これまで大阪大学では地球総合工学科の学生を対象とした図学実習として, グラフィックスプログラミング教育をベースにした透視図の作画実習の授業を行ってきた.平成13年度は本大学が進める体験的課題追求型授業科目構築プロジェクトに選定されたため, 実際の体験を通して自主的に学ぶことを主眼とした「体験的授業」の形で実施した.「体験的授業」とは, 未だ解決していない課題を取り上げたり, 専門領域とは異なる分野を教養的科目として学んだりする中で, 様々な体験を通して問題の所在を明らかにし, 学生自らが課題を追求することを授業の目標とするものである.テーマは大学キャンパスのモデリングと修景計画とし, 実際の建物の実測を行い, 身の周りの環境に対する問題点を考えさせる中で, 自主的な作図技法の習得を促し, 図形科学へのインセンティブ与えることを考えた.また作業はグループワークとして行い, 成果をプレゼンテーションさせることで各チーム間での優劣を競わせた.その結果, 現地実測からモデリングを行う過程で, 図法幾何学における3面図の意味や透視投象との対応を体験的に理解させる手がかりが得られた.また日常の身の回りにある環境に対して問題意識を持たせるとともに, 景観問題の難しさ, 問題点を具体的に実感させることができたと考えられる.
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