本論文では, カラー画像データベースにおいて感性情報を用いた画像群検索のため, 類似画像群構築の可能性について述べた.
まず21種のカラー画像について, 35人の評価者が画像分類システムにより主観的に分類した主観的画像群と, 印象度に基づいて統計的に分類した印象度画像群の一致性を検討した.つぎにユーザモデルを決定するため, 評価者間の印象度の一致性と, 分類された主観的画像群の一致性を検討した.得られた結果を以下に示す.
(1) 主観的画像群と印象度画像群の一致率は, 52%から86%の範囲であり, 高い一致性が証明された.
(2) 評価者間の印象度の一致性を検討した結果, 一致性の高い印象語は, ‘女性的’, ‘繊細’, ‘明るい’などであった.一方低い語は, ‘シンプル’と‘レトロ’であった.
(3) 評価者間の類似度を主座標分析による布置で検討した結果, 86%の評価者が類似性を表す空間内で近い位置を示し, 画像評価において近似する傾向を示した.
これらの結果から, 印象語を用いた統計的な類似画像群構築の可能性は高いこと, および評価者モデルは, 代表的モデルで多くのユーザに対応できることが分かった.
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