, 張 暁紅, 近藤 邦雄
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 45-48
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    デザインワークを支援する事を目的としたデザイン画像データベースの検索システムとして必要となる、デザインコンセプトによる感性検索システムを実現するために基礎技術を開発することが目的である。このためには、画像特徴量と感性特徴量との間の関係を見つける事が重要である。この目的のために、統計的手法を用いてきた。しかし、通常の統計的手法では、で非線形関係を扱う事は困難である。そこで、遺伝的プログラミングの手法を用いて、画像特徴量と感性特徴量との間の関係式を推定する方法の実験を行い、この手法が有効である可能性の高い事を示す事ができた。
  • ―ル・コルビュジェの軸測図の使用について―
    加藤 道夫
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 49-54
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    建築の分野では様々な方法で三次元空間が二次元の図面に表現されてきた。ここでは, 建築家ル・コルビュジエの軸測図における, 構想される建築空間と表現法の対応を見る。その結果, ル・コルビュジエの軸測図の使用に関して以下のことを指摘することができた。1) 軸測図の使用は, ラショードフォン時代から見られるものの平面図を実形とするミリタリ投影が意識的に使用されるのは1925年頃以降である。2) 軸測図使用には, 彼が参照したショワジーの『建築史』と1923年に開かれたデ・スティールの展覧会の影響が考えられる。3) ミリタリ投影の使用については, 1925年頃が平面方向標準尺度の確立期と一致しており, その空間形状の平面形を正しく表現する投影法が選択されたと考えられる。4) 軸測図には, ポリクロミーと呼ばれる彩色が施されるが, これは, 平面方向標準尺度の採用により確立された厳格な直交グリッドに従う建築構成要素間の視覚的距離を意識的に変化させ, 直交グリッドにより規定される静的な空間にダイナミズムを与えるものである。その効果を表現する上で, 平面方向距離を正しく表現するミリタリ投影が選択されたことは理解できる。6) 以上から, ミリタリ投影の採用は, その起源をショワジーやデ・スティールに見ることができるものの, 彼の構想する建築空間と不即不離の関係にあることが理解できる。
  • ―立方体の場合―
    浅川 泰子一, 島田 恵子, 佐藤 仁一朗, 井野 智
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 55-58
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    投象の理にかなった単面投象であっても、物体と画面の配置や、視点あるいは投象方向が違うと全く原形態を感じさせない場合がある。本研究は、建物の基本形態の一つである直方体の原形態をほぼ適切に表現できる透視投象、軸測投象、および斜投象の作図条件を明示することを目的としており、対象を立方体に限定した一連の実態視実験からおおよそ次のような事柄を明らかにした。
    (1) 投象法に関係なく、壁面しか見えない単面投象よりも屋根面も見える方が、左右対称となる単面投象よりもやや非対称となる方が、より立方体をイメージし易い。
    (2) 透視投象の一、二、三消点法の中では、立方体に見える視点の許容範囲は三消点法が広く、二消点法の視点、とくに視・己横位置の範囲は最も狭い。
    (3) 条件をみたす二、三軸測投象の主軸の交角の概略値を示すとともに、どの主軸を高さ、奥行き、幅に対応させるかで著しくイメーゾが変わることを指摘した。
    (4) 斜投象では、ミリタリ投象は立方体に見えず、カバリエ投象は比率0.5前後のごく狭い範囲で立方体をイメージできる。
  • ―主視線と画像の歪み―
    阿野 太一, 佐藤 仁一郎, 井野 智, 隼田 尚彦
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 59-64
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    景観とは人が視覚に基づく情報を再構成することで得られた空間のイメージのことをいい、写真や透視図からの印象とは必ずしも一致しない。本研究は、建築物を主対象とする実空間をカメラの位置と傾きを変えて撮影し、人が同じ場所で受ける印象との差異を調べたもので、静的景観シミュレーションメディアとして有効な写真または透視図の構成について、以下の3点につき明らかにした。
    (1) 二消点法と三消点法を較べると、建物が低層では違いが見られず、高層ではいずれも不自然となる。建物が中層の場合は、三消点法による僅かな垂直線分の傾きは視覚情報として入力された後に再構成されるので歪みとして認識されにくいが、二消点法における主視線と人の視線の違いは実際の景観との違いとして認識されやすい。
    (2) 中低層建物を中心に構成される景観の三消点法による垂直線分の傾きが歪みと感じない主視線の仰角の限界値を、透視図の建物に外接する長方形の対角画角 (有効画角) の関数で提示した。
    (3) 視点と建物との距離を変えることで有効画角と画角の組み合わせの異なる様々な透視図と景観とを比較し、景観シミュレーションとして用いるに適した有効画角と画角の関係式を示した。
  • 面出 和子
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 65-70
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    測量に基づく正しい地図から、それに建物などを立体的に表現して制作された正確な絵地図がある。また絵画に描かれた都市の図は、西欧でも日本でも俯瞰した構図が多く、絵地図を想わせる。それは山頂や塔から見下ろした視角と、実際の知識を合わせもったような表現である。ここでは建物の外観を描写した西欧と日本の都市が描かれた絵画を取り上げ、建物が集合してつくる都市の形が、それぞれの都市の特徴をどのように表現しているのかを考察する。これらは図法的には、透視図で描かれた街景の図ではなく、軸測投象や斜投象的に描写されていることが多い。プリミティブな絵画表現は、視覚体験を基に描くよりも、認識した情報を読めるように描いた。それは見えるがままではなく、在るがままに描いたのである。透視投象が、観者の一定の位置としての視点から、見えるがままに描こうとするものであるのに対して、これらの図に見るように軸測投象や斜投象は、視点を中心に「見える」ように描くのではなく、対象を中心にしてものが「在る」ことを、言い換えれば、対象の存在そのものを見せる図法であると言える。ここで取り上げた都市図は斜投象的に描くことによって、各々の都市の特徴を捉えて見せている。
  • ―シャガールの作品から―
    小山 清男
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 71-76
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    マルク・シャガールは、初期のものなどいくつかの作品を除けば、古典的・遠近法的な空間を描いてはいない。あたかも無重力空間を遊泳しているかのように、人物や動物などをランダムに配して、独自な情趣をあらわす。それらの配列には、一見何の秩序もないようにみえるけれども、いくつかの作品でシャガールは、運動の軌跡として円を考えていたふしがあり、また画面内に複数の円を配して構図を決定したと思われる作品もある。そのような場合には、画面内の円の配列や組み合わせが緊密であって、シャガールははっきりとそれを意識していたものと想像される。さらに彼の作品には、単なる平面図形としての円を越えて、球を考えていたと思われるものもある。遠近法を捨てたシャガールの作品には、地平面を設定しているものはほとんどみられず、その絵画空間を図法的に正確に求めることはできない。けれども画面内に描かれているいくつかの円のそれぞれを、球と考えることのできる作品では、それらの球を手掛かりとして、ある程度までそこに含まれている空間を、推定することが可能であり、そのような作品では、シャガールの絵画空間の構造が、多少ともみえてくるのではないかと思われる。そのような視点からシャガールの作品を考察した試論である。
  • 宮澤 貴之, 佐藤 宗幸, 望月 義典, 近藤 邦雄, 佐藤 尚, 島田 静雄
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 77-82
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    立体を2次元平面上に映し出す手法として、投影法がある。本来の投影法は物体をいかに正確に2次元平面上に再現するか、ということを目的としている。しかし、画像を見た人にとって理解しやすく、雰囲気を伝わりやすくするために、熟練した技術者によって形状や色を誇張した表現も存在する。本研究ではそのような画像を分析し、熟練した技術によっていた作画を自動生成するアルゴリズムを提案する。本手法は、数ある強調表現の中でも形状の誇張に着目し、誇張させる度合と方向を決定して投影変換時に組み込む。本手法によって生成される画像は、元の画像に比べてより雰囲気の伝わる画像になった。
  • 望月 義典, 近藤 邦雄, 佐藤 尚, 島田 静雄
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 83-86
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    三次元形状の特徴を強調し、理解を容易にする画像を生成する手法について述べる。形状特徴の誇張や陰影の強調など、画像に対するさまざまな強調によって、従来のリアリティの高い画像の生成方法に比べて、対象物の形状や質感などの情報をわかりやすく表現することができる。しかし、現在のところ、このような画像の生成は人手によるところが大きい。本研究では、三次元形状モデルに対して自動的に特徴強調を施すアルゴリズムを確立し、人にわかりやすい画像を、コンピュータを用いて短時間で容易に生成する手法を提案する。
  • 村上 一實, 平野 重雄
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 87-92
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    格子照射形モアレ法は凹凸物体の表面形状を測定するための有力な方法の一つとして知られている.この方法によって正しい結果を得るためには, 各装置は予め決められた幾つかの条件を正確に満たすように設定されていることが必要である.しかしこれらの条件のすべてを満たすことは実際上困難である.そこで本報告では, これらの条件の幾つかが満たされていなくても, それらの条件を満たした状況に相当するモアレ縞 (以下単に縞という.) を得るための式が導かれている.さらにこの式を用いて, 形成された縞の解析を行うための画像処理システムが開発されていて, その実用性が実験によって確かめられている.
  • 水野 兼雄, 廖 菲〓, 古谷 重雄, 駒村 裕史, 横田 成昭, 坂本 勇, 村上 一実
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 93-98
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 梶山 喜一郎
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 99-106
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • ―ドット柄を中心にして―
    石井 眞人, 近藤 邦雄
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 107-110
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿では, 図形特徴から印象を抽出する方法について述べる.図形特徴から印象を抽出する問題点は, 特徴を表現する変数と図形印象の不一致が課題であった.本研究では図形特徴を, 図形を構成する面, 点等のオブジェクトから規制される要素 (構成要素) として示し, それらと印象の関係を, 多次元分割表を用いて線形モデルにより表現した.また構成要素を自動抽出するため, これらの手法を実装したシステムを構築した.
    アパレルドット柄について実験した結果, 50%の印象語について有効な値が得られ, 手法の有用性が確認された.構成要素のレベル値の設定をより厳密化することにより, 精度の高いモデルの構築が期待できる.
  • ―体表面の展開と再構成―
    猪又 美栄子
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 111-114
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    昭和女子大学生活美学科では、被服設計の授業において、人体形態と衣服パターンの関係について学生に興味を持たせ理解を深めさせるために、各自の腰部形状の測定データから3角形法で体表近似展開図・平面図を作成して、板目紙で実物大の腰部模型を製作させてきた。今回、造形デザイン演習の授業において、この手法を発展させ、腰部模型を自由に平面展開し再構成することを試みた。その結果、腰部模型の製作では、「腰の立体を平面の展開図に表し、平面の紙を腰の立体に組み立てる」作業から、「平面の布を体形に合わせた立体的な衣服にする」という人体形態と衣服パターンの関係を考えさせることができた。また、「模型を切り開き、平面にする」作業からは、「美しく見せる切り替え線」や「衣服デザインで、腰をどのように表現したいか」、さらには衣服デザインから離れて「腰のかたちをどのように表現できるか」という美的な側面へ発展させることができた。造形デザイン演習では、学生全員が同一の体表近似展開図と平面図を用いて1/2の模型の製作から始めたが、ヒトの腰のかたちの思いがけないおもしろさに触れさせることができた。
  • 岩野 あずさ, 堤 江美子
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 115-120
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    衣服設計法を理論的に整理しようとする場合、独特の構造を持つ肩部は衣服の支持部として、あるいは逆には衣服に大きく拘束される部位として、重要、かつ興味深い研究部位である。本研究では女子57名 (18~21才) の肩部復元石膏標本を用い、三次元計測により得られた肩部の三次元的な角度と生体計測直から、主成分分析によって肩部形状を類型化した後、肩部の形状変異が体表展開図上でどのような特徴として表れるかを解析した。主成分分析の結果、「体の大きさ」、「特に肩峰部を中心とした上肢帯の位置に関係した形状の特徴」、「脊柱の弯曲度に関係した頚付根部の側面形状と肩の形状のバランス」「骨の長さ」などの因子が抽出され、これより [前肩/後ろ肩] 、 [屈身/反身] の特徴が [なで肩/怒り肩] の特徴と複合された形で、肩部形状の特徴が説明できた。これらの特徴を基に類型化された肩部の代表的モデルの展開図から、形状特徴に基づく展開図上の特徴を検討し、立体形状の特徴と展開図の関係をある程度有機的に捉らえることができた。本研究の結果から衣服設計の際の肩部における留意点をある程度明確にできたと考える。
  • 山地 靖子, 堤 江美子, 猪又 美栄子
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 121-126
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    人体という複雑な立体のなかから腰部形状を取りあげ、その形態の特徴を抽出することで類型化を試みた。一般複曲面である人体腰部形状を解析するためには、従来の生体計測項目のみでは不十分であり、人体を立体的にとらえることが必要である。そのため、18歳から22歳の日本人女子100名の腰部の4水平断面から、腰部形状モデルを生成した。解析のために、それぞれのモデルから一周256点×15枚の等分割水平断面を作成し、フーリエ変換した。人体腰部形状の類型化の方法として、佐藤の考案した形状に関する擬距離尺度を用い、人体腰部形状の特徴を5つの大局的な特徴 (縦伸縮・横伸縮・断面形状・ゆがみ・ねじれ) によってとらえ、それぞれの特徴ごとに、サンプル間の腰部形状の差異を調べた。そして、相違性尺度として求められた擬距離をそれぞれの尺度ごとにクラスター分析し、各クラスターの意味づけを行った。分析の結果、縦伸縮尺度からは体格の大きさ、横伸縮尺度からは胴のくびれ具合、断面形状尺度からは体の厚みによる扁平度の違いを指標にした類型を得ることができた。また、ゆがみ尺度においては、骨盤あるいは脊柱の傾斜の程度という姿勢の変異に関わる指標があらわれた。ねじれに関しては系統的な様相は観察できなかったが、以上、擬距離尺度により、人体腰部形状の特徴がかなり明確に分析できた。
  • 堤 江美子, 相原 多恵, 飯岡 直美
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 127-132
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    人体の外形のから判断される体つきが、どのように生物学的妥当性をもった特徴と一致しているのか調べるために、成人女子68名の体幹部を対象に三次元計測と生体計測を行い、佐藤の「一般形状に関する5つの擬距離尺度」による体形分類と、生体計測直から計算できるように修正を加えたSheldonの「器官発生にもとづくソマトタイプ」による体型分類との関係を検討して視覚的な体つきの類型について考察した。佐藤の擬距離尺度のクラスタ分析からは、物体の垂直方向の長さの変異について体幹部の「細長/短厚」が、物体断面の局部的な大きさの相違については「肩部や胸部、胴部など局部的な発達の違い」が、物体の垂直軸からのずれ具合については「姿勢」が、そして「断面の形状の変異」もあわせて4つの特徴が外形より解釈された。また、ソマトタイプからは「多くの脂肪を蓄えた特有の丸みを帯びた体型」、「がっしりした肩部と胸部を備え、四肢は固い筋肉からなる体型」、「ほとんど筋肉や脂肪をもたず、神経系が発達している体型」が生体計測直から算出された。擬距離による各形状特徴について、クラスタ間のソマトタイプの平均値の差の検定を行った結果、外形の見え方と実際の生物学的な内容との間の関連性について以下のような結果を得た。
    (1) 細長/短厚に相当する特徴は、骨や筋、特に筋の発達と関連性があり、肩部や胸部の充実したがっちりした体つき、あるいは、その逆がこの特徴を印象づける大きな要因と考えられた。
    (2) 肩・胸・胴部のプロポーションの違いに相当する特徴は、脂肪・筋肉を合わせた充実度と関係があるようだ。
    (3) 姿勢の変異に相当する特徴は、骨や筋、特に筋の発達と関連性があり、一般に、姿勢の悪さは主として脊柱の前弯の強さと受け取られがちだが、背面における筋や脂肪の充実具合もその一因であることが理解された。
  • -無意識下の知識活動について-
    江崎 丈巳
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 133-138
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    MCT (Mental Cutting Test) は、多くの大学で空間認識能力やコース効果などを評価する手段として用いられている。MCTの問題は、種々な形状の立体図形とこれに交わる平面図形の輪郭を示し、切断を想定し、用意された5種類の切断面類似解図から正解図を選ぶものである。問題の意図は、イメージ切断面との照合による解図選択で、切断面への解図の照合選択的要素が強く、図の知識や応用力を基にした、論理的な思考・判断能力を測ることを目的としている。類似解には、何種類かの図学で解釈できる知識が準備されており、全ての知識を満足したものを正解として示している。それぞれの形状に含まれる知識は、長さや傾の目測比較で、簡単な論理判断で解釈できるようになっている。本研究では、問題23の誤問の可能性を指摘するとともに、付随して得られた結果について報告する。これまで、難問 (低正解率問題) は、それなりに難かしい知識を含んでいるとう見解のもとに分析を行ってきた。しかし、問題23は、分析の過程で、50%近辺からあまり正解率が上昇しないことやコースによって、Pre-Post Test結果が逆転するなどの不自然な現象が見られた。そこで、この不自然さに着目、問題自信を図学的な方法で解析したところ、立体図形上の寸法差が解図に反映されていない誤問であることが分かった。しかし、被験者がこの違いを認識できるかは、誤問と決める上で重要な要素となる。そこで、この誤問への反応確認を行った。方法は、形状の認識度チェックのため、スケッチ解、修正解の2種類のMCTを準備、結果を従来の問題と比較した。被験者の反応は、スケッチ、修正解ともに正確であった。スケッチでは、高さの差、数ミリを正確に表現されている。また、修正解では、高さを2mm変えた図で、正解率が増加しており、誤りとして考えていいことがわかった。これに付随し、MCTは、スケッチ解の正解率が極端に低下するところから、イメージできなくても、図的思考・論理判断能力のみで解けると考えられる。また、上記の反応結果から、被験者は、誤問を解くが、矛盾を感じておらず、意識の内に入ることなしに他の処理へ移り結論をだしている。このことから、メンタル図形処理には、無意識下の知識活動があることが考えられる。
  • 斉藤 孝明, 鈴木 賢次郎, 神宮 敬
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 139-144
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では、明星大学の工学系の学生を被験者として、MCTを用いて図学関連教育による空間認識力の育成効果を評価すると共に、図学成績の事前評価の可能性を検討した。図学関連の授業の前後MCT平均得点と対照調査での前後MCT平均得点を比較した結果、図法幾何学および機械製図の授業によってMCT平均得点が上昇し、その上昇は低得点者ほど大きいことが判明した。図法幾何学や機械製図の授業による得点変化を分析した結果、それらの授業によって図からイメージを生成、処理する能力が向上することが判明した。MCTの得点と期末試験の得点の相関を見た結果、MCTと図法幾何の作図問題には正の相関が認められた。図法幾何の作図問題とMCTの解答には、図に描かれた立体のイメージを生成することが重要という点で共通するため、相関が見られたと考えられる。一方、MCT得点と機械製図の試験問題にはほとんど相関は認められなかった。機械製図の作図や記述式の問題では製図規則の知識の有無が問われており、MCTとは異なる能力を測っているために相関が低いと考えられる。期末試験での成績不良状況を分析した結果、MCTの低得点者ほど図法幾何の期末試験で成績不良になりやすいことが判明した。図法幾何の授業にあたってMCTの低得点者には教授法に配慮が必要と思われる。MCTの得点による機械製図期末試験の成績不良の予測は図法幾何ほど明瞭ではなく、MCT得点から機械製図の期末試験での成績不良を予測することは困難であると思われる。
  • 札幌大谷短期大学と道都大学の場合
    森田 克己, 松岡 龍介, 早坂 洋史, 井野 智
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 145-150
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    簡単な図形認識テストを行い、間違い易い問題の傾向を札幌大谷短期大学と道都大学の場合につき分析し検討を加えた。札幌大谷短期大学では美術科デザインコース1年生の女子学生を、道都大学では美術学部のデザイン学科及び建築学科の1・3・4年生の男子学生及び女子学生を対象とした。先ず、札幌大谷短期大学及び道都大学での全体での誤答割合の傾向、第2に道都大学での男女差による全体の誤答割合の傾向、第3に道都大学でのデザイン学科と建築学科と全体の誤答割合の傾向、第4に道都大学での1年生とそれ以外の学年の学生と全体の誤答割合の傾向、最後に札幌大谷短期大学と道都大学の女子学生同士の比較、札幌大谷短期大学デザイン科と道都大学デザイン学科での間違い易い問題について比較を行った。テストの内容は、いくつかの図形があり、それを組立てる「図形の組立」、原図形に複雑な線が加わったものから原図形を抽出する「図形の抽出」、与えられた展開図から立体図を考える「展開図と立体」、回転する手順を示し指定した図形を回転させる「図形の回転」であった。
    本研究における図形認識テストの試行の結果、女性の方が男性より間違い易いことと、札幌大谷短期大学の女子学生と道都大学美術学部の女子学生では、ある問題については両者共に間違い易い傾向が見られることなどが、, ある程度明らかになった。
  • 竹山 和彦, 前口 良治, 知花 弘吉, 吉田 勝行
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 151-156
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1994年, 大阪大学では2次元CADを用いた作図のみによる図学教育を実施し, 正投象の作図法の理解度を見るための客観テスト (OTO) を試作開発し実施した.摂南大学では同じ時間帯で講義をし演習をさせるという従来通りの図学教育を行い, 手書き作図によるテスト (DTO) を実施しているが, このOTOが摂南大学でも教育効果を見るために利用できると考え, 1995年度, DTOに加えて同じテストOTOを実施した.また, 両大学とも比較のために同じく客観テストであるMCTを同時に実施している.以上2年にわたる結果はMCTとOTOの間でほとんど相関関係がないこと, 及びOTOとDTOの間にもほとんど相関関係が認められないこと, すなわち三者三様のテストであることを示している.この結果が果たして本当にそのように言えるのかどうか, 1996年摂南大学において, もう一度同じ要領でテストを実施した.これら両年にわたるテストは安定した結果を得ており, これらの3テスト間に全く関係ないのではなく, すべてに良くできる者と全然できない者がある, 1題でも完全に理解した者は他の問題の理解力にも優れる可能性があることなどが判った.このような客観テストは教育上の問題点を浮き彫りにすることが可能であり, 教育改善に役立つことが予想される.
  • ―MCT/MRTによる空間認識力育成効果の評価―
    孫 暁東, 鈴木 賢次郎
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 157-162
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    我々の研究室では、コンピュータグラフィックスの豊かな図形処理能力を利用して、大学教養課程における図形科学教育を支援するソフトウエアー図形科学教育用立体シミュレータの開発を行っている。本研究では、東京大学教養学部の学生を被験者として、切断面実形視テスト (Mental Cutting Test: MCT) と心的回転テスト (Mental Rotations Test: MRT) からなる総合空間認識力テストを用いて、立体シミュレータを利用したコースウエアによる空間認識力の育成効果を評価した。立体シミュレータを使用した授業 (以降、実験組) と立体シミュレータを使用しない授業 (以降、対照組) の前後で上記テストを実施し、両者の結果を比較、検討した。両組ともに平均得点は後テストで大きく上昇し、実験組における上昇は18.7点 (SD: 9.4) 、対照組における上昇は13.7点 (SD: 12.2) であった。実験組の平均得点の上昇は、対照組に比べて5点大きく、この差は1%水準で有意であった。実験組と対照組では、立体シミュレータの使用を除けば、ほぼおなじ内容の授業が行われたことから、両者間の空間テストの上昇分の差は立体シミュレータを取り入れた新しいコースウェアによる効果と考えられる。このことから、立体シミュレータを補助教具として利用して行った図形科学授業は空間認識能力の向上に有効であるものと考えられる。
  • 松田 浩一, 近藤 邦雄, 佐藤 尚, 島田 静雄
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 163-166
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本論文では、手書き特性を生かした図形入力の手法についての提案を行なう。工業製品のデザインにおいて、デザイナはスケッチを描いて構想をまとめていくが、最終モデルを製作するまでの工程は長く、スケッチからでき上がったモデルがスケッチのイメージと異なる場合もある。そのような背景もあり、CADシステムに適用する手書きによる図形の入力システムが研究されている。しかし、既存のシステムは制約が多く、デザイナにとって使いやすいとは言えない。そこで、本論文では、スケッチに用いられるような手法である、線分の重ね書きによる入力を可能にする逐次清書方式を提案する。本手法は、コンピュータにおいてのペン入力が描画過程を記録できるという利点を生かし、時系列に並んだ座標情報を用いてその描画過程から書き手の意図を反映した清書を可能とする。本手法を用いることにより、スケッチを描くようにコンピュータ上で清書図形を描くことが可能になり、作業効率の大幅な向上が期待できる。
  • 望月 達也
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 167-172
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    産業界には3次元CADシステムが広く普及していることから、3次元形状のモデリングがCAD教育の課題となっている。本論文は、フィーチャによる3次元形状のモデリングについて述べたものである。フィーチャとは工学的に意味のあるモデリング要素で、フィーチャによるモデリングは設計意図を反映したソリッドモデルの構築である。すなわち、3次元形状の生成プロセスを定義することである。フィーチャベースモデリングの方法は、大きく三つに分けることができる。第1は基準となるデータム平面やデータム軸の定義である。それらのデータムもフィーチャである。第2はべースフィーチャの定義である。ベースフィーチャは、3次元形状の特徴が最も表現できるような断面の線画と寸法を定義し、それを押し出したりスイープさせてソリッドモデルを生成するものである。第3はコンストラクションフィーチャの定義である。このフィーチャはベースフィーチャに付加させるもので、それには、穴、角R、面取りなどのピックアンドプレイスフィーチャと、ベースフィーチャを作成したようなスケッチフィーチャがある。本論文では、形状が複雑な成形品をフィーチャで具体的にモデリングし、その工業的有用性を確認している。
  • 平野 重雄, 真下 哲也, 島田 鉄也
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 173-176
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    設計製図教育への2次元CADの導入は着実に進み, 現状では従来の手描きによる教育を中心に, これにCAD教育を付加した形で教育を行っているケースが多いようである.また, その内容は単品部品の図面作成が主であり, 本来のアセンブリな製品設計を理解させる設計製図教育を実施しているのは少ないと言える.
    そこで, 限られた要件の基ではあるが, CADの効果的活用方法のひとつのアプローチとして, 実際の製品を課題に, グループ設計で製作に入る前段階までのプロセスを体験する教育を実践した.
    その教育内容は, (1) CADを図を描くためのツールからものをつくるためのツールと位置づけをした. (2) 担当する構成部品を2次元, 3次元で設計製図する. (3) 図面データの共有化を図る. (4) 部品間の干渉チェックと組立性 (組立の容易性) の確認を行う内容である.
    その後, 課題に対する学生の理解度と評価を行い, 考察をまとめると次のようになる. (1) CAD教育の課題 (教材) により, 学生の設計製図のレベルを向上させることに繋がると考えられる. (2) 図面データの活用により作図時間の短縮がはかられ, シミュレーションなどで, 機能の確認を行うことができる. (3) 過去の設計の活用や設計情報の充実により, 設計の本質的な内容や総合的な検討が行える.
    今後, 教育機関に3次元CADの導入が図られるものと予測される.従って, 3次元CADによる形状設計および空間認識能力の向上のための新たな設計製図教育が必要になると考える.
  • 山内 一晃
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 177-182
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    大学の建築専門教育課程を修了し、大手建設会社に就職した建築設計志望の学生は、建築学の体系的知識と設計演習の能力は修めているものの、実務経験がないため即戦力としては機能せず、企業の導入教育をうけて、現業の実務を体験し、組織人としての生活をスタートさせる。また、導入教育を終了した一般社員は、業務上必要な知識・技術を一日も早く体得し、企業運営上有為な人材に成長することが期待されている。大手建設会社は、企業理念の周知と企業の目的の達成には、人材の育成・教育が不可欠であるとし、各社それぞれ独自の教育計画に基いた社内教育を実施するのが通例である。筆者が所属する大手総合建設会社T社では、社内教育とその効果について、「能力開発制度」としてとらえ、各社員毎に毎年目標を定め、年度終了後、本人と上長とで各項目ごとに結果を5段階で評価しあい、記録してきている。その結果では、造形・空間創造、イメージの表現といった項目について、社員の平均3.4~3.5に対し、入社10年後の平均では3.8~3.6と上昇をみている。本論文では、社内で行なわれる設計製図教育の過程とその効果について、それらの記録をもとに詳述する。
  • 大村 勝
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 183-184
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    CAD教育が実施されて約10年ぐらい経過したが, どこの大学においても種々の問題点が発生しており, CAD教育は本当に必要なのか, CADよりも手書き図面の方が重要ではないか, 等々の議論がなされてきた。しかしながら, ワープロが普及したように, CADも産業界においてかなり普及しており, CADの良否に関係なくCAD教育はなされていかなければならないと考えられる。
    現状の問題点から, 改革策として8項目にまとめた。
    1) CAD教育を十分に行うためのカリキュラムを再検討し, 加工や実習, JIS通則, 図学の必要性
    2) 手書き図かCADかという議論に対しては, どちらも重要であることを指摘
    3) CAD教育のみの講座を作り, CAD教育担当者の養成も行うべきであることを提案
    4) 各大学個別, 別々に行われているCAD教育の一部を共通化し, テキストを共通化する
    5) FEMやNCカッタパスと連同する, CAEとCAMとのリンクをできるCAD教育の提案
    6) CAD教育を行った場合の評価方法や評価のあり方について, 一定の考えで行うこと
    7) 2次元CADから3次元CADへ, 可能ならば3次元CADが必要である
    8) CAD教育が大学教育の活性化につながるものにすることが, 必要である
  • ―切り口のある立方体の場合―
    澤田 吉苗
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 185-190
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    教員養成課程の女子学生を対象とした、「生活図形科学」の授業において、読図能力を養うためのツールとして、切り口のある立方体の展開図を作成するソフトを開発し利用した。そのソフトは、文献1、2で開発したソフトに、展開図を作成する機能を付加したもので、13通りのTypeそれぞれに対応した展開図を作成することができる。このソフトの利用法としては、学生に課題を提供する場合、難易度を配慮しながら、個人別の課題を提供することができる。また、学生自身がこのソフトを操作することによって、立体と展開図の関連について、確認することができる。
    本授業では、学生に操作させて、展開図を出力させ、切り抜いて組み立てることを、課題とした。その効果を期末試験の結果から見る限りでは、顕著な効果があるとはいえないが、立体を組み立てて、直接見ることによって、見慣れない立体の学習にいくらか興味を高める働きがあることが、授業後の感想等から推察される。
    展開図は、図学教育の入門期後半以降に取り上げられる場合が通例であるが、パソコンを活用して立体模型を製作すれば、課題としての「切り口のある立方体」に対して、興味を深め学習意欲を高めることができると考えられる。
  • 早坂 洋史, 井野 智
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 191-194
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    図形科学教育については、過去から多くの大学等の図学担当教官を中心に、種々の観点からの検討が行われてきたが、統一的な結論が得られないまま、大学改革の波の中で、教養部の廃止、基礎科目の図学の切り捨てが進行しているのが現状である。
    文部省放送教育センターは、1996年10月から、スペース・コラボレーション・システム (以下SCSと略す) 事業 (衛星通信大学間ネットワーク構築事業) の運用を開始した。SCSにより、衛星通信を利用した大学間ネットワークが構築でき、映像交換を中心に遠隔地の大学間の相互授業、合同講義等の教育面での利用が可能となり、SCSを有効利用することが望まれている。
    SCSの特徴である、大学間の相互授業、合同講義等の教育面での利用の観点から、大阪大学の吉田は、SCSによる「マルチメディアの援用による図形科学教育」の提案を行った。これに、北海道大学、東京大学、名古屋大学、神戸大学、九州大学等も協力して、各大学をSCSで結んでの、各大学の図形科学担当教官による講義を1996年10月から半年間、開講した。
    本報告では、北海道大学でのSCSに対する取り組み方、特に教材の作成方法とSCSの講義の在り方について検討した結果について述べる。
  • 吉田 勝行, 鈴木 賢次郎, 峯村 吉泰, 早坂 洋史
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 195-200
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    SCSは, Space Collaboration Systemの略で, 通信衛星を利用して大学間で互いに映像や音声を双方向にリアルタイムで交換できる先進的な情報通信ネットワークの名称である。このシステムの端末が設置された講義室では, 3系統の映像が表示できるCRTモニターと, 教壇上や講義室内がそれぞれ撮影できるテレビカメラ計2台, および教卓上の講義資料が写し出せる書画カメラ等が設置されており, 各教官は, 教卓上のタッチパネル式AVコントローラーを操作することで, 自室内の映像や他局から送られてくる映像を取捨選択して適宜3系統のCRTのいずれかに表示したり, 逆に他局に映像を送り出したりしながら講義を進めることになる。このシステムを利用して, 北海道大学, 東京大学, 名古屋大学, 大阪大学を相互に接続し, 阪大の学生約90名, 名大の学生約20名を対象に計7回の一般図形科学教育を実施し, 授業アンケートを試みた結果, 講義内容を学生に理解させる点では一応評価できる結果が得られたものの, 満足度を与えるという面ではまだまだ改善の余地ありという結果が得られた。
  • 古場 裕司, 鈴木 賢次郎
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 201-204
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年、視覚型/触覚型認知スタイルを考慮した図学教育がアメリカを中心龍試みられつつある。その際の視覚型/触覚型分類に用いられているSPT (Suooessive Perception Test) は体系的な調査がなされておらず、不明確な、点が残っている。本研究では東京大学、大妻女子大学、国立音楽大学の学生363人という男女、文理、大学など幅広い被験者を対象としてSPTを実施し、SPTによる視覚型/触覚型分類について検討した。その結果、一般に男女差などが明瞭な他の空間認識力テストと比較して、SPTには男女差文理差などが小さいことが明らかになった。また、これまで広く採用されてきた分類が法には再検討の必要があることが示された。また、SPTの信頼性係数を計算したところ、それほど高い値ではなく、信頼性への寄与が低い問題を削除しても十分な改善には至らなかった。信頼性の向上には適切な問題を加えるなどの改良が必要であると考えられる。
  • 江崎 丈巳
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 205-208
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    21世紀に向けた, 高度情報化の進展は, 情報, 知識の価値を高め, 創造をもとにした知的社会をもたらし, 図学と深い関係にある設計にも環境面で大きな影響を与えることが考えられる。この結果, 設計者は, 従来の改良や模倣といったことから, 創造性の高い設計能力を求められる。創造活動を支援する図能力は, 創造教育が確立されていない今日, 設計に取って重要な支援手段となることが考えられる。現在, この図能力は, 図学によって細々と養われているが, 今後,その能力の必要性が増すものと考えられる。しかし, 図学の現状は, どうであろうか。図学内外において, 学会活動では, 計算機導入と国際化により, 過去に例を見ない未曾有の学会数と論文数である。社会のニーズの高まりと学会活動は, 符合するがごとく一致した動きを示している。しかし, 図能力に対する需要の現状は, どうであろうか。個々数年来, 大学改革により, 全体のカリキュラム構造が変わる中, 図学は, 残念ながら減少の傾向にある。図学内外の現象とは, 相反する状況が生まれている。このような背景には, 図学内外において図学が正確に認識されてこなかった可能性がある。図学は, 明治期,輸入時の翻訳が直訳であり, “渡来文字”幾何”の意味や“Descriptive”の捉え方が異なっていたため, モンジュ図学の真意を反映していなかったのではなかろうか。Geometry Descriptiveは, 幾何描写で, メンタル部でのイメージ物の測り得る構成とその定量表現と図からの空間の取り扱いで, “物作り”を科学的に行うためのものである,目がまわるような複雑な図を奇麗・精密に描き緻密な頭を養うことや, 難問・奇問を受験生のごとく短時間に解くことなどと, どこか違うのではないか。情報化社会では, 多くの図情報を取捨選択し, 計算機を使い加工,あるいは, ネットワークを介したコミュニケイションでアイディア交換など, 対象物を処理する上で, 情報の媒体として図能力が, 高められていなければならないのは, 当然のことと言える。図学に関する, ソリッドモデリングのための空間認識法は, 200年前既にモンジュによって確立されている。しかし, 未だに目標が定まらないかのごとく, この言葉は, 一人歩きをしているように見える。今後,重要性が増すのは, このメンタル部の図能力で, これも物と表裏一体の関係にある物理条件 (工業製品で) との関係でその能力が求められる。図学は, 衰退しているが, 復興にむけワントライのチャンスは, ある。また, このようなことを逃せば, 工業会の大きな損出にもつながることが考えられる。本報では, 高度情報化社会の到来で, 設計の創造化とともに,図学の必要性を, 1) 設計支援能力としての図能力必要性の高まり, 2) 図能力強化にはモンジユ図学の再解釈の必要性 (原点に戻る) , 3) 教授者側能力として知識習得ではなく図能力高揚の必要性について述べた。
  • 鈴木 賢次郎
    1997 年31 巻Supplement 号 p. 209-213
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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