本研究では, n次元ユークリド空間R
nの立体の, 図形的な認識方法の整理と解析を, 系統的にしかも実用的に行うことを目標にした.
R
nの立体を図形的に把握する過程の数理的側面は, R
nの回転 (運動) と投影の解析に集約されるが, 今回は特に前者の解析と実用的な表現について述べた.
理論的には, 直交変換の標準形として, n次元空間の回転σはn/2個以下の適当な2次元平面上の回転たちの積で表されることが知られている.これは純数学的に有用かつ無駄のない表現だが, そこに現れる2次元平面上の各回転の軸は, σに依存し一定しないので, 特に高次元での図学的な実用性に乏しい.
本論文では, 回転と投影を一緒に取扱う図学的な立場を踏まえ, 「R
n回転はn-1個を越えない固定された軸を持つ2次元平面上の回転たちと投影面 (超平面R
n-11) 上の回転との積で表される」という結果と, その具体的な表現を証明付きで得た.
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